December 01, 2018
生誕110年 東山魁夷展
先週末になってようやく、会期終了が近いことに気づき、今週の平日に慌てて行きました。
現代の人気画家ということで、客層が普段行く展覧会と違うなあ、と思いました。普段は高齢者に分類される方々が多いのですが、東山魁夷展は私と高齢者の中間の年代の人も多いように感じました。
初期の作品は「セザンヌかな?」という雰囲気ですが、だんだん私がイメージする「東山魁夷らしさ」が感じられる作品になりました。
私はドイツとオーストリアの風景を描いた作品を最初に知ったので、その実物が見られたのはうれしかったです。実は文庫本サイズの画集だったので、「あの絵、こんなに大きかったのか〜」と思いました。ローテンブルクの絵は、自分の記憶にあるローテンブルクと同じだなあ、と思っています。
ちょうど家族と北欧がどうこうという話をしていた直後だったのもあり、北欧(スカンジナビア諸国)の風景を描いた作品があったのは、「うわー、すごい偶然」という感じがしました。北欧らしい風景の絵も印象的でした。また、京都を描いた絵は、近代化や観光地化が進んだ今では見られない風景というのが感じられて良かったです。
唐招提寺の障壁画は、画家としての集大成という感じで、素晴らしいものでした。青い海、緑深い森、中国の揚州や桂林の風景など、作業に費やした年月や彼の思いを思うと、圧倒されました。
これに関連して、ごく短い期間だけ彼の作品に現れた白い馬の絵も、とても印象的でした。特に「緑響く」はよく目にする人気の作品なので、白い馬の出てくる作品は多いと思っていたのですが、そうではない、というのが意外でした。
晩年の、障壁画を描いた以降の作品も、何気ない風景が内省的な感じで、とても印象に残りました。絶筆となった「夕星」は、心に訴えるものがありました。
この展覧会は、細谷佳正さんの音声ガイドだったのですが、これが本当に素晴らしかったです。ゆっくりとしたスピードと落ち着いた声で、画家や作品に寄り添い、「あなただけのために耳元でお話しします」という感じの解説を聞くと、理解が深まります(そういうふうに感じられます)。画家の内面を語りかけてくる感じが、ものすごくありました。
最後の物販では絵葉書をあれこれ選んでいたのですが、2000円という絶妙な価格設定に、普段は買わない図録も購入してしまいました。2000円だと財布のひもがゆるみます。図録は場所を取るのが悩みですが、「この1冊なら入るかな」と思うのです(そして実際、ちょっと片づけたら入りました)。ちなみに会計ではなかなかの行列で待たされました。ここからも、人気の画家というのが分かりますね。
これが、ローテンブルクの町の風景です。今もこういう場所が残っていると思います(最近行ってないのですが)。
これはフライブルクの風景です。この展覧会とは関係ないところで聞いたのですが、フライブルクの教会の塔は、空襲を受けたのですが爆風が運よく塔の中を吹き抜けたため崩れなかったので、その姿は市民の心のよりどころとなったそうです。私には、雲間からの光が教会を讃えているように見えます。
これが、おそらくもっとも有名な白い馬の作品です。最初に描いた作品が行方不明になったので、それを惜しんで再制作したものだそうです。
これは、自宅の庭でたたずむキジバトだそうです。羽をふくらませて枝にとまる後ろ姿が、哲学的に感じられます。
ありがたいのは、彼の多くの作品は日本で見られる、ということです。長野県信濃美術館 東山魁夷館が2019年秋にリニューアルオープンするです。そこで見られるものも多いので、楽しみにしています。
現代の人気画家ということで、客層が普段行く展覧会と違うなあ、と思いました。普段は高齢者に分類される方々が多いのですが、東山魁夷展は私と高齢者の中間の年代の人も多いように感じました。
初期の作品は「セザンヌかな?」という雰囲気ですが、だんだん私がイメージする「東山魁夷らしさ」が感じられる作品になりました。
私はドイツとオーストリアの風景を描いた作品を最初に知ったので、その実物が見られたのはうれしかったです。実は文庫本サイズの画集だったので、「あの絵、こんなに大きかったのか〜」と思いました。ローテンブルクの絵は、自分の記憶にあるローテンブルクと同じだなあ、と思っています。
ちょうど家族と北欧がどうこうという話をしていた直後だったのもあり、北欧(スカンジナビア諸国)の風景を描いた作品があったのは、「うわー、すごい偶然」という感じがしました。北欧らしい風景の絵も印象的でした。また、京都を描いた絵は、近代化や観光地化が進んだ今では見られない風景というのが感じられて良かったです。
唐招提寺の障壁画は、画家としての集大成という感じで、素晴らしいものでした。青い海、緑深い森、中国の揚州や桂林の風景など、作業に費やした年月や彼の思いを思うと、圧倒されました。
これに関連して、ごく短い期間だけ彼の作品に現れた白い馬の絵も、とても印象的でした。特に「緑響く」はよく目にする人気の作品なので、白い馬の出てくる作品は多いと思っていたのですが、そうではない、というのが意外でした。
晩年の、障壁画を描いた以降の作品も、何気ない風景が内省的な感じで、とても印象に残りました。絶筆となった「夕星」は、心に訴えるものがありました。
この展覧会は、細谷佳正さんの音声ガイドだったのですが、これが本当に素晴らしかったです。ゆっくりとしたスピードと落ち着いた声で、画家や作品に寄り添い、「あなただけのために耳元でお話しします」という感じの解説を聞くと、理解が深まります(そういうふうに感じられます)。画家の内面を語りかけてくる感じが、ものすごくありました。
最後の物販では絵葉書をあれこれ選んでいたのですが、2000円という絶妙な価格設定に、普段は買わない図録も購入してしまいました。2000円だと財布のひもがゆるみます。図録は場所を取るのが悩みですが、「この1冊なら入るかな」と思うのです(そして実際、ちょっと片づけたら入りました)。ちなみに会計ではなかなかの行列で待たされました。ここからも、人気の画家というのが分かりますね。
これが、ローテンブルクの町の風景です。今もこういう場所が残っていると思います(最近行ってないのですが)。
これはフライブルクの風景です。この展覧会とは関係ないところで聞いたのですが、フライブルクの教会の塔は、空襲を受けたのですが爆風が運よく塔の中を吹き抜けたため崩れなかったので、その姿は市民の心のよりどころとなったそうです。私には、雲間からの光が教会を讃えているように見えます。
これが、おそらくもっとも有名な白い馬の作品です。最初に描いた作品が行方不明になったので、それを惜しんで再制作したものだそうです。
これは、自宅の庭でたたずむキジバトだそうです。羽をふくらませて枝にとまる後ろ姿が、哲学的に感じられます。
ありがたいのは、彼の多くの作品は日本で見られる、ということです。長野県信濃美術館 東山魁夷館が2019年秋にリニューアルオープンするです。そこで見られるものも多いので、楽しみにしています。
November 30, 2018
今年も「ひごあかり」に行きました
実は初日に行っていました。12月2日までの開催です。今のほうが、紅葉が見ごろになっているようです。
まずは、昨年すっかり行きそびれた松聲閣での催し物を見学しました。熊本出身の金栗四三氏に関するミニ展示がありました。ちょうど、来年の大河ドラマで取り上げられますよね。マラソンで途中棄権したはずが、棄権という記録がなくて……というエピソードは、とてもドラマ映えすると思います。どのような感じで物語に組み込まれるのか、楽しみです。
それと、玉名市所蔵の同田貫正国(上野介)も展示されていました。写真も撮影したのですが非常にアレな出来栄えなのでアップしません……。模造刀を持つこともできました。当然なのですが、「大きい! 重い!」でした。これを振るうとなったら、確かにきちんと鍛えていないとダメだなあ、と思いました。
実は一番楽しみにしていたのは、「年刊田原坂」です。無事入手できました。
電球の光を反射して、見にくくなっていますが……。Twitterなどで表紙のイラストを見かけて、気になっていたのです。地元ならではの視点での記事や豆知識など、読みごたえがありました。
熊本、頑張れ! という気持ちになります。
肝心の「ひごあかり」ですが、最初は風が吹いていて、水面に鏡のように……という状態ではありませんでした。でも十分きれいでした。だんだん風がやんで、鏡のように美しく映える水面が楽しめました。
へぼカメラマンによるスマホでの撮影ですが、雰囲気が伝われば……。
実は満月(だったかな?)が庭園の上に昇ってきて、とてもいい感じだったのですが、これまた残念な写真になったのでパス。
最後に熊本関連の物販があったので、馬刺しまん(馬肉には火が通っていました)といきなり団子をいただいて、「まんぞくまんぞく」で帰宅しました。
まずは、昨年すっかり行きそびれた松聲閣での催し物を見学しました。熊本出身の金栗四三氏に関するミニ展示がありました。ちょうど、来年の大河ドラマで取り上げられますよね。マラソンで途中棄権したはずが、棄権という記録がなくて……というエピソードは、とてもドラマ映えすると思います。どのような感じで物語に組み込まれるのか、楽しみです。
それと、玉名市所蔵の同田貫正国(上野介)も展示されていました。写真も撮影したのですが非常にアレな出来栄えなのでアップしません……。模造刀を持つこともできました。当然なのですが、「大きい! 重い!」でした。これを振るうとなったら、確かにきちんと鍛えていないとダメだなあ、と思いました。
実は一番楽しみにしていたのは、「年刊田原坂」です。無事入手できました。
電球の光を反射して、見にくくなっていますが……。Twitterなどで表紙のイラストを見かけて、気になっていたのです。地元ならではの視点での記事や豆知識など、読みごたえがありました。
熊本、頑張れ! という気持ちになります。
肝心の「ひごあかり」ですが、最初は風が吹いていて、水面に鏡のように……という状態ではありませんでした。でも十分きれいでした。だんだん風がやんで、鏡のように美しく映える水面が楽しめました。
へぼカメラマンによるスマホでの撮影ですが、雰囲気が伝われば……。
実は満月(だったかな?)が庭園の上に昇ってきて、とてもいい感じだったのですが、これまた残念な写真になったのでパス。
最後に熊本関連の物販があったので、馬刺しまん(馬肉には火が通っていました)といきなり団子をいただいて、「まんぞくまんぞく」で帰宅しました。
November 23, 2018
天文学と印刷 新たな世界像を求めて
もともと興味のある内容なのと、チラシがとてもいい雰囲気なのとで、行ってみることにしました。実は9月に行った[世界を変えた書物]展(私の感想はこちら)と、内容というか書物がかぶるところもあります。
これまでに仕入れた知識からまとめると、活版印刷が始まったころは、印刷業者(この展覧会では印刷者という言葉を使っていました)自身も知識人(どんな内容を印刷しているか理解できる人)で、権力者にとって都合の悪い内容のものを印刷することを警戒されて、規制を受けたことも多々ありました。
出版業者が規制を受けるというのは、日本でも同じことがあったので、国や文化が異なっても共通するところがあるのだなあ、と思っています。それまでと比べたら大量に印刷できるし、情報が拡散するスピードを考えると、それも当然というか、権力を持つ側からしたら規制したくなる存在なのだろうと思います。
そんなわけで、やはりこの展覧会で紹介される本の印刷や出版を手がけた人物のなかには、自身も天文学者であったという人がいました。そういう天文学的な重要性を評価できる流れがあって、コペルニクスの著作が出版にいたったそうです。
アルブレヒト・デューラーも印刷に深くかかわっていました。彼自身学術的な知識も持っていたので、たとえば天球図を手がけたりもしています。
先ほども書きましたが、活版印刷で大量生産が可能になったため(しかも挿絵付き)、天体の観測方法など、重要な情報が、それまでと比べたらとてつもないスピードで拡散するようになったそうです。これで夜空を観測する人も増え、情報が蓄積され、それを分析してまた新たな発見がなされ……ということがあったのではないかと思います。
植物学は、挿絵のついた本が広まったことで、それまで文字による記述が頼りだった同定が、非常に容易になったそうです。インターネットで様々な情報に容易にアクセスできるようになった現代では、そこまで大きな変化だったとは想像が及びませんでした。
コペルニクスの『天球の回転について』や、ケプラーの『宇宙の調和』など、[世界を変えた書物]展でも紹介されていた書物が、この展覧会でも紹介されていました。
今回、興味深く感じたのは、最後に日本の暦法との関連が紹介されていたことです。日本では、吉宗の時代に規制が緩和され、正確な暦を作るために、ヨーロッパの天文学の書物が輸入されるようになったそうです。それまでは、中国(明や清)で翻訳されたものを入手していたとのことでした。中国で翻訳された書物や、日本人が記した暦の本などもありました。
大きな展示ではありませんが、じっくり楽しみました。
ところで、いつも印刷博物館に行くときは、文京区役所からB-ぐる(コミュニティバス)を使用しています。B-ぐるは帰りに使えるルートがないので不便だなあと思っていました。そこで今回は、初めて印刷博物館から神楽坂に歩いて行ってみました。意外と近いし、街並みを眺めながら歩いていると退屈しません(後楽園駅から印刷博物館の道は、歩きやすいですがそういう面白いものはありません)。
さらに神楽坂には、ランチを楽しめる場所がたくさんあります。今回はカジュアルなビストロでフレンチを楽しみました。神楽坂は飯田橋駅も近いので、後楽園駅に比べると、交通の便(地下鉄や鉄道)もはるかに便利です。今度からは、印刷博物館の後は神楽坂に来ればいいんだな、と思いました。
これまでに仕入れた知識からまとめると、活版印刷が始まったころは、印刷業者(この展覧会では印刷者という言葉を使っていました)自身も知識人(どんな内容を印刷しているか理解できる人)で、権力者にとって都合の悪い内容のものを印刷することを警戒されて、規制を受けたことも多々ありました。
出版業者が規制を受けるというのは、日本でも同じことがあったので、国や文化が異なっても共通するところがあるのだなあ、と思っています。それまでと比べたら大量に印刷できるし、情報が拡散するスピードを考えると、それも当然というか、権力を持つ側からしたら規制したくなる存在なのだろうと思います。
そんなわけで、やはりこの展覧会で紹介される本の印刷や出版を手がけた人物のなかには、自身も天文学者であったという人がいました。そういう天文学的な重要性を評価できる流れがあって、コペルニクスの著作が出版にいたったそうです。
アルブレヒト・デューラーも印刷に深くかかわっていました。彼自身学術的な知識も持っていたので、たとえば天球図を手がけたりもしています。
先ほども書きましたが、活版印刷で大量生産が可能になったため(しかも挿絵付き)、天体の観測方法など、重要な情報が、それまでと比べたらとてつもないスピードで拡散するようになったそうです。これで夜空を観測する人も増え、情報が蓄積され、それを分析してまた新たな発見がなされ……ということがあったのではないかと思います。
植物学は、挿絵のついた本が広まったことで、それまで文字による記述が頼りだった同定が、非常に容易になったそうです。インターネットで様々な情報に容易にアクセスできるようになった現代では、そこまで大きな変化だったとは想像が及びませんでした。
コペルニクスの『天球の回転について』や、ケプラーの『宇宙の調和』など、[世界を変えた書物]展でも紹介されていた書物が、この展覧会でも紹介されていました。
今回、興味深く感じたのは、最後に日本の暦法との関連が紹介されていたことです。日本では、吉宗の時代に規制が緩和され、正確な暦を作るために、ヨーロッパの天文学の書物が輸入されるようになったそうです。それまでは、中国(明や清)で翻訳されたものを入手していたとのことでした。中国で翻訳された書物や、日本人が記した暦の本などもありました。
大きな展示ではありませんが、じっくり楽しみました。
ところで、いつも印刷博物館に行くときは、文京区役所からB-ぐる(コミュニティバス)を使用しています。B-ぐるは帰りに使えるルートがないので不便だなあと思っていました。そこで今回は、初めて印刷博物館から神楽坂に歩いて行ってみました。意外と近いし、街並みを眺めながら歩いていると退屈しません(後楽園駅から印刷博物館の道は、歩きやすいですがそういう面白いものはありません)。
さらに神楽坂には、ランチを楽しめる場所がたくさんあります。今回はカジュアルなビストロでフレンチを楽しみました。神楽坂は飯田橋駅も近いので、後楽園駅に比べると、交通の便(地下鉄や鉄道)もはるかに便利です。今度からは、印刷博物館の後は神楽坂に来ればいいんだな、と思いました。
November 22, 2018
フェルメール展
フェルメールの作品が、1つの展覧会でこれだけ見られることはなかなかない! ということで、行ってきました。
この展覧会は、日付と時間帯を指定したチケットで入場するシステムなのですが、入場が可能になる時間の直後は、なかなかの行列になりました(15〜20分くらい待ちました)。並んでいる間に学生の身分証明書を確認するし、入場は(おそらく)バーコードのチケットがないのでそれなりに早いし、流れ作業で音声ガイドももらえます(音声ガイドはチケットに含まれています)。外で待つ時間は発生しましたが、入ってしまえばスムーズでした。
――が! 広い会場ではないので、とにかくあちこちで混雑が発生してしまいます。フェルメールの絵画だけでなく、当時のオランダ絵画も展示しているのですが、そういうどうってことのないはずの絵(来館者が目当てにしているような絵ではないもの)でも、ぎゅうぎゅうの混雑になってしまっていました。ただ単に、狭いところが展示場所になっていて、来館者が歩くスペースが足りないから、なのです。
フェルメールの作品はさすがにそういう場所ではなく、広いスペースに全作品が展示されていました。そんなにひどい混雑ではないのですが、絵のすぐ前に立って見ようとしたら大変です。絵から1.5〜2mは離れたところから鑑賞する感じです。そんなわけで、持っていった単眼鏡が大活躍しました。
離れた場所からでも、細かい部分の描写が見られます。テーブルにかけられた布の模様(刺繍?)や、台に置かれたパンのパサパサした感じなど、しっかり確認できました。かなりの人出なので、単眼鏡や双眼鏡など、離れた場所からでも鑑賞できるよう準備をしておいたほうがいいです。
たとえば、ルーベンスの作品は、そこまで細かくチェックしなくても楽しめますが(チェックしても楽しめるとは思います)、フェルメールの作品は、そういう細かいところをじっくり見るのが興味深いのです。
グッズ売り場では、コラボのミッフィーは売り切れていて現時点では注文もできない状態なので、展示されていた中で一番好きな作品のマグネットを買いました(あれこれ貼っているので、実家の冷蔵庫がプチ展覧会会場になってきています)。
この絵を所有するアムステルダムの国立美術館、また行きたいな〜。ハーグのマウリッツハイスもいいのですけれど。
この展覧会は、日付と時間帯を指定したチケットで入場するシステムなのですが、入場が可能になる時間の直後は、なかなかの行列になりました(15〜20分くらい待ちました)。並んでいる間に学生の身分証明書を確認するし、入場は(おそらく)バーコードのチケットがないのでそれなりに早いし、流れ作業で音声ガイドももらえます(音声ガイドはチケットに含まれています)。外で待つ時間は発生しましたが、入ってしまえばスムーズでした。
――が! 広い会場ではないので、とにかくあちこちで混雑が発生してしまいます。フェルメールの絵画だけでなく、当時のオランダ絵画も展示しているのですが、そういうどうってことのないはずの絵(来館者が目当てにしているような絵ではないもの)でも、ぎゅうぎゅうの混雑になってしまっていました。ただ単に、狭いところが展示場所になっていて、来館者が歩くスペースが足りないから、なのです。
フェルメールの作品はさすがにそういう場所ではなく、広いスペースに全作品が展示されていました。そんなにひどい混雑ではないのですが、絵のすぐ前に立って見ようとしたら大変です。絵から1.5〜2mは離れたところから鑑賞する感じです。そんなわけで、持っていった単眼鏡が大活躍しました。
離れた場所からでも、細かい部分の描写が見られます。テーブルにかけられた布の模様(刺繍?)や、台に置かれたパンのパサパサした感じなど、しっかり確認できました。かなりの人出なので、単眼鏡や双眼鏡など、離れた場所からでも鑑賞できるよう準備をしておいたほうがいいです。
たとえば、ルーベンスの作品は、そこまで細かくチェックしなくても楽しめますが(チェックしても楽しめるとは思います)、フェルメールの作品は、そういう細かいところをじっくり見るのが興味深いのです。
グッズ売り場では、コラボのミッフィーは売り切れていて現時点では注文もできない状態なので、展示されていた中で一番好きな作品のマグネットを買いました(あれこれ貼っているので、実家の冷蔵庫がプチ展覧会会場になってきています)。
この絵を所有するアムステルダムの国立美術館、また行きたいな〜。ハーグのマウリッツハイスもいいのですけれど。
November 21, 2018
ルーベンス展−バロックの誕生
これは、バロック絵画やベルギーに興味があったら外せないでしょ、ということで行きました。
今回の展覧会は、イタリアの影響を受けた画家としてルーベンスを見るというものでした。アントウェルペン(アントワープ)を拠点に活躍したので、ベルギーの画家として、ということはつまり北方ルネサンスの延長線上にいる画家として考えがちです。ですが、彼の作品を考えると、イタリアの影響を受けていると考えるほうが、確かに自然かもしれない、と思いました。
画家としてだけでなく外交官としても活躍した人物なので(今もアントワープには立派な邸宅があります)、さぞかし恵まれた家柄の出身なのだろうと思っていたのですが、血筋と財力でどうこうしたような人生ではなかったのが意外でした。
とは言ってもそれなりの家庭でしたが、困窮した親が小姓として出仕させ、そこで芸術の才能を見出されて、絵の修行をして親方となり、それからイタリアで学び、そこで培った語学力を買われて外交官になったのだそうです。
イタリアの影響を受けているということで、彼に影響を与えたと思われる古代ローマやギリシャ時代の彫刻(や後代のレプリカ)、ティツィアーノなどのイタリアの画家の作品が、一緒に展示されていました。例えば、たくましい男性の体は「ラオコーン」の影響、スザンナの姿は古代の彫刻のポーズを基にしているなど、「なるほどー」という発見がありました。
私のイメージでは、祭壇画や宮殿を飾る絵のように大きな作品が多く、あまり日本で見たことがないなあ、という印象なので、いろいろな作品が見られて良かったです。
会場に入るところで、大画面でアントワープの大聖堂と、そこにある彼の祭壇画、つまり『キリスト昇架』と『キリスト降架』を紹介していました。というわけで、出展しているわけではないのですが、グッズにもありました。
ついつい買ってしまう私。
平日午前中に行ったこともあって、ひどい混雑ではなく(それなりの人出ではあります)、じっくりと作品を鑑賞できました。おすすめの展覧会です。
今回の展覧会は、イタリアの影響を受けた画家としてルーベンスを見るというものでした。アントウェルペン(アントワープ)を拠点に活躍したので、ベルギーの画家として、ということはつまり北方ルネサンスの延長線上にいる画家として考えがちです。ですが、彼の作品を考えると、イタリアの影響を受けていると考えるほうが、確かに自然かもしれない、と思いました。
画家としてだけでなく外交官としても活躍した人物なので(今もアントワープには立派な邸宅があります)、さぞかし恵まれた家柄の出身なのだろうと思っていたのですが、血筋と財力でどうこうしたような人生ではなかったのが意外でした。
とは言ってもそれなりの家庭でしたが、困窮した親が小姓として出仕させ、そこで芸術の才能を見出されて、絵の修行をして親方となり、それからイタリアで学び、そこで培った語学力を買われて外交官になったのだそうです。
イタリアの影響を受けているということで、彼に影響を与えたと思われる古代ローマやギリシャ時代の彫刻(や後代のレプリカ)、ティツィアーノなどのイタリアの画家の作品が、一緒に展示されていました。例えば、たくましい男性の体は「ラオコーン」の影響、スザンナの姿は古代の彫刻のポーズを基にしているなど、「なるほどー」という発見がありました。
私のイメージでは、祭壇画や宮殿を飾る絵のように大きな作品が多く、あまり日本で見たことがないなあ、という印象なので、いろいろな作品が見られて良かったです。
会場に入るところで、大画面でアントワープの大聖堂と、そこにある彼の祭壇画、つまり『キリスト昇架』と『キリスト降架』を紹介していました。というわけで、出展しているわけではないのですが、グッズにもありました。
ついつい買ってしまう私。
平日午前中に行ったこともあって、ひどい混雑ではなく(それなりの人出ではあります)、じっくりと作品を鑑賞できました。おすすめの展覧会です。