June 25, 2015
大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史
まだ会期はあるし……と思っていたら、あっという間にこんな時期になっていました。「このままだと、また最終日に家族に渡して見に行ってもらうことになりそうだなあ」と思っていたのですが、運よく時間が作れたので行きました。結論から言うと、見に行って良かったと思いました。
「こんなに有名なものが来る!」という内容ではありませんが(と思っていましたが、それなりに有名なものはありましたね)、会場は予想以上に人がいました。出発が遅れ、開館と同時に入場というのができなかったので、ちょっとそこは後悔しています。
展示内容は、大きくまとめると「200万年前から現代にいたる、人間が作ってきたもの」です。
序章として展示されていたのは、古代エジプトの棺と、21世紀のガーナで作られたライオンの形の棺です(後者はみんぱくの収蔵品です)。「そういえば、見た目は全然違うけれど、死者を弔うために遺体を納める棺を装飾する、という点では同じだなあ」と思ったところで、展示が始まります。
最も古い展示品は、200万〜180万年前のオルドヴァイ渓谷の礫石器で、その次に古いものが、やはりオルドヴァイ渓谷の握り斧で、140万〜120万年前のものです。その間に、40万〜80万年が経過しているのですが、握り斧は、明らかに左右対称を意識した造形や仕上げなど、「バランスの取れた美しさ」を意識しているのが分かります。
それからさらに時代が下って、1万4000〜1万3500年前に作られた、投槍器の先端に取り付けるトナカイの骨には、マンモスの姿が彫られています。祭祀や儀式用の道具だけでなく、日常生活で使う道具にも、装飾が施されるようになったということです。
ほぼ同じ時期の、まさに世界各地の品々が同じコーナーで展示されていました。地中海世界だけ、ということはなく、アジアや中南米の同時期のものも展示されていて、「各地に広まった人類は、それぞれの場所で同じように社会を発展させ、ものを作って生きてきたのだなあ」と思います。
そのような展示の中に、「世界史の資料集にあったかも……」というようなインダス文明の印章や、ウルのスタンダード、アッシリアの戦士の像、ガンダーラの仏像、ロゼッタストーン(レプリカです)が展示されていました。
ひとつひとつに丁寧な解説があったので、音声ガイドは使用しませんでしたが、十分にあれこれと考えることができました。出展品が選ばれる経緯を考えるのも興味深かったです。
「第7章 大航海時代と新たな出会い」に、そういう観点から興味深い展示品が複数あったので、例として書きます。
そして素晴らしいのは、こうして、人間が作り出した100の道具が展示された後で、「ではあなたは、101番目の道具として何を選びますか?」という問いが出されて展覧会が終わるところです。東京都美術館なりの回答が、101番目の展示品として展示されていました。
展覧会サイトによると、この後巡回する各会場で、それぞれの101番目の展示品が決められるそうです。
……ということで、ものすごーく期待をして行ったわけではなかったのでですが、非常に興味深い内容の展示でした。中学生や高校生が団体で見学していましたが、あれこれ見た後で、「101番目の展示に何を選びますか?」というのを考えるのは、とても勉強になると思います。
東京での展示は6月28日までなのですが、この後福岡・神戸での展示が予定されているということなので、興味をお持ちの方は、ぜひ行ってみてください。
「こんなに有名なものが来る!」という内容ではありませんが(と思っていましたが、それなりに有名なものはありましたね)、会場は予想以上に人がいました。出発が遅れ、開館と同時に入場というのができなかったので、ちょっとそこは後悔しています。
展示内容は、大きくまとめると「200万年前から現代にいたる、人間が作ってきたもの」です。
序章として展示されていたのは、古代エジプトの棺と、21世紀のガーナで作られたライオンの形の棺です(後者はみんぱくの収蔵品です)。「そういえば、見た目は全然違うけれど、死者を弔うために遺体を納める棺を装飾する、という点では同じだなあ」と思ったところで、展示が始まります。
最も古い展示品は、200万〜180万年前のオルドヴァイ渓谷の礫石器で、その次に古いものが、やはりオルドヴァイ渓谷の握り斧で、140万〜120万年前のものです。その間に、40万〜80万年が経過しているのですが、握り斧は、明らかに左右対称を意識した造形や仕上げなど、「バランスの取れた美しさ」を意識しているのが分かります。
それからさらに時代が下って、1万4000〜1万3500年前に作られた、投槍器の先端に取り付けるトナカイの骨には、マンモスの姿が彫られています。祭祀や儀式用の道具だけでなく、日常生活で使う道具にも、装飾が施されるようになったということです。
ほぼ同じ時期の、まさに世界各地の品々が同じコーナーで展示されていました。地中海世界だけ、ということはなく、アジアや中南米の同時期のものも展示されていて、「各地に広まった人類は、それぞれの場所で同じように社会を発展させ、ものを作って生きてきたのだなあ」と思います。
そのような展示の中に、「世界史の資料集にあったかも……」というようなインダス文明の印章や、ウルのスタンダード、アッシリアの戦士の像、ガンダーラの仏像、ロゼッタストーン(レプリカです)が展示されていました。
ひとつひとつに丁寧な解説があったので、音声ガイドは使用しませんでしたが、十分にあれこれと考えることができました。出展品が選ばれる経緯を考えるのも興味深かったです。
「第7章 大航海時代と新たな出会い」に、そういう観点から興味深い展示品が複数あったので、例として書きます。
- ナイジェリアのマニラ(奴隷貨幣)
- 奴隷の取引の際に使われた、腕輪の形の貨幣だそうです。解説によると、この貨幣50個が、奴隷1人分の値段だったそうです。50個展示されていたかは確かめませんでしたが、「本当にここにある貨幣は、人間と同じ価値なのか」というのを考えさせられます(――って、ここまで考えるのは私だけ??)。
- 宗教改革100周年記念ポスター
- 神聖ローマ皇帝を揶揄する、なかなか挑発的な絵でした。(いわゆる)プロテスタントは、カトリックのような指導者を持たないため、当時発達していた活版印刷を使用して、ポスターを配布したそうです。「最新技術を駆使して人々に広める」というのは、今も布教というか、自分たちの思想などを広めるために使われているなあ、などと考えました。
そして素晴らしいのは、こうして、人間が作り出した100の道具が展示された後で、「ではあなたは、101番目の道具として何を選びますか?」という問いが出されて展覧会が終わるところです。東京都美術館なりの回答が、101番目の展示品として展示されていました。
展覧会サイトによると、この後巡回する各会場で、それぞれの101番目の展示品が決められるそうです。
……ということで、ものすごーく期待をして行ったわけではなかったのでですが、非常に興味深い内容の展示でした。中学生や高校生が団体で見学していましたが、あれこれ見た後で、「101番目の展示に何を選びますか?」というのを考えるのは、とても勉強になると思います。
東京での展示は6月28日までなのですが、この後福岡・神戸での展示が予定されているということなので、興味をお持ちの方は、ぜひ行ってみてください。