August 28, 2015

* 英文読解力強化セミナー 〜誤読をなくし、誤訳を防ぐ〜

6月に開催されたセミナーが早々に定員に達し、好評だったとのことで、8月22日(土)に追加開催されたものです。この回もやはり早々に定員に達したので、9月19日(土)の再追加開催が決定しています。情報はこちらで見られます。まだ参加申し込み可能です。

私はきちんとスクールに通わず、誰かに弟子入りすることもせず、独学どころかいきなり実地で翻訳の仕事を始めたクチです。分かりやすく言うと、基本的にどれもこれも自己流で、ここまでやって来ました。まあ、これだけの年数続けられているのですから大丈夫なのだろうとは思うのですが、「今の自分のやり方でいいのかどうか確かめたい」という気持ちがあり、思い切って参加することにしました。講師のmikoさんが紹介してくださった参加者の感想(ブログのエントリー)も見て、「こういうところは、客観的に知っておいたほうがいいかもしれない……」と感じたのも大きかったです。

結構早い段階で参加申し込みをしていたのですが、課題に着手したのは直前になりました。ありがたいことではありますが仕事が入ったこともあり、「もっとじっくり時間をかけるつもりだったのにな〜」と思いながら(自分に言い訳しながら)の作業です。2つある課題の文章は、決して難しい内容ではないのですが、「こういうのに、引っかかる箇所がたくさん隠れているんだよなあ」とハラハラしながら作業しました。訳文ができたところで、指定の書式に合うように、慎重に項目を確認しながら提出用の文書を作成しました(だから『間違いのない完璧なものになりました』とは断言できませんが)。

そして、いよいよ講座です。最初は課題とは関係なく、ある映像に出てくる短いフレーズに、その場で適切な言葉を考える、というエクササイズのようなものでした。ここでのポイントは、「自分が選んだ言葉について、説得力のある説明ができるか」でした。どの言葉を選ぶかについて、絶対的な正解があるわけではありません。それでも原文の意図を汲んだ適切な言葉というのはあるわけで、複数の学習用英英辞典の語義を比較して、根底に共通するものが何かを調べました。

エクササイズが終わると、事前に取り組んだ課題を取り上げます。課題1は、とにかく「調査、調査、調査!」に終始する内容だったのではないでしょうか。恐らく、名前の挙がった人物や引用箇所を徹底的に調べることができれば、課題の文章を訳すのはそんなに大変なことではないだろうと思いました(それを表現する日本語力はともかく)。インターネットを駆使できる現代は非常に便利で、どこかのサイトに有料の会員登録などしなくても、今回の課題に役立つ情報は十分に入手できます。――とは言っても、誰でも簡単に入手できるものではなく、そこまでたどり着くには検索の際にコツが要りますよ、という話もありました。

課題2は、もう少し分量の多い文章でした。ここでは、筆者についてだけでなく、執筆の背景についても調べる、という話がありました。やはりインターネットでいろいろな情報が手に入れられます。筆者のwebサイトで顔写真はおろか、声や話し方までもPodcastで分かる可能性があります。それ以外にも、検索などで入手可能な情報を駆使して、「どのような訳文にするか」の検討ができます。ここではまた、outlineを知ることの重要性が指摘されました。英語圏の人は文章を書くときにoutline(設計図や骨格)から作るので、文章から骨格(要素)だけにすることもできるのです。

――ということで、恐らくレギュラーの授業で長い時間をかけている内容の「さわり」をサーッと流した感じかな、と思うのですが、充実したセミナーでした。このセミナーに参加して、自分の改善すべき点がいろいろあることが分かりました。あまり詳しく書くと自分で自分の首を絞めることになるので、書けることだけ書くと「自分の処理能力をきちんと把握できていない」があります。今のところこんな状態でもやってこれていますが、改善していきたいなあと思います。でも一方で、自信を持っていい点もあるのだなあ、ということも分かりました。これは恐らく「みんなが10秒かかるところを9.5秒でできた!」レベルの些細なことなので、どういうところで感じたかは秘密にさせてください……。

「正しいかどうか」よりも「説得力のある説明ができるかどうか」が重要なのだ、というのも今回のセミナーでの収穫でした。「間違っていても説得力があればいい」という意味ではなく、「説得力をもって説明するためには、しっかりとした根拠が必要」で、それには原文を正確に理解していることが重要なのです。

私の場合、今回の課題で一番あれこれと調べ、訳文を決めるのに時間がかかったのは、"You're welcome."でした。実はセミナーでその部分に関する話を聞いているうちに、一番最初に自分が考えた訳文で正しかった、しかも文脈にも合っていたのだ、ということが分かりました。ですが準備段階では「でもどうしてこの表現になるんだろう」というのがはっきりせず(自分で納得できず)、提出した訳では違う表現にしていました。面白いもので、説得力のある説明ができれば、過去にひっこめたものと同じ表現なのに、堂々と「これです」と言えるのです。

そんなわけで、いろいろと得るところの多かったセミナーですが、冷静に考えてみると、未知の世界の話ばかりでもありませんでした。中学受験や大学受験のときに、文章の構造を分析していたと思うのです。翻訳という観点からではありませんが、以前に自分がそういうことをブログで語っているのを見つけたので、リンクを貼っておきます。ここで書いていないことを追加すると、学生時代のアルバイトで中学受験塾の国語のテスト作問をしていたのも、役立っているかもしれません。

それと、根拠のある説明ができるためには、翻訳する文章が理解できていることも重要だなあ、と思います。となると、やはり英文法の知識も大切です。私はしょっぱなの5文型に苦手意識があり、高校の英文法の授業に苦労した時期もあったので、文法書に書いていることを丸暗記しなければダメだ、とは思いません。でも、「これは仮定法過去だから現実の話ではない」とか、そういう文法から分かる情報をきちんと拾えないと、日本語に訳したときに正しい文章になりません。「英文法の知識が大切」というのはそういう意味です。

今回のセミナーは、「正解を教えてもらう」のではなく、「最適な結果を導くものの考え方」を知るための内容でした。これまで自己流で深く意識せずにやってきたことが、セミナーでの話を聞くうちに、「改善点は確かにあるけれど、自分がやってきた方法は大きく外しているわけではない」と思えたのは、私にとって大きな収穫でした。仮にセミナー終了後に「ああ、今のままではダメダメだ〜」という感想だけしか浮かばない状態だったとしても、「これからは状況をどんどん改善できる」「今以上に悪くなることはない」というのは収穫だ、と考えればいいのです。逆に、そう考えられる人でないと、翻訳の仕事をやっていくというのは厳しいと思います。

訳文を「これは間違っている」「これは正しい」と名指しで批評するものではないので、翻訳に興味があるというレベルの人から、実際に翻訳に関わる仕事をしていて「今の自分のやり方でいいのだろうか?」と思っている人まで、学ぶところの多いものです。セミナーの概要を読んで気になった人は、思い切って参加したら、道が開けるのではないかと思います。

ちなみにこれは余談ですが、今回の文章は長くなるから書くのが大変だな……ということで、outlineから作りました(笑) 普段は思いつくままに書いているので話があっちこっちに行ってしまうのですが、骨格から作ったので、ゴールに向かって一直線の文章になりました。(このパラグラフはoutlineには書いていません)

uriel_archangel at 11:56 | 学び | 仕事
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