November 04, 2018

* 平成30年秋季特別展「酒飯論絵巻−ようこそ中世日本の宴の席へ−」

これもTwitterで知った展覧会です。面白そうな内容なので行ってみました。茶道についてはまったく詳しくないので、なぜこういう展示を茶道の資料館で行うのか、までは考えていませんでした。

そんな状態ですが、展示は興味深く見ました。
酒飯論絵巻(しゅはんろんえまき)は、酒が好きな「造酒正糟屋朝臣長持(みきのかみかすやのあそんながもち)」、飯と茶を好む「飯室律師好飯(いいむろりっしこうはん)」、酒も飯もほどほどを良しとする「中左衛門大夫中原仲成(ちゅうざえもんのたいふなかはらのなかなり)」という3人が言葉をつくして「酒」と「飯」について「論」じ合う物語に、3人がそれぞれご馳走をふるまう絵がつけられたものです。
ということで、それぞれが好きなタイプの宴会が描かれています。酒好きの宴会は酔っぱらって大変なことになった人々が続出しています。ご飯とお茶が好きな人の宴会では山盛りのごはんが供されて、もりもりと食べています。どちらもほどほど、という場合は、あまり極端に走らずに楽しんでいます。

この絵巻を見ていて興味深かったことが2つあります。1つはもちろん、器はどういう形だったか、調理はどのように行われたかなど、当時の生活(宴会なので、日常ではないでしょうけれど)が生き生きと描かれているところにあります。先ほども少し書きましたが、酔っぱらうと今も昔もそんなに差はないんだな、という感想を抱きます。

そして、この「酒飯論絵巻」はいくつかの写本が存在するそうですが、その中の4種類を取り上げ、ポイントとなる部分を比較しています。これが、私にはとても興味深いものでした。原本に近い、または原本そのものとされる文化庁所蔵の版は、着物の柄や器に盛られた料理が詳細に書き込まれているのですが、それ以外の版では着物の柄が少し違っていたり、器に盛られた料理の描写が大雑把になっていたりするのです。

例えばですが、茶臼の細かいパーツが、時代が下るにつれて形が変化するために、原本通りに描かれなくなっています。文化庁の版では調理をする人物の足が見えている絵も、底本とした版で足が描かれていなかったからか、比較的再現性が高いものでも足が描かれていないものがあります。後世に色が塗りなおされ、もとは茶色だったお酒が別の色で描かれたり、器の色味が変わっていたりします。

このような小さな差から、どちらが古いか、どれが原本かを考察する作業は、まさにパズルという感じです。もちろん絵柄だけでなく、絵具などの科学的な鑑定も入るでしょうけれど。しっかりとした図録も販売されていて、そういう細部の比較なども面白そうだったのですが、正直なところ荷物はもう増やせないな、という状況だったのであきらめました(自宅もそうですし……)。

それと、私自身が茶道に詳しくないのもありますが、茶道の懐石料理で現在使われている銚子(徳利ではありません)の歴史的な変遷なども紹介されていました。そういう方面が分かる人だともっと面白いのかな、と思います。

実はこの展覧会にはお茶券もついていまして、お茶(抹茶)とお茶菓子をいただけました。

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茶道とは縁のない私も、ゆっくり楽しみました。周辺には茶道具のお店もあり、「表千家も裏千家もあるし、このあたりはそういう人が集うエリアなんだなー」という印象を持ちました。

uriel_archangel at 11:59 | 講演会・展覧会 
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