仕事

August 28, 2015

* 英文読解力強化セミナー 〜誤読をなくし、誤訳を防ぐ〜

6月に開催されたセミナーが早々に定員に達し、好評だったとのことで、8月22日(土)に追加開催されたものです。この回もやはり早々に定員に達したので、9月19日(土)の再追加開催が決定しています。情報はこちらで見られます。まだ参加申し込み可能です。

私はきちんとスクールに通わず、誰かに弟子入りすることもせず、独学どころかいきなり実地で翻訳の仕事を始めたクチです。分かりやすく言うと、基本的にどれもこれも自己流で、ここまでやって来ました。まあ、これだけの年数続けられているのですから大丈夫なのだろうとは思うのですが、「今の自分のやり方でいいのかどうか確かめたい」という気持ちがあり、思い切って参加することにしました。講師のmikoさんが紹介してくださった参加者の感想(ブログのエントリー)も見て、「こういうところは、客観的に知っておいたほうがいいかもしれない……」と感じたのも大きかったです。

結構早い段階で参加申し込みをしていたのですが、課題に着手したのは直前になりました。ありがたいことではありますが仕事が入ったこともあり、「もっとじっくり時間をかけるつもりだったのにな〜」と思いながら(自分に言い訳しながら)の作業です。2つある課題の文章は、決して難しい内容ではないのですが、「こういうのに、引っかかる箇所がたくさん隠れているんだよなあ」とハラハラしながら作業しました。訳文ができたところで、指定の書式に合うように、慎重に項目を確認しながら提出用の文書を作成しました(だから『間違いのない完璧なものになりました』とは断言できませんが)。

そして、いよいよ講座です。最初は課題とは関係なく、ある映像に出てくる短いフレーズに、その場で適切な言葉を考える、というエクササイズのようなものでした。ここでのポイントは、「自分が選んだ言葉について、説得力のある説明ができるか」でした。どの言葉を選ぶかについて、絶対的な正解があるわけではありません。それでも原文の意図を汲んだ適切な言葉というのはあるわけで、複数の学習用英英辞典の語義を比較して、根底に共通するものが何かを調べました。

エクササイズが終わると、事前に取り組んだ課題を取り上げます。課題1は、とにかく「調査、調査、調査!」に終始する内容だったのではないでしょうか。恐らく、名前の挙がった人物や引用箇所を徹底的に調べることができれば、課題の文章を訳すのはそんなに大変なことではないだろうと思いました(それを表現する日本語力はともかく)。インターネットを駆使できる現代は非常に便利で、どこかのサイトに有料の会員登録などしなくても、今回の課題に役立つ情報は十分に入手できます。――とは言っても、誰でも簡単に入手できるものではなく、そこまでたどり着くには検索の際にコツが要りますよ、という話もありました。

課題2は、もう少し分量の多い文章でした。ここでは、筆者についてだけでなく、執筆の背景についても調べる、という話がありました。やはりインターネットでいろいろな情報が手に入れられます。筆者のwebサイトで顔写真はおろか、声や話し方までもPodcastで分かる可能性があります。それ以外にも、検索などで入手可能な情報を駆使して、「どのような訳文にするか」の検討ができます。ここではまた、outlineを知ることの重要性が指摘されました。英語圏の人は文章を書くときにoutline(設計図や骨格)から作るので、文章から骨格(要素)だけにすることもできるのです。

――ということで、恐らくレギュラーの授業で長い時間をかけている内容の「さわり」をサーッと流した感じかな、と思うのですが、充実したセミナーでした。このセミナーに参加して、自分の改善すべき点がいろいろあることが分かりました。あまり詳しく書くと自分で自分の首を絞めることになるので、書けることだけ書くと「自分の処理能力をきちんと把握できていない」があります。今のところこんな状態でもやってこれていますが、改善していきたいなあと思います。でも一方で、自信を持っていい点もあるのだなあ、ということも分かりました。これは恐らく「みんなが10秒かかるところを9.5秒でできた!」レベルの些細なことなので、どういうところで感じたかは秘密にさせてください……。

「正しいかどうか」よりも「説得力のある説明ができるかどうか」が重要なのだ、というのも今回のセミナーでの収穫でした。「間違っていても説得力があればいい」という意味ではなく、「説得力をもって説明するためには、しっかりとした根拠が必要」で、それには原文を正確に理解していることが重要なのです。

私の場合、今回の課題で一番あれこれと調べ、訳文を決めるのに時間がかかったのは、"You're welcome."でした。実はセミナーでその部分に関する話を聞いているうちに、一番最初に自分が考えた訳文で正しかった、しかも文脈にも合っていたのだ、ということが分かりました。ですが準備段階では「でもどうしてこの表現になるんだろう」というのがはっきりせず(自分で納得できず)、提出した訳では違う表現にしていました。面白いもので、説得力のある説明ができれば、過去にひっこめたものと同じ表現なのに、堂々と「これです」と言えるのです。

そんなわけで、いろいろと得るところの多かったセミナーですが、冷静に考えてみると、未知の世界の話ばかりでもありませんでした。中学受験や大学受験のときに、文章の構造を分析していたと思うのです。翻訳という観点からではありませんが、以前に自分がそういうことをブログで語っているのを見つけたので、リンクを貼っておきます。ここで書いていないことを追加すると、学生時代のアルバイトで中学受験塾の国語のテスト作問をしていたのも、役立っているかもしれません。

それと、根拠のある説明ができるためには、翻訳する文章が理解できていることも重要だなあ、と思います。となると、やはり英文法の知識も大切です。私はしょっぱなの5文型に苦手意識があり、高校の英文法の授業に苦労した時期もあったので、文法書に書いていることを丸暗記しなければダメだ、とは思いません。でも、「これは仮定法過去だから現実の話ではない」とか、そういう文法から分かる情報をきちんと拾えないと、日本語に訳したときに正しい文章になりません。「英文法の知識が大切」というのはそういう意味です。

今回のセミナーは、「正解を教えてもらう」のではなく、「最適な結果を導くものの考え方」を知るための内容でした。これまで自己流で深く意識せずにやってきたことが、セミナーでの話を聞くうちに、「改善点は確かにあるけれど、自分がやってきた方法は大きく外しているわけではない」と思えたのは、私にとって大きな収穫でした。仮にセミナー終了後に「ああ、今のままではダメダメだ〜」という感想だけしか浮かばない状態だったとしても、「これからは状況をどんどん改善できる」「今以上に悪くなることはない」というのは収穫だ、と考えればいいのです。逆に、そう考えられる人でないと、翻訳の仕事をやっていくというのは厳しいと思います。

訳文を「これは間違っている」「これは正しい」と名指しで批評するものではないので、翻訳に興味があるというレベルの人から、実際に翻訳に関わる仕事をしていて「今の自分のやり方でいいのだろうか?」と思っている人まで、学ぶところの多いものです。セミナーの概要を読んで気になった人は、思い切って参加したら、道が開けるのではないかと思います。

ちなみにこれは余談ですが、今回の文章は長くなるから書くのが大変だな……ということで、outlineから作りました(笑) 普段は思いつくままに書いているので話があっちこっちに行ってしまうのですが、骨格から作ったので、ゴールに向かって一直線の文章になりました。(このパラグラフはoutlineには書いていません)

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August 27, 2015

* 自分の世界を広げて刺激を受けるって大事だなあ

翻訳に関するセミナーに参加したり、興味深い作品との出会いがあったりと、あちこち出かけたわけではありませんが、充実した夏を過ごしています。

恐らくこのブログで何度も書いているのですが、「今の状態が一番いい」と感じられても、そこから一歩も動かないのは良くないです。世の中がまったく変化しないというのはありません。気づいたら「一番いい状態」が時代遅れになっていて、「これは何とかしなければ」と思っても、すぐに対応できない可能性があります。

そんなわけで、結果として「現状維持」のままだとしても、「ではこの快適な自分の環境の周囲はどうなっているのかな」という視点で、業界や世の中を見渡してみるというのは大切です。そうすると、完全な「現状維持」ではなく、一部環境に適応させるという選択があるかもしれません。

それと、新しい世界に触れるのはいいなあ、としみじみ思います。自分の興味や関心が刺激されて、思考回路に新しい要素が加わって、活発に動くような感じがします。セミナー参加は物理的な移動がありますが、読書は外出しなくてもできます。オンラインの書店を利用すれば、自宅から一歩も出なくても本が手に入る、便利な世の中になりました。そう言えば、オンラインのセミナーというのもありますね。

ぐちゃぐちゃ書いてしまいましたが、自分の世界を広げるのは、「昨日までとは違う自分」になれるきっかけだと思います。偉そうに言うと、変化(成長)の機会、でしょうか。

フリーランスで生きていくには、周囲の変化に自分も合わせる柔軟性が必要です。例えばですが、今の時代、紙の辞書と原稿用紙で翻訳をしているという人は、まずいないのではないでしょうか。新しいテクノロジー(という表現自体、なんだか年寄りじみた感じがしますが)を取り入れるというのも、立派な適応です。

何歳になっても「ぜひREMIさんに」と選ばれる人間になるべく、努力していこうと思います。

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August 17, 2015

* ようやくDAYFILER DF-X9001を起動しました

DAYFILERというのは、セイコーインスツル(SII)の電子辞書です。本体をPCに接続して、PCから検索できるPASORAMAというのがあり、翻訳者にとってありがたい存在でした。なぜ過去形かと言いますと、2015年3月末をもって、SIIが電子辞書から撤退してしまったからです。

「翻訳者にとってありがたい存在」とは書いたものの、私自身は、今まで集めてきたCD-ROM版の電子辞書のデータをPCに入れ、複数の辞書を一括で検索できるソフトを使って検索する、というのでやってきたので、使ったことがありませんでした。

ただ、今はこういう手法が流行りなのでしょうが、例えば研究社は、月額の使用料でオンライン辞書を使用できるようにするシステムを採用しています(KOD)。三省堂もオンライン辞書がありますね。

確かに常に最新のデータを検索できるというのはオンライン辞書の利点ですが、一括検索はできず、出版社ごとに検索する必要があります。今後も一括で検索したい、と思うのであれば、電子辞書を視野に入れる必要があります。そんなわけで、PASORAMAがあるDAYFILERは有力な候補でした。ドイツ語の辞書が弱いのは弱点でしたが、iOS版の独和大辞典を入手したので、そこは問題なし、だったのです。

2014年の後半には、「SIIが撤退する」という情報が出て、「今のうちに買わなくては」という状態になったのですが(おそらく翻訳者界隈のみの現象でしょうけれど)、当時の私には先立つものがなく(汗) 気づいたら、最上位機種は手に入らない状態になっていました。というか、買えるは買えるのですが、法外な価格が付いていたのです。

ちなみに最上位機種というのはこちらです。英語のプロフェッショナル向けということで、特に英英辞典が充実しています。



これは製品の写真を載せたいがためのリンクなので、ここから買え、という話ではありません。

で、ようやく購入したのがこちらです。こちらはエンジニア/ビジネスパーソン向けということで、英英辞典は比較すると弱いですが、ビジネス関係の辞書や理工系の辞書は充実しているので、「ベストではないけれど、これが最善だなあ」ということで購入しました。

これも、参考のための画像を貼りたいためのリンクなので、購入は推奨しません。

メールを調べたら、4月に購入していました。当時はなぜか、台数限定の割引セールがときどきあり、それを利用して購入しました。そして、実は「どうしてもこれを使わないと!」という事態にならなかったので、Amazonの箱から出してはいましたが、製品の箱に入れっぱなしにしていまして(汗)

Surface3のセットアップに合わせて箱から出したのですが、初日は充電して終わりました。そして翌日に作業したところ、日時や時間の設定をすれば、すぐに使えました。PASORAMAを使おうと思わなければ、という話です。

――ということで、やっと電源を入れて使える状態にしましたが、PASORAMAを使えるようにしていません(汗) これはまた、時間に余裕があるときに、ということで。Surface3で上手く使えればいいなあ、とは思うのですが……

いつになるのやら、です。

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July 20, 2015

* ちょっと無理をしすぎたのでペースダウン

昨年末からいろいろと順調にものごとが動いていたのですが、先週はちょっと無理がたたったかな、という状態になってしまいました。

以前から何度も書いていますが、私は体力にものを言わせてきた人間です。でも、その体力も昔とは違うので、無理をしたときの後への響き方が、大きくなってきました。

寝不足だと、「心臓に負担をかけているなあ」という感じがするのです。2〜3日はあまり使い物になりません。だったら、同じペースで仕事ができる状態をキープするのが一番です。

で、そうすると、一番大事なのは
「無理せず作業が終えられるように、スケジュール管理をする」
というのが大切なのです。これまた何度も書いていますけれど。

この年齢になると、「こんな無理しちゃった」は自慢になりません。「若いときはムチャしたけど……」という昔話にできるように努力しましょう。

でもまあ、やってしまったのはしょうがないので、今月いっぱいは、のんびり過ごそう(=仕事を詰め込まないようにしよう)と思います。

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July 03, 2015

* 文系でも理系でも、英語は基本

国文学や漢文専攻の場合は、そうとは限らないかもしれません。同じ大学の国文学科の子に聞いたら、「うちの学科は第二外国語はないけれど、万葉仮名を勉強する」と言っていましたっけ。それはそれで大変そうです。

少し前のツイートですが、最近RTされてきたのを見て「ほんと、そうなんだよなあ」と納得したので、息子に見せておきました。運のいいことに、息子は英語には苦手意識はないので、積極的に勉強しています。日本語力がアレレなので、英文和訳で苦労していますが……。

高校の同級生で理系に進学した人に話を聞くと、バリバリの研究者や技術者を目指さなくても、授業(研究室だったか?)で文献購読があって、専門分野に関する英語の文章を読むそうです。なので英語ができると、そういうときの苦労が減ります。

グローバル化が進み、相対的に日本の地位が下がってきているので、以前のように、日本の中での立ち位置だけで就職できる、という世の中ではなくなってきました。しかも、就職先が将来にわたって安定しているという保証はありません。そういう時代ですから、常に「世界の中の自分」という意識が必要なのだろうと思います。

そういう世界でやっていこうと思うのであれば、確かに、英語ができないと話にならないでしょうね。さもなければ、研究の世界ではそういうことは少ないでしょうが、「通訳を雇ってでも話を聞きたい」と思わせるくらいの人間になることが必要です。

これは英語を必要としない仕事でも同じで、「この人の代わりはいない」と思わせるくらいの技術を持つ人間になれば、どんな分野でも生き残れます。――って、当たり前すぎる話ですが。壊れたら取り替え可能なパーツになってしまうと、使い捨てられる可能性があります。なので、「これは使い捨てにはできない」という人間になりましょう。

結局最近書いた、「勉強しないと生き残れない」につながるなあ、と思いました。

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July 01, 2015

* Aegisubの設定メモ

先日、10分ほど無駄な時間を使ってしまったのでメモです。以前、「新しい字幕を適当な場所(たいていは前の字幕の直後)に作って、それを正しい場所に移動させる」という主旨のことを書いたのですが、何度「ここが字幕の場所だよ〜」と指定しても、それが字幕にまったく反映されません。

「あれ〜? おかしいなあ」ということで、あれこれ調べたところ、ようやく原因と対策が分かりました。



これは、Aegisubの、音の波形が表示されるウィンドウ部分です。ソフトウェアの右側に表示されます。映像や字幕はお見せできないので、この部分のみ……。

で、赤い矢印で示した部分をオンにしなければいけません。これは、マウスカーソルを該当する部分に合わせたときに表示された文字と一緒にスクリーンショットしたものです。書いてある通り、「範囲選択をすぐ字幕行に反映させる」です。

このスクリーンショットは、設定をオンにした状態(押下した状態)です。

サブのPCにもAegisubをインストールしていたのですが、本格的な操作をするのが初めてでした。デフォルトではオフになっているようです。この部分の設定をしていなかったので、「選択範囲が字幕に反映されない!」となったのでした。

分かってみれば、「なーんだ」でした。でも、自分がそういう設定をしたことを忘れているので、パニックになってしまいました。ここをオンにしたら、それまでの問題は一気に解決です。

きちんと調べていないのですが、私の作業手順(字幕を作ってから場所を決める)とは逆に、「選択範囲を字幕に反映する」で新しい字幕を設定する方法(場所を決めてから字幕を作る)もあるのだろうと思います。これは、自分の性に合う方法を選べばいいのでしょう。

ボタン部分にカーソルを合わせると、日本語だったり英語だったりしますが、どういう機能を持つものか表示してくれます。なので、いろいろ見てみると解決の糸口が見えてくるかもしれません。

――というか、有志が作成した(らしい)日本語マニュアルを見たら解決できるのではないか、という話ですね、はい(汗)

あ、それと、日本語は直接字幕表示エリア(今回の画像の下の部分)に入力できません。私の環境では、画面の左上に日本語入力が表示され、変換などを終えてEnterを押すと、それまで入力したものが、字幕表示エリアに出てきます。

テキストエディタで字幕を入力して、それを字幕表示エリアにコピー&ペーストする、という方法もあるかと思います。

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June 22, 2015

* 「勉強しないと生き残れない」って普通のことじゃないの?

食べ物を買うついでに、コンビニで雑誌の棚をついついチェックします。で、見つけたのがこちら。

AERA 2015年 6/29 号 [雑誌]
朝日新聞出版
2015-06-22


表紙の特集の見出しを見て、「おや、とうとうこんな話が」と思い、ぱらぱらとめくってみました(すみません、立ち読みです)。

見出しだけの予想では、「学生は遊ぶ暇もなくたくさん勉強しなくちゃいけないとか、学歴が将来の選択肢もあれこれ決めちゃうとか、そんな感じの話かな?」と思ったのですが、ちょっと違いました。

出版社のサイトの、今号の情報が載っているページはこちらです。

なるほど、社会人になっても勉強が続くよ、という話か……というところで、「いやいや、社会人になっても勉強しなくちゃいけないというのは、フリーランスにとって当たり前なんですけど」と思いました。

よくよく見ると、縮小する労働市場で会社に依存せずキャリア形成するにはなんて書いてあるではないですか。

見出しだけ見ると、「えー、キャリアって会社に依存して形成できるものなの?」と思ってしまいます。きちんと内容を読みながら書いているわけではないので、あーだこーだと論じることはしませんが。

自分の価値を高めるために勉強を続けなければならないというのは、フリーランスの翻訳者として働いている人にしたら当然のことなので、「こういうことも記事になるのね」と思いました。

そういう、ある1つの仕事でのキャリア形成のための勉強でなく、ジョブチェンジ……というか、「労働市場で生き残るため、付加価値を付ける(それまでの経歴とあまり関係ない場合もあり)」ための勉強も紹介されていました。

MBA、プログラミング、英語…3大スキルの効用という見出しだけを見ての感想ですが、私が今まで「自称翻訳者」からスタートしてなんとかやってこれているのも、「英語ができるから」というのが大きいなあ、と思います。

「英語(に限らず外国語)ができる」というのは、ただ単に外国の人とコミュニケーションが取れるというだけでなく、「日本語を使用したコミュニケーションでも、多様性に配慮して柔軟に対応できる」という側面があると思うのです。

私の場合、分かりやすく言うと「母語が同じ人同士でも、話が通じないときがあるのね」と発見し、「多くの人に理解される(誤解・曲解をされにくい)表現」を意識するようになりました。そもそも翻訳の仕事でこういうことをやってきているわけですが、外国語→日本語のときだけでなく、日本語→日本語でもそういう意識が必要なのだと分かった、という感じです。

まとまりなく書いてしまいましたが、普通の会社勤めをした経験のない私には「普通の世界」だったので、「そうか、これがスタンダードになるのか」と思っています。

ついでに言うと、「従来の働き方+勉強」だけが評価されるのでなく、いろいろなバックグラウンドを持った人、やむをえない理由でキャリアを中断せざるを得なかった人が、自ら学んで身に付けた知識や技能で、労働市場で正当に評価されるようになるといいなあ、と思います。って、今回の記事からは飛躍していますけれど。

uriel_archangel at 18:30 | 仕事 
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June 20, 2015

* 仕事のオファーが重なるときは妙に重なるものです

昨日は、面白いくらい仕事の連絡がありました。

最初に来たメールに返信を書いてしばらくしたら、またメールが来たので、「さっきの返事かな」と思ってメールを見たら、違う会社の違う話で、そちらに返事を書いてしばらくしたら、最初に連絡があった会社から返事が来て、さらにまたまた違う会社から仕事のメールが……という状態でした(汗)

1日のほんの数時間でこういうふうに重なると、まるで自分が売れっ子になったかのように誤解してしまいますね。あっという間に予定が埋まったので、忘れないようにスケジュール帳に記入しました。

アクションプランナーのプロジェクト・アット・ア・グランスは、サンドボックス的な使い方(スケジュール立案の試行錯誤に使うための下書き)を意図しているそうですが、私はここに、外出予定や事務仕事の予定、取引先別に「○日に依頼があって、△日に納品」みたいな予定を書いています。普通のカレンダータイプより流れが見やすいので、便利に使っています。

よくよく考えると、ウィークリーのページより、プロジェクト・アット・ア・グランスを活用しているような……。以前も書いたかもしれませんが、大きな流れは悪くないものの、それを週単位、日単位で上手く落とせていないのが私の時間管理の欠点です。改善の余地があります(と思っていても実行しないのが問題です)。

スケジュール帳について語りすぎました。以前は、こういうときは自分の能力が及ばなかったこともあって、「スケジュールに余裕がありません!」と、泣く泣くお断りしていたものです。ですが、ありがたいことに、作業期間が微妙にずれていたり、自分の能力の向上もあったりで(自画自賛ですみません……)、最近は「泣く泣くお断りする」というのは少なくなりました。

――というか、ベースの仕事ができたので、「好き嫌いせず、どんなものでも美味しくいただきます」みたいな雑食どころか悪食的な働き方をしないですむようになり、「自分の条件に合わないものは無理して掴まない」という行動ができるようになったのです。

去年参加したIJET-25や翻訳祭でも、フリーランスの仕事の進め方についていろいろ話が出ましたが(で、翻訳祭のことをまーったくブログに書いていなかったことに気づいたり)、確かに「大先生」にならなくても仕事は選べるなあ、と思いました。

ただ、ベースとなる仕事は「これだ」と思えるものである必要はありますね。天秤にかけたときに、ベースでない仕事を「泣く泣く断る」と感じるものだと、働いていて満足感が得られるとは思えません。

理想は「とても興味のある内容で、環境も充実していて、収入の面でも満足できる仕事」です。でも、そういう仕事がすぐに見つかるとは限りません。なので、「収入の面でやや不満があっても、仕事の内容や環境が充実していて満足度が高い」か、「それなりの収入になるので、仕事の内容や環境の点では妥協もあるが満足度が高い」などという選択肢もあるな、とある程度割り切ることが必要だと思います。

そして、何を優先するか、どういう仕事を具体的に選ぶかは、まさにその人次第です。正解は誰も教えてくれません。と言うか、教えられるものではありません。自分で考えて、自分の責任で選ぶもので、それができる人がフリーランスとして働き続けられるのだと思います。

uriel_archangel at 12:18 | 仕事 | 時間管理
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June 19, 2015

* 「濃い字幕」はくどすぎて浮く

「あれー、今日はこれをブログに書こう、と思っていたことがあったんだけど、なんだったっけ……」状態になってしまいました(汗) 結局思い出したのですが、なんだか微妙な内容だったので、あれこれ考えているうちにふと思い出したことを書きます。

だいぶ昔、SSTを使っていない時代の話です。

ある作品の字幕翻訳で、背景がまったく分からないのもどうかと思い、参考にしようと、原作というか原案となった本を読んで、取り組んだものがありました。

これが岩波文庫で、なつかしの、というと変かもしれませんが、「いかにも〜」な古典的文学作品でした。高校時代に頑張って『モンテ・クリスト伯』にチャレンジした自分を思い出したりして、頭の中はそういう「海外文学の空気」に満ちていました。映像を見ると、衣装などは当時のそのままではないにしても、臨場感にあふれています。

そういう雰囲気を大切にするべく字幕を作りました。当時はSSTを使っていないので、ひとまず字幕をテキストデータで作って送ると、仮MIXが送られてきます。当時は素材も仮MIXもビデオテープでした。

ともあれ、その仮MIXを見てびっくりしました。

――くどい! くどすぎる!

我ながら、字幕が「海外文学らしい雰囲気」を出しすぎていました。これに、もともとドラマティックな映像や音声や効果音が加わると、装飾過剰になってしまうのです。映像だけでお腹いっぱいになってしまうところで、字幕が余計なトッピングをするのはよくないということを、身をもって学びました。

「こりゃいかん」ということで、あまり時代がかった雰囲気が出ないように書き直しました。コーディネーターさんにも、「仮MIXを見たら字幕がくどすぎたので、かなり手を入れました」みたいな連絡をしていると思います。

以来、「字幕は映像の雰囲気からちょっと引いてるくらいでちょうどいいんだな」という感じで、字幕を作っています。私個人は、視聴者が埋める必要のあるギャップがちょっとあるくらいのほうが、すんなり頭に入るのだろうと思います。

今は、SSTに限らず自分のPCで、映像に自作の字幕を乗せる方法があるので、「どういうことだろう」と疑問に思う人は、実験してみるとよいと思います(原作があって邦訳が出版されている作品の字幕に訳文をそのまま入れてみる、など)。

私はスクールで学ぶとか、誰かに弟子入りするということもなく、いきなり仕事で字幕を作るようになった人間なので、もしかしたらこういう話はスクールなどで学ぶことなのかもしれませんけれど。

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June 17, 2015

* 海外の翻訳会社のコーディネーターさんはフレンドリーで上手いこと言ってくれます

先日、海外の結構大きな翻訳会社(Proz.comの有料会員だったときに登録したところ)のコーディネーターさんからメールがありました。

「こういう継続的なプロジェクトがあります。先方が優秀な人材を選びたいということで、あなたが条件に合うので連絡しました。このプロジェクトに興味があるということでしたら、トライアルを受けていただくのですが、いかがでしょう?」

――ということで、興味があったのでトライアルを受けました。その後2〜3週間ほど連絡がなかったので、「ダメだったんだなあ」と思いつつ過ごしていました。ダメだった場合に何の連絡もないというのは、よくある話なので。

でも、予想とは少し違っていて、さらに後、トライアルから1か月ちかく経過したところで、コーディネーターさんからメールが届きました。

「残念ながら、あなたは選ばれませんでした。でもいつか、あなたと一緒にプロジェクトができればと思っています」

いやー、フォローしてくれてありがとう! ……ということで、私のほうも、

「わざわざ連絡ありがとうございます。私にできることがありましたら、またご連絡ください」

と書いたところ、

「ぜひぜひ! 同僚にも、あなたのことを推薦しますから」

と、さらにお返事がありました。

「うーん、今回ダメだったのに、『この人いいよ!』ってホントに言うのかな?」という疑問がないわけではありませんが、イヤな気持ちにさせないというのは、良好な関係を築く上で大切ですね。今回の件では先方とは合わなかったけれど、他のところとは「ぜひぜひ!」になる可能性もゼロではありませんし。

恐らく日本語(ビジネスメール)だと、もっと堅い感じになってしまって、カジュアルにこういう感じでのやりとりはしにくいでしょうね。ある程度関係が築ければ、こういう話もできるかもしれませんが、しょっぱなからできるかというと……ですね。

ちなみに、英語だからと言って構える必要はありません。こちらだけでなく相手も英語のネイティブではないことも多いです。しかも、仕事の打診の時は「英文メールの書き方」的な本に出てくるようなカチッとした文章ではなく、"Hi!"で始まったりシンプルに用件だけだったり、"Thank you :)"こんな顔文字が入ってきたりするので、無理せず気楽に書けます。

――とは書いたものの、応募するときのカバーレターは、オーソドックスな文章の書き方にしておくほうが無難かな、と思います。これは、最初に頑張って、一度型を作ってしまえばいいのです。その後はちょこちょこいじって使いまわせます。

いろいろ可能性を考えている人は、思い切ってトライしてみてはどうでしょう。もちろん、相手がきちんとした会社か調べるというのは必要ですよ。

uriel_archangel at 11:46 | 仕事 
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