中世ヨーロッパ

November 21, 2019

* 内藤コレクション展「ゴシック写本の小宇宙――文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵」

国立西洋美術館の版画素描展示室で、ハプスブルク展と同じ会期で行われている小規模な展示です。常設展のチケットだけで見られますし、特別展のチケット(の半券)があれば、常設展も見られます。

小規模な展示とは言え、展示の規模と内容の濃さは比例するものではなく、時間の都合で後半に駆け足気味になってしまったのですが、たいへん興味深い内容でした。

まず入り口で、彩飾写本の模写の様子を紹介する動画が流れています。映像を見ていると、写本を作るのはとても手間のかかる作業ということが分かります。文字を書くだけでも大変ですが、それに加えて装飾やイラストを描くわけです。

しかも、展示されているリーフ(写本零葉と呼ぶようです)を見ると分かるのですが、本のサイズがとても小さいのです。文字を書くのも大変なのに、そこにさらに細かい装飾を施しているのですから、びっくりです。しかもその絵は、展示の一部として拡大されて飾ってあっても、雑なところが感じられません。「すごいなあ」と感じながらの見学でした。

また、今回のコレクションを寄贈された内藤裕史氏の文章を、企画展内でパンフレットとともに配布しているのですが、彼が収集にかけた情熱と、その貴重なコレクションを国立西洋美術館に寄贈することへの熱い思いがつづられていて、これも印象的に残りました。

素晴らしいコレクションが、これからどのように活用されていくのか楽しみです。

時間に余裕があったら、「ハプスブルク展」のときにぜひ足を延ばして見学してほしいなあ、という展示です。また、11月29日には関連する講演会も開催されるそうです。行けるかな……?

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April 20, 2017

* 鏡リュウジ『占星術の文化誌』原書房、2017年 と関連イベントに参加して

このようなイベントの存在を知り、「ぜひともお話を聞きたい」と、先週行ってきました。実は最近めっきり夜に弱いもので、お話を聞いているのはともかく、その後帰宅するのがなかなか辛かったです。下北沢駅は、ホームから出口が遠いので、到着もぎりぎりになりました。ともあれ、会場となった書店で書籍も購入しました。

占星術の文化誌
鏡リュウジ
原書房
2017-03-22


このエントリーは、イベントでうかがった話と書籍に書いてあること、自分が他の本で読んでいた知識が入り乱れた内容になります。

占星術というと、現在のような「○○座(□月□日〜△月△日生まれ)の人は……」というものを想像しますが、これは比較的新しいものだそうです。

何が重視されるかというと、ホロスコープ、惑星の配置です。これは複雑な計算などが必要なので、誰にでも分かるものではありません。現代ではコンピュータが気軽に利用でき、私のような一般人でも無料で見ることができます(素人に解読はできませんが)。私が子供のころは、500円分くらいの切手を「マイバースデイ」編集部に送って、作ってもらった記憶があります(経験者は語る/笑)。

そういう、惑星の動きが人間に影響を与えるという考え方は、当時の文学作品や絵画にも描かれています。そういう作品ではありませんが、「惑星の子供たち」という絵もさかんに描かれたそうです。

――というところで、これまでに読んだ本を思い出しました。



この本の、まさにタイトルとなった「中世の星の下で」という文章で、「惑星の子供たち」を説明しているのです。ここでも、
中世の人びとの日常生活は今日よりもはるかに密接に星辰の世界とかかわっていた。(中略)地上の出来事や人間の運命は天体の運行によって規定されるものと考えられとりわけ獣帯、十二宮と遊星の動きが注目されていた。しかし遊星の動きのほうが獣帯よりも強力であり、人びとは常に七つの遊星の動きに注目を払っていた。当時の医学はまさに遊星の動きと密接な関連をもっていたからである。
とあります。占星術と聞いたときに、なんでこの文章を思い出さないんだ、私、と、勝手に落ち込みました。

ちょっと話が脱線しますが、「中世の星の下で」で紹介されている絵は、ヴォルフェッグ家に伝わるハウスブーフという書物のものです。ドイツ語版のWikipediaにHausbuch (Schloss Wolfegg)という項目があり、惑星の子供たちの絵も紹介されているので、ドイツ語が理解できなくても、どのような感じの絵か分かるかと思います。

中世ヨーロッパでは、人々は小宇宙(ミクロコスモス)であり、人々を取り巻く大宇宙(マクロコスモス)の影響を避けられない、という考えでもありました。これは、



に書かれていました。だとしたら、惑星がどこにあるかが人々に影響を与えると考えるのも道理です(こちらは現在、どこにしまいこんだか分からない状態になっているため、文章の引用ができません……)。こうして見てみると、近代化というのは、周囲を取り巻く大宇宙から、物理的にも心理的にも人間を切り離すことだなあ、と思います。

また、鏡リュウジさんの本では、ホルストの『組曲 惑星』から、占星術と音楽のかかわりについて説明しています。ピュタゴラスからケプラーが紹介されていますが、ここでルネサンス・バロック音楽が好きな私は、アタナシウス・キルヒャーも思い出しました。彼らの時代は、宇宙の秩序を音楽で表現しようとしていたのですね。

あれこれ書いていることが本を読んだ感想ではなくなっていますが、こういうふうにこれまでに得たいろいろな知識が結びつく、とても興味深い本でした。ヨーロッパの文学や芸術の鑑賞に占星術の知識があると余計楽しめるというのは当然ですが(古代ギリシャ・ローマ神話、聖書と同じです)、歴史の理解も深まるなあ、と思いました。

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August 29, 2015

* 『世界の辺境とハードボイルド室町時代』にぐいぐい引き込まれています

世界の辺境とハードボイルド室町時代
高野 秀行
集英社インターナショナル
2015-08-26


Twitterで見かけたこれ↓がとても気になったので、思い切って購入しました。もう、この部分だけでぐいぐいと引き込まれるくらい、魅力的な内容でした。

中世ヨーロッパ好きとして、「日本人にとっての中世ヨーロッパって理解が難しい……」なのですが、この本は中世ヨーロッパの社会を知るヒントになると思ったのです。ヒントになるかも、と思ったのには、自分なりの理由があります。



たぶん、その筋(どの筋だ)の方には有名な本だと思うのですが、ここでは、中世の日本とヨーロッパの共通するところや相違するところについて述べられています(と思っているのですが、違ったらすみません)。

中世日本と現代世界の辺境に似ているところがあるなら、中世ヨーロッパにだって似ているところがあるんじゃないの? という、「マイ理論」ではあります。でも、現代の日本では存在しない価値観を知ることは、中世ヨーロッパの理解の助けになるかもしれません。

そんなわけで読み始めたのですが、面白い面白い! 本当に、まだ冒頭部分しか読んでいない段階なのですが、読み終わる前にこうやってブログに書いちゃうくらい興味深い内容です。目次を見たところ、直接言及しているわけではありませんがアジールの話もあるようで、「やっぱりアジールがあるんだ!」と、その部分に到達するのを楽しみにしています。――と、ここまで書いておいてアジールの話じゃなかったらどうしましょうね、というくらいです。

ところで、『中世の再発見』は、Kindle版もあります。



これも買うべきなのかな〜。

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July 25, 2015

* 偶然見た放送大学の講義が興味深い内容でした

地上波やBSに面白そうな番組がなかったので、番組表を眺めていて見つけました。さっさとCSの番組表に移動していたら、気づかなかったかもしれません。見てみたところ、非常に興味深い内容でした。なんというか、「どまんなか」という感じです(笑)

先ほど検索してみたところ、このような授業でした。で、昨日見たのはこの2つです。上記のページからの引用です。
  • 写本から印刷術へ 〜書物の文化の発展〜
    初期中世には、カロリング時代の教会改革とともに聖書やラテン語古典の写本の文化が開花し、13世紀の大学成立の時期になると、書物には頁や索引が付され、より合理的な知識の検索ツールとなる。そのような書物の発展が活版印刷の発明を導き、書物の大量生産の時代を到来させた。その過程を考える。

  • 中世の民衆と文字文化
    中世の民衆の間で、いかに俗語の文字文化を発展していったかを中世後期まで辿る。とくに、都市の実務文書と俗語文字文化との関係や、「往生術」、「死の舞踏」といった宗教的な木版印刷が俗語文字文化の発展にどのようにかかわったかを考察する。
活版印刷についての話は、先日見たヴァチカン教皇庁図書館展とも重なるところがありました。活版印刷が、知識や思想を広めるという活動にどれだけ貢献したか、というのを考えさせられます。

それ以前は書物の「コピー」は写本しかなかったわけですから、知識や思想が広まる範囲やスピードは、今とは比べ物にならない(小さい)規模なのです。木版で印刷するとしても、それこそ活字を組んでいたわけではないですから、作成のスピードには限度があります。現代から過去を見る場合、そういう違いを意識しないといけないのですよね。

アントワープにあるプランタン・モレトゥス印刷博物館に、行ってみたいなあ、と思います。活版印刷が発明されたころから19世紀半ばまで、300年にわたって質の高い印刷を手掛けた会社が、今は博物館として保存されているのだそうです。

そして、ヨーロッパ各地に誕生した大学が地図に表示されていたのですが、やはりスペイン・イタリア・フランスに比較すると、ドイツ以東(中欧〜東欧)は大学の数が少ないなあ、と思いました。

「中世の民衆と文字文化」は、知らなかった話が多く、非常に勉強になりました。当時の人々にとって「読める」と「書ける」は同じではなく、違う人が担っていたのです。文字を書けるようになるためには、専門の教育が必要でした。

普通の人は(どのレベルかはしっかり覚えていませんが)、「ここに書かれているのは自分の名前だ」というのは分かっても、内容は口頭で説明を受けなければ分からなかっただろう、ということです。

そして、ワルド派についての説明が、私はまったく知らなかったことで、とても勉強になりました。ワルドは聖書の内容を俗語で(日常で使っている言葉)で記した書物を作り、それをもとに人々に説明することで、聖書の教えを知ろうとしたのです。

先ほども書きましたが、それまでは(そしてその後も)教会にあるラテン語で書かれた聖書を聖職者が説明してきたわけです。場所によっては、教会にも聖書は置いていない、ということはあったと思います。

そこで、「自分たちの言葉で聖書を読む」という活動をするグループにとって、当然教会での説明に納得いかないところも出てきます。いろいろと端折ってしまうと、そんなわけでワルド派は異端とされ、迫害されました。

ここで、分かる人には分かると思うのですが、聖書を自分で読むというワルド派の姿勢は、プロテスタントと非常に近いのです。活版印刷のある時代だったら、ワルド派の広まりや扱いも、違ったのではないかと思います。

実際、ワルド派の人々は、宗教改革期に多くがプロテスタントに合流したそうです。どこかは忘れましたが、ルターとワルド(ワルド派の創始者)の像のある宗教改革の記念碑(だったかな?)が紹介されていました。

偶然見つけた番組ですが、とても勉強になりました。

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May 02, 2015

* 現代日本のシングルマザーの置かれた状況は中世ドイツとあまり変わらないと思った

……なんて、ちょっと刺激的なタイトルにしてみましたよ。

詳しくは書きませんが、何か月か前に起きたある事件を契機に、シングルマザーの置かれた厳しい状況が話題になりました。母親の手記を読んで、「ああ、あそこに書かれていた状況と同じだ」と思ったのが、何度も書いている私の愛読書での描写です。



ありがたいことに、今はKindle版もあります。最近はもっぱらこちらで読んでいます。




以下に引用します。ページ数は文庫版のものです。
 彼女たち[引用者注:未婚の母親や寡婦]は市民権を持っていなかったから、親方になれなかったどころか組合に入ることも、徒弟になることも、賤民の職業とされていた刑吏、牢守、皮剥人などになることも出来ない。彼女たちはこれらの賤民のように職業・身分の故に賤民だったのではなく、その存在が既にこの社会でポジティヴな地位すらもちえないようなものなのであった。
 彼女たちが賤民に数えられるのは、まさに彼女たちが配偶者を失ったことによって身分制原理から、財産もなく、働く機会を奪われたことによって金銭の原理からはじき出されてしまったからに他ならない。(後略)[p.135]
補足すると、当時は、贈与関係で結ばれる身分制社会から金銭を媒介とする近代的な社会への過渡期であり、商人が台頭しつつある時代でした。未婚の母親や寡婦は、新しい身分制度と古い身分制度、そのどちらからもこぼれてしまう存在だった、ということです。
 身にはボロを纏い、同年輩の女房などがそれぞれの亭主のことを自慢したり、こきおろしたりしている立ち話の横をうつむきながらも毅然としてすりぬけ、男たちの好色なまなざしにさらされながら、子供の成長だけに一生の期待をかけていた彼女たち、こうした女性たちは無限に続くように思われる、昼と夜の交代をどのような心境で受け止めていただろうか。
(中略)
 だがドイツ中世都市の日常には我が国の現在のように、駆けずり回るほどの忙しい仕事があったわけではない。彼女たちは仕事がありさえすれば喜んで働いたことだろうが、実際はそれがなかなか難しかった。オーストリアの歴史家ヘーアは中世後期にドイツの都市が衰退していったのは、これらの婦人の巨大な労働力が男性によって駆逐されたせいだとまでいっている。商業が発達した大都会ならいろいろな下働きの口はあったが、ハーメルンのような小都市では仕事にありつくことがすでに大仕事であり、屈辱的な経験であった。(後略)[pp.137-138]
前半部分は阿部氏の想像ですが、豊かな空想の産物というものではなく、ご自身がそういう状況にある女性の姿を見聞きしていて、それを踏まえて書いたのではないかと思います。これも私の想像でしかありませんが、戦中・戦後は配偶者を失って苦労していた女性は多かったはずです。

もう何年も前に、オーストリアの歴史家ヘーアは中世後期にドイツの都市が衰退していったのは、これらの婦人の巨大な労働力が男性によって駆逐されたせいだとまでいっている。という部分から「女性の労働力の活用は大事だよ〜」的なことを書いたことがあります(こちら)。

私はこの本での女性たちの描写を「遠い国の遠い昔の話」と思っていましたが、それは私の世界が狭いだけで、今でもこのような状況は続いているのだな、と考えさせられました。

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November 04, 2014

* 阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』Kindle化されていたとは!

マメにチェックしなくてはいけませんね。早速購入しましたよ。



しかもKindleになったのは1年以上前でしたか……。ともあれ、これで長年の「旅の友」といつも一緒にいられます。iPad miniだと文庫よりも字が大きくなるので、そこはありがたいですね。

ちょうど先日、この本を久しぶりに本棚から取り出して読んでいたところでした。学生時代から、旅行の時には必ずカバンに入れて持って行って、移動中や時間が余ったときに読んでいました。何度も何度も読み返したい本です。私の(脳内にとどまってなかなか表に出てこない)物語世界にも、大きく影響を与えています。

ちょっと話が外れますが、今のダイエットが順調なのは、参考にしているダイエット本をKindleで買っていて、いつでもどこでも読んでモチベーションの維持につなげていられるからだと思います。好きな本や常に手元に置いておきたい本が電子書籍としてタブレットやスマートフォンに入れておけると、とても便利なのだなあ、と、しみじみ思います。

そんなわけで、このあたりも私の「旅の友」なので、Kindle化希望です……。







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June 28, 2011

* エロイーズの近代性

読み終えた本が増えました。相変わらずブクログに書けていませんが……

西洋中世の男と女―聖性の呪縛の下で (ちくま学芸文庫)
西洋中世の男と女―聖性の呪縛の下で (ちくま学芸文庫)
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きちんとブクログで感想を書こうと思うのですが、最終章で取り上げている、アベラール(ペトルス・アベラルドゥス)とエロイーズに関する阿部先生の分析が、とても印象的でした。

アベラールの「自分の師の間違いも容赦なく指摘する」という姿勢も、エロイーズの「愛の快楽を悔いる気にはなれないし、記憶から消し去る気にもなれない」という考え方も、とても近代的です。どちらかというとエロイーズの考え方のほうが、アベラールより新しいと思います。

さらに、エロイーズは過去の2人の愛を振り返って生きるばかりではなく、女子修道院の運営についても合理的に考え、アベラールに質問を投げかけています。本当に優秀な女性なのだと思いました。

エロイーズの著作が残っていたら、どのように彼女が物事を考え、書いていたか、読んでみたいと思うくらいです。この本によると、中世ヨーロッパでは女性のほうが教養があった(読み書きができる)とのことなのですが、残念ながら、日本のように女性が書き著したものはあまり現存していないようです。もったいないなあ、と思います。

調べているうちに、アベラールとエロイーズの往復書簡は、新訳で出版されていることが分かりました。学生時代に入手した旧訳はまだ手元にあって、読破できていないはずです。とりあえず旧訳を読破するところから始めないといけません。

アベラールとエロイーズ 愛の往復書簡 (岩波文庫)
アベラールとエロイーズ 愛の往復書簡 (岩波文庫)
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それにしても、商品の説明欄に「神なき修道女」となったエロイーズからの懊悩の手紙に、いかに答え、いかに導いたか。とあるのですが、阿部先生の書きぶりだと、「エロイーズの先進的な考え方にアベラールがついていけないところがある」感じのようです。

こういう知識を仕入れてから読むと、いっそう興味深く読めるのではないかと思います。

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March 03, 2011

* 阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』と『中世の星の下で』

私にとって、この2冊の本は非常に重要な存在です。

この2冊を最初に買ったのは、ちくま文庫で発売されて間もない高校生のころでした。でも、当時の「中世ヨーロッパといえばお城! 騎士!」だった私には、特に『ハーメルンの笛吹き男』の内容のすばらしさが分かりませんでした。

じっくりと向き合えるようになったのは、大学生になってからではないかと思います。

きっかけは、海外旅行や短期の語学留学でした。特に語学留学では、持ち運べる荷物が限られています。本が好きと言っても、旅行の目的は読書ではありませんから、何冊も持っていけません。そこで選んだのが、この2冊でした。恐らく、「きちんと読んでいない」「内容が濃いので読み応えがある」という理由だったのではないかと思います。

そうやってじっくり読んだときに、内容の興味深さに気づきました。さらに、幸か不幸か、日本語で読める本が少なかった(この2冊しかなかった)こともあり、語学留学のときは2ヶ月間、一人で部屋にいて何もすることがないときは、この本を読んでいました。何度も何度も読みました。

まさに「精読」をしていたわけですが、おかげでこの2冊の本の内容は、かなり頭に入りました。『ハーメルンの笛吹き男』の内容の深さを理解できただけでなく、それまでも一応読んでいた『中世の星の下で』の奥深さも味わえました。夜寝る前にベッドで読んでいたときなど、読みながら一人でじっくりと考える時間があったこともあり、咀嚼して自分のものにできたように思います。

語学留学ではそんなに「いかにも中世」という町並みの都市にいたわけではありませんが、週末の小旅行や、ヨーロッパ観光ツアーのときなど、そういう歴史を感じられる場所に行くと、本の内容が「自分の身にしみこむ」感覚がありました。

この2冊の本は、大学で史学を専攻しなかった私に、歴史とどう向き合うかを教えてくれた本です。

何度も何度も読んでいて、持ち運びもするので、だんだん表紙がボロボロになってきてしまいました。そこで、それぞれ2代目を購入し、現在はそちらを読んでいます。何度読んでもいろいろと考えることのある本です。

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)
著者:阿部 謹也
筑摩書房(1988-12)
販売元:Amazon.co.jp
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中世の星の下で (ちくま学芸文庫)中世の星の下で (ちくま学芸文庫)
著者:阿部 謹也
筑摩書房(2010-11-12)
販売元:Amazon.co.jp
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