国立新美術館

November 08, 2014

* チューリヒ美術館展

仕事が一段落してチケットホルダーを見て、愕然としました。自分でもブログに書いてましたけど、前売券が3枚もあるではないですか! ――というわけで、慌てて1つめに行きましたよ。「あのものすごーく有名な画家の、あのものすごーく有名な作品が来る!」という展覧会ではありません。そういうこともあってか、平日午前中の展覧会場はひどい混雑ではなく、じっくりと鑑賞できました。

普段あまり積極的には見ない、印象派以降の作品ばかりの展示です。画家やジャンル別の展示になっていて、分かりやすかったです。

セガンティーニは、ドイツのコンスタンツにあるゲーテ・インスティテュート(今もあるのかな? コンスタンツ校はフライブルク校の分校という感じで、夏季限定でした)に行ったときに(スイスとの国境の町なので)「スイスのセガンティーニ美術館に行った」という方がいて、名前はよーく覚えていました。

そして、本やテレビ番組、それまでに行った展覧会などであれこれ知識をつけてから見ると、分かることも増えていきます。学生時代は意識していませんでしたが、セガンティーニは筆触分割で描いています。

モネの描いた積み藁で夏に見たジャポニスムの展覧会を思い出し、浮世絵で描かれた日本の家屋の表現に影響を受けたものだな〜、などと考えました。こういう、他の展覧会で得た知識が「ピピッ」とつながる感じがするのが、とても好きなのですよね。

ここでも、ホドラーの作品がありました。ここでも、と書いたくせに見に行ったわけではないのですが、ちょうど西洋美術館でフェルディナント・ホドラー展を開催しています。独特のポーズを「パラレリズム」と呼ぶそうですが、なんというか不思議な感じです。

ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、ルソーは「いかにも〜」という感じの作品でした。名前を「ぶらぶら美術・博物館」で聞いた程度のナビ派の作品も、「こういう作品なのか」と思いながら眺めました。ヴァロットンの絵は、木版画で有名になったという解説を見たからか、濃淡のはっきりした感じが版画的にも見えました。

ムンクによる明るい感じの肖像画は「ムンクといえば《叫び》でしょ」的な初心者には意外な感じでした。そして、ブラックやピカソの絵を見て、「私でも描けそうに見えるけれど、描けないんだろうなあ」というありがちな感想を抱いたり。

パウル・クレーの《狩人の木のもとで》は、シンプルな表現が息子の好きそうな感じだなあ、などと思いました。――のですが、最後の物販コーナーで、絵葉書があるかどうかをチェックするのを失念していました(汗) あったら、買ってあげれば喜んだかも? と思ってしまいます。

カンディンスキーやモンドリアンの作品もじっくり見られました。「抽象絵画」としてひとくくりにされていますが、表現はまったく違いますね。シャガールの絵も、解説とあわせて鑑賞すると、とても参考になります。幸せそうなカップルの姿だけれど、これを描いた時には彼は最愛の奥さんを亡くしていたんだなあ、と思うと、作品を見る目も違ってきます。

そんなわけで、普段積極的に見に行かない画家やジャンルの作品もじっくり見られて、知識が増えてとてもうれしい! という展覧会でした。

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September 24, 2014

* 気になる展覧会チェック(20140924)

まだ情報があまり出ていない展覧会も、忘れないうちに書いておくことにします。
  • 東京都美術館
    ウフィツィ美術館展 黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで (2014年10月11日日〜12月14日)
    特設サイトによると、「ウフィツィ美術館展」というのは日本初なのだとか。サイトではボッティチェリにフォーカスして見どころを紹介していますが、ウフィツィ美術館に所蔵されている作品をメインに、アカデミア美術館、パラティーナ美術館、捨て子養育院美術館などフィレンツェを代表する美術館から作品が集結します。とのことです。ルネサンス時代に栄華を極めたフィレンツェの美術が、とても楽しみです。フィレンツェは学生時代に一度行ったきりですが、「また行くぞ!」というのを目標に頑張ります。

  • 国立新美術館
    • チューリヒ美術館展 (2014年9月25日〜12月15日)
      学生時代に、ドイツの(スイスと接する)国境の町コンスタンツの語学学校に行きました。一番近い大都会がチューリヒだったので(電車で1時間半)、この美術館に行ったのではないかな? という気もするのですが、はっきり覚えていません。もう大昔の話ですからね……。セガンティーニの名前は聞いた覚えがあるので、やっぱり行ったのかな? 印象派以降というか近代の作品が多く、新しい知識が増えるのが楽しみです。
    • ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄 (2015年2月21日〜6月1日)
      だいぶ先のことなので、鬼が笑いそうな話ですね。展覧会の情報だけですが、特設サイトもできています。7月末にTwitterでこのニュースが話題になりました。初来日となるフェルメールの傑作≪天文学者≫のほか、ティツィアーノ、マセイス、レンブラント、ルーベンス、ムリーリョ、ヴァトー、ブーシェ、シャルダン、ミレーなど、各国・各時代を代表する巨匠たちの名画が一堂に会します。とのことなので、とても楽しみです。

  • 国立西洋美術館
    ネーデルラントの寓意版画(2014年10月7日〜2015年1月12日)
    これは版画素描展示室での展示で、常設展の観覧券や企画展の観覧券で見られます。このときの企画展は「日本・スイス国交樹立150周年記念 フェルディナント・ホドラー展」なのですが、実はこちらの寓意版画のほうが気になる状態でして……。もしかしたら企画展も見に行くかもしれません(特設サイトを見ていたら、面白そうな感じがしてきました)。寓意は現代の私たちにはピンとこないものもありますが、これまた勉強です。

  • Bunkamuraザ・ミュージアム
    ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美(2015年3月21日〜6月28日/予定)
    これまた、だいぶ先の話です。まだ特設サイトはありませんが、美術館のサイトに情報があったので、忘れないうちにここにもメモです。本展では、ヨーロッパ全土の貿易とビジネスを支配し、ルネサンスの原動力となった銀行・金融業と、近代のメセナ活動の誕生を、ボッティチェリの名品の数々を中心に、ルネサンス期を代表する芸術家たちによる絵画・彫刻・版画や、時代背景を物語る書籍・史料など約80点によって、浮き彫りにします。ということなので、作品だけでなく、フィレンツェの発展に携わった人々(会社?)についても触れられるのかな? と思っています。

ウフィツィ、ルーヴル、ボッティチェリと、私がとっても好きな時代を取り上げた展覧会が続きます。見逃せないものばかりですね。

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August 08, 2014

* オルセー美術館展 印象派の誕生 −描くことの自由−

今週は、日・月と美術館に行きました。前日のジャポニスム展はボストン美術館所蔵の作品でしたが、この日はパリのオルセー美術館です。印象派の始まりからレアリスムにいたるまで、さらに同時代にサロンで評価された作品も展示され、「ミニ・オルセー美術館」の趣でした。

エドゥアール・マネの《笛を吹く少年》やギュスターヴ・カイユボットの《床に鉋(かんな)をかける人々》、ジャン=フランソワ・ミレーの《晩鐘》などは見覚えがありましたが、これまで知らなかった作家についても知ることができました。それが、フレデリック・バジールです。

画家でもあり、モネやルノワールと親交があり金銭的にも支えた重要人物ですが、普仏戦争に出征し、わずか29歳で戦死したとのことです。マウリッツハイスで見たカレル・ファブリティウスもそうですが、こういう将来を嘱望された人物の不慮の死というものには考えさせられます。

――と思いつついろいろ調べていたら、「どうしてこんなところで命を落とさなければならないんだ」という人は何人もいて、心が重くなってしまいました。自分は人生でそれなりのことをなしたいなあ、と思いました。

それはともかく、今回の展覧会ではマネの作品が多く紹介され、サロンで高く評価された作品もあって、オルセー美術館と聞くとすぐに思い浮かぶ「印象派の展覧会」というより「マネと同時代の作品の紹介」でした。

アカデミーが評価する作品と新たな表現を模索した印象派をはじめとする画家たちの作品の対比が、とても興味深かったです。オルセー美術館でも実際に、そうやって比較しながら見学できるようになっています(ひと昔以上前に私が行ったときと、展示方法が大幅に変わっていなければ、ですが)。

息子は、気になる作品にできるだけ顔を近づけて見たり、ナナメから見たりして、「厚く塗っている」とか「近くで見るとラフに塗っている」とか、そういうタッチを確認していました。

興味深い展覧会でしたが、「この時代や印象派に関する資料(書籍)はたくさんあるからなあ」ということで、ショップでは何も購入しませんでした。

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April 08, 2014

* 気になる展覧会チェック(20140408)

あれもこれもと詰め込みすぎたなあ、とは思います。でも、「これは当分先だから、また後で書こう」と思っていると忘れたままになってしまうお年頃なのです。なので、「気になったものはとにかく書く」の方針で行きます!

情報が早いからか特設サイトなどがない展覧会もあります。でも、またこういう記事を書くときに特設サイトができていたら、情報を追加しようと思います。
  • Bunkamuraザ・ミュージアム
    • ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション (2014年4月4日〜5月25日)
      これは、見かけた展覧会のポスターの雰囲気がきれいだし私の好きなルネサンスだしで、気になっていました。当然というかなんというか、ルネサンス期の作品が多いようです。歴史ある家系なのですね〜。ボッティチェリの作品もあるそうですが、サヴォナローラの影響を受けた後のものなので、サイトを見ているとマニエリスムにつながるものを感じます。
    • Bunkamura25周年特別企画 進化するだまし絵 だまし絵 (2014年8月9日〜10月5日)
      2009年に開催された「だまし絵」の続編だそうです。前回を見ていないのが残念。アルチンボルドの作品もあるので、ルネサンスから現代まで、さまざまな作品が楽しめそうですね。これは、特設サイトが楽しみです。

  • 国立新美術館
    • イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる (2014年2月19日〜6月9日)
      リンク先はFacebookページです。最近は、特設サイトもいろいろありますね〜。先日のぶらぶら美術・博物館で紹介されていて「面白そう」と思いました。番組の概要はこちらで見られます。ちょうど先月みんぱくに行ったばかりなのですが、解説つきで見ると、いっそう奥の深さを感じます。
    • オルセー美術館展 印象派の誕生ー描くことの自由ー (2014年7月9日〜10月20日)
      マネの《草上の朝食》が来日するそうです。《笛を吹く少年》とかカイユボットの 《床に鉋(かんな)をかける人々》とかミレーの《晩鐘》とか、有名どころの作品が紹介されていますが、これ全部来るのでしょうか。来るとしたら、なかなかすごいのですが……。と、ワクワクが続きます。楽しみです。

  • 江戸東京博物館
    大江戸と洛中 〜アジアのなかの都市景観〜 (2014年3月18日〜5月11日)
    「なんちゃって」ではありますが、いちおう卒論で都市論を取り上げた身としては、気になるテーマです。京都や江戸の都市づくりが、アジアや世界から見たときにどのような姿に見えるのか、というのは

  • サントリー美術館
    のぞいてびっくり江戸絵画−科学の眼、視覚のふしぎ− (2014年3月29日〜5月11日)
    チラシや展覧会サイトのトップページで使われている、人がたくさん集まって別の人の姿になっている絵は、「寄せ絵」と言うそうです。なんだか、アルチンボルドの絵にも通じますよね……。遠近法や透視図を用いた鳥瞰図、顕微鏡、博物学が、江戸時代の絵画にもたらした影響を見ていく展覧会、とのことです。楽しめそうな展示内容です。

  • 三菱一号館美術館
    ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900 (2014年1月30日〜5月6日)
    最後に取り上げた展覧会が、終了までの期間が一番短いものでした(汗) コラボしているとおり、ラファエル前派展と行くと、よりいっそう楽しめたのだろうなあ、と思います。ビアズリーのサロメの絵もあるみたいですね。ちょうど三菱一号館の建てられた時代とも合うようで、そういう雰囲気の中で楽しんだら格別なのだろうと思います。

全部制覇! というのはさすがに難しいかな、と思うのですが、なるべく多く見に行けるようにしたいですね。

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October 13, 2013

* 気になる展覧会チェック(20131013)

こうしてブログに書いていても、行きそびれた展覧会があります。前売券も手に入れていたのに(涙) そして今回は逆に、前売券を買いそびれた展覧会ばかりです。子供と一緒に行こうなんて思わずに、行けるときに行きたい展覧会に行くのが大切ですね。会期終了が早い順に並べます。
  • Bunkamura ザ・ミュージアム
    山寺 後藤美術館コレクション展 バルビゾンへの道 (2013年10月20日〜11月18日)
    「あの名作が来る!」という展覧会ではありませんが、バロック期から19世紀後半におよぶ神話画、宗教画、肖像画、静物画、そして近代へと向かう絵画の新たな可能性の扉を開いたバルビゾン派の風景画に至るヨーロッパ絵画の変遷を、同館のコレクション約70点を通して辿ります。とのことなので、勉強になりそうです。これはまだ、前売券が手に入れられますね。

  • 東京藝術大学大学美術館
    興福寺創建1300年記念 国宝 興福寺仏頭展 (2013年9月3日〜11月24日)
    あの有名な、興福寺の仏頭が東京で見られるのです。十二神将も来ますよ! 確かに去年、奈良で見ましたけれど、交通費をかけずにまた見られるのであれば、行くしかないでしょう! 興福寺の所蔵品がこんなにいっぱい来ていたら、その間興福寺国宝館はどうなっているのかしら? と思ってしまいます。

  • 東京都美術館
    ターナー展 (2013年10月8日〜12月18日)
    本展覧会は、世界最大のコレクションを誇るロンドンのテート美術館から、油彩画の名品30点以上に加え、水彩画、スケッチブックなど計約110点を展示し、その栄光の軌跡をたどります。私はイギリスに行ったことがないので、あまりターナーについては知らないのですが、大がかりな展覧会です。せっかく東京で見られるのなら、行っておいたほうがいいですよね。

  • 国立新美術館
    印象派を超えて―点描の画家たち (2013年10月4日〜12月23日)
    どこまでが展覧会のタイトルで、どこからがサブタイトルなのかが分かりませんが、全部を表記すると「クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に/印象派を超えて―点描の画家たち/ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」となります。本当に、点描画から抽象画まで見られます。ブリュッセルの王立美術館は現代美術が充実していたのですが、オランダもそうなのかな? と思っています。あまり詳しくない時代の作品なので、勉強になりそうです。

  • 国立科学博物館
    大恐竜展 ゴビ砂漠の脅威 (2013年10月26日〜2014年2月23日)
    ゴビ砂漠と言えば、私が子供のころから恐竜の化石で有名でした。本展は、モンゴル・ゴビ砂漠の実物恐竜化石を一堂に見ることができる、極めて貴重な機会となります。これほどの規模での公開は、モンゴル国内でもこれまで実施されたことはありませんでした。また、新種を提唱する基となる標本「ホロタイプ標本」が約10点展示される、国際的にも稀に見る展覧会です。しかも、タルボザウルスの全身骨格の実物も展示されるそうです。これは、恐竜好き(理科好き)の男の子のお母さんとしては、見逃すわけにはいきません。

  • 国立西洋美術館
    モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新 (2013年12月9日〜2014年3月9日)
    ポーラ美術館と国立西洋美術館のコレクションが共演するそうです。現在はポーラ美術館で開催中です。本展覧会は、同じ内容を2館で展示するのではなく、各館の特徴をそれぞれ打ち出した展覧会です。原文でゴシック体になっています。本来は、それぞれの美術館を訪ねて楽しむものなのでしょうね。国立西洋美術館での展示は今回の展覧会では、モネとその作品をめぐる時代背景や文化的文脈の理解につなげることを目指し、収蔵品の中から展覧会図録に収録されない絵画や版画作品も参考作品として展示に加えつつ、同時代の出版物等の参考資料もあわせて紹介します。で、ポーラ美術館ではポーラ美術館でのみどころは、「モネとガレ」 「自然の中でみる印象派」 の2つ。だそうです。ポーラ美術館の開催概要はこちらです。こういう美術館同士のコラボレーションというのは、とても興味深いです。

どの展覧会も見逃すことのないように、しっかりチェックしなくてはいけませんね。自分のスケジュール管理も怠らないようにしなければ、です……。

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June 23, 2013

* 貴婦人と一角獣展

やっと見に行きました。予想以上に、老若男女、さまざまな人が訪れていました。もっと早い段階の、あまりメジャーにならないうちに、じっくり見学できれば……というところです。

――とは書きましたが、じっくり鑑賞できない、というほどひどい混雑ではありません。作品の規模が大きいので、遠くから見たり、近くから見たり、じっくりと鑑賞できます。

今回も、というか今回こそ、音声ガイドを装備して鑑賞に出発! でした。図像学というか、この時期の作品を十分に理解するには、描かれているものが何を象徴するかという解説が必要だなあ、と思ったからです。

会場を入ってすぐに円形(?)の展示室があり、そこに6枚の連作タピスリー《貴婦人と一角獣》がぐるりと展示されています。音声ガイドを聞きながら何が描かれているかを理解しつつ、五感を象徴する5枚のタピスリーから、最後の《我が唯一の望み》まで見学しました。

隣の部屋では高精細のデジタル映像で、タピスリーがじっくりと見られます。作品保護のため、タピスリーの展示室はあまり明るくありません。そのぶん、この映像で詳細な描写が見られます。

さらにその後は、描かれている動物(空想の生き物含む)や植物について、当時の服飾品、身分の高い女性の描かれ方、同時代のタピスリーなど、《貴婦人と一角獣》の理解に役立つ展示を見ます。

うれしいのは、この後、もう一度《貴婦人と一角獣》の展示室に入って、作品が鑑賞できることです。中世美術をまったく知らないというわけではないので、「実在の植物が描かれているのだろうなあ」などと考えながら見ていましたが、色々な知識を入れた後で、解説なしで作品の前に立つことで、また違った自分なりの味わい方ができると思います。

音声ガイドで、最初と同じ部分の『マルテ・ラウリス・ブリッゲの手記』の朗読が最後に入っていたのも、また新たな気持ちで作品の前に立つ、という感じがしてよかったです。

いつもは「収納場所が……」「出費が痛い……」と理由をつけて購入しない図録ですが、今回はさすがに入手しました。
「一角獣」「植物と動物」「衣服と装身具」「紋章と標章」「中世における五感と第六感」「1500年頃のタピスリー芸術」というテーマにそって読み解いていきます。

出品作品および参考図版をオールカラーでお楽しみいただけます。

クリュニー中世美術館館長執筆の論文を含む、読み応えありの論文も4本掲載されています。
こういう分野の専門的な文章を読む機会というのは、なかなかありません。それと、中世のものの考え方というのは今と違うので、それを知る手がかりになれば、と思ったのです。

《貴婦人と一角獣》は、次に日本に来ることがあるかは分からないというくらい、貴重な作品です。さらに、中世ヨーロッパの美術品(工芸品)の最高傑作の1つに数えられます。私は、「これはパリのクリュニーに行かなければ見られないものだ」と思っていました。

なので、ちょっとでも中世ヨーロッパや美術に興味のある人は、見に行って損はない、という展覧会だと思います。

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June 18, 2013

* 気になる展覧会チェック(20130618)

2か月に1回くらいはチェックしないと、うっかりスルーしてしまう展覧会が出てきそうです。会期がかなり先のもの(10月から、など)は後回しにしています。なので、この後仕事が忙しくなり、「展覧会チェックを書くヒマがない〜」となると、危険です。

先日のダ・ヴィンチ展は、まさにこの状態で自分のチェックから漏れていたので、危うく見逃すところでした。危ない危ない。

ともあれ、気になる展覧会を一気に書きます。
  • Bunkamura ザ・ミュージアム
    レオ・レオニ 絵本のしごと (2013年6月22日〜8月4日)
    この展覧会、ポスターがかわいらしいのです。それで気になっていました。私はレオ・レオニと言ったら、スイミーしか知らないのですが……。かわいいもの好きの息子もどこかでポスターを見たらしく、気になっていると言っていました。行くとしたら、期末試験が終わったら、ですね。

  • 東京都美術館
    ルーヴル美術館展—地中海 四千年のものがたり—(2013年7月20日〜9月23日)
    ものすごーく派手で分かりやすい「名作!」が来るわけではありません。でも、特設サイトの解説によると、「西洋、東洋、アフリカを結ぶ場所」としての地中海にスポットを当て、古代から19世紀に至る美術・工芸品が展示されます。特に興味がある時代や地域というわけではないのですが、いろいろと勉強になりそうだなあ、と。これは1人でふらりと行くかもしれません。

  • 国立科学博物館
    深海 ―挑戦の歩みと驚異の生きものたち―(2013年7月6日〜10月6日)
    あの、ダイオウイカですよ〜。それだけではないですが。深海は、私たち人間が、宇宙と同じくらいか、それ以上に分かっていないことが多い場所だと思います。神秘的で不思議な深海の世界を見るのが、楽しみです。生物の標本にびっくりするだろうなあ、と、今から予想しています。これも、夏休みが終わるまでには行かないと、です。

  • 国立新美術館
    アメリカン・ポップ・アート展(2013年8月7日〜10月21日)
    実は、ポップアートはそんなに詳しくなく興味もあまりなく、なのです……でも、あの有名なアンディ・ウォーホルの《200個のキャンベル・スープ缶》が見られるということで、行ってみたら学ぶこともあって、いいかなあ、と。新しいことを知るというのが、好きなのです。

  • 国立西洋美術館
    ミケランジェロ展(2013年9月6日〜11月17日)
    システィーナ礼拝堂500年記念、というものだそうです。サイトを見たところ、ミケランジェロの人物についても紹介し、システィーナ礼拝堂にの天井画や祭壇画のための習作や、建築家としてのミケランジェロにもスポットを当てるようです。人体表現(とその変遷)についても紹介するということで、「これを見てローマやフィレンツェに行けば完璧!」という感じです。実に素晴らしい。

  • 東京国立博物館
    京都―洛中洛外図と障壁画の美(2013年10月8日〜12月1日)
    「洛中洛外図屏風」をすべて展示するなど、「京都でも見ることのできない京都」を体感できる展覧会となるそうです。京都に行った後の会期ですが、復習になったり、新たな知識を得たりする機会にできるようにしたいですね。ということは、要チェックなのは「御所、龍安寺、二条城、京の街」となるようです。

スケジュール管理をしっかりすれば、全部行けるかな? と思っています。京都の展覧会のころには、会期がまだ先だからと書かなかった展覧会が、あれこれ始まります。遅くとも9月になったら、またチェックしたいですね。

今年は結構、あちこちの展覧会に行けていて、うれしいです。

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March 09, 2013

* 気になる展覧会チェック(20130309)

このブログで最後に「気になる展覧会チェック」をしたのは、去年の7月でした……。今年はもうちょっとマメに情報を集めて更新しようと思います。はい。もう3月ですけれど(汗)

そんなわけで、見逃してしまった展覧会も複数ありますが、気になるものをずらずらーっと並べます。今回は、iPod touchの「ミュージアムカフェ」のアプリでポスターギャラリーをチェックしました。いろいろ出てきたので、2回に分けてご紹介予定です。
  • 東京都美術館
    エル・グレコ展(2013年1月19日〜4月7日)
    これはもう、「見なくちゃ!」ですね。興味はありますが、彼が活躍したスペインに行ったことがないため、たくさんの作品を鑑賞する機会がありませんでした。むかしむかし、中学生くらいのときに、やはり「エル・グレコ展」があったのは覚えているのですが、そのときは行きませんでした……。宗教画も肖像画も、それぞれの特徴があるので解説も興味深いです。実はこの展覧会、関連イベントのコンサートも素晴らしいのです。古楽好きさんいらっしゃい、という趣です。黄金世紀のスペインの音楽です。もちろん、この時代の芸術に興味のある人にもおすすめ。

  • Bunkamura ザ・ミュージアム
    ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア(2013年3月9日〜4月21日)
    今日から開催ですが、ゴールデンウィーク前には終了してしまうのですね。人気画家というだけでなく外交官としても活躍した彼の作品は、例えば現存する作品が少ないフェルメールと比べると、「結局レンブラントの、というより彼の工房の作品なのよね」という感じなのですが、そこにスポットライトを当てるということで、興味深いです。

  • 国立西洋美術館
    ラファエロ(2013年3月2日〜6月2日)
    あの《大公の聖母》が来るのですよ! もうふた昔ほど前に、フィレンツェで見ましたが……わざわざ行かずとも見られるのなら、見に行かなきゃ、という作品です。それと、確かに「ルネサンス絵画」としてラファエロの作品が出展されることはあったかもしれませんが、ラファエロをクローズアップした展覧会は、初めてですね。どういう切り口で展示されるのか、興味津々です。

  • 国立科学博物館
    グレートジャーニー(2013年3月16日〜6月9日)
    これはポスターギャラリーには入っていませんが、かはくのチェックは基本です(笑) 猿人の復元でモデルになったのは……というニュースもありましたが、あの干し首が10年ぶりに展示されるそうです。子供のとき、ミイラより怖かったのですよ、あれ。まあ、同じケースに入れられて展示していたので、「あの展示室は怖かった」ということなのですが。ともあれ、人間がどうやって地球の各地に住むようになったのか? という、文化人類学的なものもある(と思う)ので、楽しみです。

  • 国立新美術館
    貴婦人と一角獣展(2013年4月24日〜7月15日)
    これは、昨年出雲展に行ったときにチラシを見ていました。でもその時点では検索してもあまり情報もなく、公式サイトもなく美術館のサイトにも情報がなかったので、「本当に開催するのかな?」とすら思っていました(汗) でも、久々に情報をチェックしてみたら、立派な公式サイトもできているではないですか! 中世の思想や風俗が描かれたクリュニー中世美術館所蔵のタピスリー「貴婦人と一角獣」に出会えるのを、楽しみにしています。

――というわけで、会期終了が近い順番に並べてみました。まだ開催していないのもありますけれどね。

最近は私が物事を深く考えるようになったからか(当社比)、展覧会というもののありかたに工夫がこらされているからか、「どういう切り口で作品や芸術家を紹介するか」に工夫がこらされていて、とても興味深いです。

まあ、普通に作品を借りてきて並べて、だけでは、よっぽどの目玉作品がない限り、二番煎じだったり素晴らしさが来場者に伝わらなかったり、ですからね。そして来場者があまりなくて収益がアレだと、「こういう展覧会を企画しよう!」という企業や団体がなくなっちゃいますからね(とか書くと生々しすぎるでしょうか)。

今回気になった展覧会、まだまだ続きますよ〜(笑)

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June 04, 2012

* 気になる展覧会チェック(20120604)

以前も書きましたが、こうやって記録しておくと、「展覧会」タグや「講演会・展覧会」カテゴリを、自分用メモとして活用できます。

展覧会に行くとチラシがチェックできるので、この週末で集めたチラシを確認しました。
  • 江戸東京博物館
    日本橋 描かれたランドマークの400年(2012年5月26日〜7月16日)
    最近、再び脚光を浴びている日本橋について。都市計画などに関する本を読んでいると、たいてい、明治以降の日本橋の扱われ方は評判が悪いです。そんなふうに扱われても、人々の関心が失われることのない日本橋について、いろいろと知ることができればと思います。

  • 国立西洋美術館
    クラインマイスター:16世紀前半ドイツにおける小画面の版画家たち(2012年6月13日〜9月17日)
    これは、ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年に合わせて開催されているものです。中世ヨーロッパ好きで、それに関する本をよく読んでいると、このような版画が本に掲載されていることがよくあります。私のような門外漢からすると、名前も知らない画家の作品ばかりです。でも、当時の雰囲気を知る貴重な資料です。西洋美術館所蔵の作品が見られるということで、これも楽しみです。

  • 国立新美術館
    リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝(2012年10月3日〜12月23日)
    ルーベンス、ヴァン・ダイク、レンブラントなど、バロックがいっぱい! とのことなので、中世〜バロックが大好物な私は、とても期待しています。室内装飾を再現した「バロック・サロン」もあるし、時代は異なりますが、しっかり見たことのないビーダーマイヤー様式の絵画もあるとのことなので、楽しみです。

  • 東京国立博物館
    「出雲−聖地の至宝−」(2012年10月10日〜11月25日)
    現在は、京都で開催中のようです。出雲は、気になっているけれど、なかなか行く機会のない場所です。大阪に住んでいるときに行ければよかったかも、という感じです。ともあれ、「いつか行く日のために!」予習をしたいと思います。

これまで記録してきた展覧会は、4月以降、なるべく時間を作って行くようにしています。息子の受験が終わったこともあって、気持ちにも余裕ができました。あとは、仕事を頑張って時間を作るだけです。

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June 02, 2012

* 「セザンヌ−パリとプロヴァンス」展

やはり国立新美術館で開催されている大エルミタージュ展とのハシゴは無謀だろうと判断し、運よく午後に時間のできた今日、息子と行ってきました。

思い出してみると、「セザンヌの絵をこれでもかこれでもかと見る展覧会」でした。当然ながら、今回もオーディオガイドを活用しました。

初期の作品から晩年の作品まで、さらに「風景」「肖像」「静物」などのジャンルにも分けられています。同じ題材でも、絵の描き方を模索している時期から確立した時期まで見られるので、彼の絵がどのように変化していったかが分かります。

特に、同じ場所を描いた2枚の風景画は、その期間(10年だったか20年だったか……)に彼の絵がどのように変化しているかが分かり、大変興味深いものでした。どんどん抽象的になっているのですよね。

展示されている作品は、パリなどの北フランスで描いたものか、故郷エクス・アン・プロヴァンスなどの南フランスで描いたものかが分かるようになっていました。そういうところを見てみると、描写の差が見えてきて、面白かったです。

北フランスの穏やかな光の中では「一瞬をとらえる」印象派が生まれた一方で、強い光の南フランスでは、セザンヌの描く対比のはっきりした表現が生まれるのだなあ、と思いました。

彼の作品を、このように時代を追って見ていると、展覧会のトップページ(や広告など)で使われている『りんごとオレンジ』の静物画につながるのだなあ、と納得できました。

母は、「セザンヌはオルセーでいっぱい見たから」と言いますが、こうやってテーマに沿った作品が世界中から集まっている会場というのは、仮に代表作がなかったとしても、とても学ぶものが多いです。

そういえば、私にとっては「セザンヌと言えば」の、トランプで遊ぶ男の人の絵はなかったです。でも、そのような作品がなくても、十分楽しめるものでした。セザンヌのアトリエにある、彼が静物画で描いた壺やラム酒のボトルなどが見られたのも興味深かったです。

気になった作品の絵葉書などを購入して、会場を後にしました。

人出ですが、「常に望む場所で作品を鑑賞できる」状態ではない程度の混雑でしたが、「人が多すぎて何が何やら」ではなく、ちゃんと解説も読める状態でした。会期はあと1週間ほどですが、この時代の美術に興味のある人なら楽しめる展覧会だと思います。

ただ、チケットは事前に入手しておくことをお勧めします。帰りがけに見たところ、正門から入ったところにあるチケット売り場は、大エルミタージュ展を見に来た人と一緒に並ばなければならないので、結構な行列になっていました。

乃木坂駅の国立新美術館直通の出口では、途中でセザンヌ展の入場券を販売していました。これを使うという方法もあります。あと、利用者数の差でしょうか、乃木坂駅直通の出入口にあるチケット売り場は、それほど並んでいませんでした。

そうそう、ぶらぶら美術・博物館でも、この展覧会を取り上げていました。放送の概要を見てから行くと、より楽しめるのではないかと思います。

uriel_archangel at 21:55 | 講演会・展覧会 
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