国立科学博物館
October 04, 2018
企画展「標本づくりの技(ワザ)−職人たちが支える科博−」
こちらも気になっていたので、昆虫展の後で入ってみました。場所は日本館1階、地下1階だとラウンジがある場所の上にあたる企画展示室です。
昆虫展で見た昆虫も、常設展で見ているあれやこれやも、すべてこういう標本資料がベースになっています。それを作成するのが、決して表には出てこない職人(とも呼べる人)たちなのです。そういう地味で大切な作業と、それを行う人たちにスポットライトを当てた展示でした。
植物の腊葉(さくよう)標本(押し葉標本)は、種類によってはお湯で煮ると、立体的なもとの姿に戻せるそうです(煮戻し)。ホットプレートや電子レンジで加熱すると書いてありますから、そういう方法もあるのでしょう。その後もまた押しつぶして乾燥させると、再び保存ができる状態になるそうです。そういうものだったとは、知りませんでしたー。
詳しい説明が書かれたパンフレットがあるのですが(無料)、その表紙に
当然ながら、保存状態も大切です。20世紀初頭に「伝インカ帝国のミイラ」として寄贈された子どものミイラ標本(子どものときに見た覚えがあります〜)も、単なるペルーの「子どものミイラ」だったのが、時代が下るにつれて調べられることが増え、今ではインカ帝国末期〜植民地期に人為的に作られたミイラ、ということがわかったそうです。今後はDNA分析などもできることから、さらに詳しいことが分かるのではないか、ということです。これは、保存状態が悪かったらできないことです。
そのほか、化石のレプリカを作る過程や、動物標本の種類や最先端の3Dプリンターを利用した剥製の作製技術、人骨修復なども見ることができ、決して規模は大きくありませんが、非常に興味深い展示でした。博物館を支え、未来の人々に貴重な標本を残すためにも、この作業の重要性を多くの人々が知ることは大切だと思います。
この展示は、博物館の裏側を描いた漫画『へんなものみっけ!』とコラボしています。展示室でも試し読みの小冊子を配布していました。作者の早良朋さんは、国立科学博物館で実際に標本を作っていた経歴を持つそうです。
昆虫展で見た昆虫も、常設展で見ているあれやこれやも、すべてこういう標本資料がベースになっています。それを作成するのが、決して表には出てこない職人(とも呼べる人)たちなのです。そういう地味で大切な作業と、それを行う人たちにスポットライトを当てた展示でした。
植物の腊葉(さくよう)標本(押し葉標本)は、種類によってはお湯で煮ると、立体的なもとの姿に戻せるそうです(煮戻し)。ホットプレートや電子レンジで加熱すると書いてありますから、そういう方法もあるのでしょう。その後もまた押しつぶして乾燥させると、再び保存ができる状態になるそうです。そういうものだったとは、知りませんでしたー。
詳しい説明が書かれたパンフレットがあるのですが(無料)、その表紙に
収集された自然物や科学技術の産物などの「モノ」を研究、修造あるいは展示などの目的に合わせて「標本化する」ことによって、初めて「モノ」は「標本」としての命を獲得する。
「標本」とは、博物館などが、自然界に存在する様々なものを多種多様な目的に沿って全体の中から取りだし、観察・調査する対象の一部を構成するもの。とあります。
当然ながら、保存状態も大切です。20世紀初頭に「伝インカ帝国のミイラ」として寄贈された子どものミイラ標本(子どものときに見た覚えがあります〜)も、単なるペルーの「子どものミイラ」だったのが、時代が下るにつれて調べられることが増え、今ではインカ帝国末期〜植民地期に人為的に作られたミイラ、ということがわかったそうです。今後はDNA分析などもできることから、さらに詳しいことが分かるのではないか、ということです。これは、保存状態が悪かったらできないことです。
そのほか、化石のレプリカを作る過程や、動物標本の種類や最先端の3Dプリンターを利用した剥製の作製技術、人骨修復なども見ることができ、決して規模は大きくありませんが、非常に興味深い展示でした。博物館を支え、未来の人々に貴重な標本を残すためにも、この作業の重要性を多くの人々が知ることは大切だと思います。
この展示は、博物館の裏側を描いた漫画『へんなものみっけ!』とコラボしています。展示室でも試し読みの小冊子を配布していました。作者の早良朋さんは、国立科学博物館で実際に標本を作っていた経歴を持つそうです。
October 03, 2018
特別展「昆虫」
ぽっかりとスケジュールが空いたので、今日がチャンス! とばかりに行って参りました。実は、今週が最後のチャンスなのです。
10月の平日ということで、予想通りそれほど人出は多くありません。見学はしやすかったのですが、思った以上に小さいお子さんを連れた親御さんがいました。我が家の息子は虫が苦手なタイプなのですが、虫が好き、という人には、何度行っても楽しめる場所かもしれません。
私は昆虫がとても好きというタイプではないので、最初の模型のところで「ほー」となっていました。なんというか、模型のイメージするのが「大きなものを何分の1スケールで模型にする」なので、「実物の○倍サイズの模型」はすごいなあ、と思いました。「ハチって、こんなに毛が生えてるんだ!」という発見がありました。それと、クワガタの平たい感じも際立ちますね。
そして、昆虫の多様性ということで、いろいろなところに住むいろいろな種類の昆虫が展示されています。林の中で見られる昆虫は、光があまり届かない場所ということで、あまりカラフルではない、それどころか人間の目には地味に見える、というのは大きな発見でした。
それと、南国の昆虫と聞くと大きいものを連想しがちですが、小さいものもいるのですね。北(寒いところ)に行くほど大きさのバリエーションが少なくなりますが(ベルクマンの法則)、南(暖かいところ)は大きいものから小さいものまで生きていける環境なんだなあ、と実感します。
そういう多様性を超えて、「なんでそんな格好になったの?」という昆虫たちも展示されていました。美しい羽を持つモルフォチョウもいましたが、不思議な姿をしたツノゼミの標本も興味深かったです。ツノゼミ自体は小さいので、拡大した図を見て「へーえ」と感心していました。ロクロクビオトシブミも「なんでそんなに長い首になったの?」という不思議な姿をしています。
そして、閲覧注意の「Gの部屋」に入ります。中学高校の文化祭の生物部の発表のように、そこらへんで捕まえたと思われるGが入っていたら話は別ですが、ここで見られるのは都会では見られない(日本にいないのもいるかな?)、あまりGっぽくないGでした。Gとしては、そういうもののほうが主流だそうです。そのGの1種類を見ていて、「あれ、もしかしてJamiroquaiの"Virtual Insanity"に出てくるGってこれかな?」と思いました。たとえが古くてすみません。
昆虫の興味深い生態も紹介されていました。アリを利用する昆虫にはいろいろ種類がいて、どう利用するかもその種類それぞれで、興味深いなあと思いました。かわいらしい漫画で紹介されていました。ニホンミツバチの蜂球の映像も見られましたよ。
そして、夏休みのお子さん向けという感じで、「昆虫研究室」(どう捕獲し、どう標本するか)にも結構なスペースを割いていました。ノムラホイホイというわなが、中に入れるものを変える(だけでなく設置場所も変える)といろいろと捕まえられてよいそうです。検索してみたら、科博のサイトに作り方と使い方がありました。
そして、科学博物館が所蔵する、または著名な研究者が所蔵する標本が、たくさんありました。標本を作製し、保存する手間を考えると、在野の研究者の存在はとても大きいなあ、と思います。最先端の保存技術やデータ取得で得られた3D昆虫も見られます。
この展示のために発見したセイボウの一種に名前をつけよう、という企画もあり、ものすごーく、昆虫好きな子たちに「きみも今日から研究者!」というメッセージを送っているなあ、と感じられる展示でした。つまりは「昆虫好きの昆虫好きによる昆虫好きのための展示」ですね。何回見ても新たな発見があって、恐らくリピーター状態だったお子さんもいることでしょう。
こういう展示を見てますます昆活にいそしんだ子のなかから、未来の研究者が生まれるんだろうなあ、と思いました。
10月の平日ということで、予想通りそれほど人出は多くありません。見学はしやすかったのですが、思った以上に小さいお子さんを連れた親御さんがいました。我が家の息子は虫が苦手なタイプなのですが、虫が好き、という人には、何度行っても楽しめる場所かもしれません。
私は昆虫がとても好きというタイプではないので、最初の模型のところで「ほー」となっていました。なんというか、模型のイメージするのが「大きなものを何分の1スケールで模型にする」なので、「実物の○倍サイズの模型」はすごいなあ、と思いました。「ハチって、こんなに毛が生えてるんだ!」という発見がありました。それと、クワガタの平たい感じも際立ちますね。
そして、昆虫の多様性ということで、いろいろなところに住むいろいろな種類の昆虫が展示されています。林の中で見られる昆虫は、光があまり届かない場所ということで、あまりカラフルではない、それどころか人間の目には地味に見える、というのは大きな発見でした。
それと、南国の昆虫と聞くと大きいものを連想しがちですが、小さいものもいるのですね。北(寒いところ)に行くほど大きさのバリエーションが少なくなりますが(ベルクマンの法則)、南(暖かいところ)は大きいものから小さいものまで生きていける環境なんだなあ、と実感します。
そういう多様性を超えて、「なんでそんな格好になったの?」という昆虫たちも展示されていました。美しい羽を持つモルフォチョウもいましたが、不思議な姿をしたツノゼミの標本も興味深かったです。ツノゼミ自体は小さいので、拡大した図を見て「へーえ」と感心していました。ロクロクビオトシブミも「なんでそんなに長い首になったの?」という不思議な姿をしています。
そして、閲覧注意の「Gの部屋」に入ります。中学高校の文化祭の生物部の発表のように、そこらへんで捕まえたと思われるGが入っていたら話は別ですが、ここで見られるのは都会では見られない(日本にいないのもいるかな?)、あまりGっぽくないGでした。Gとしては、そういうもののほうが主流だそうです。そのGの1種類を見ていて、「あれ、もしかしてJamiroquaiの"Virtual Insanity"に出てくるGってこれかな?」と思いました。たとえが古くてすみません。
昆虫の興味深い生態も紹介されていました。アリを利用する昆虫にはいろいろ種類がいて、どう利用するかもその種類それぞれで、興味深いなあと思いました。かわいらしい漫画で紹介されていました。ニホンミツバチの蜂球の映像も見られましたよ。
そして、夏休みのお子さん向けという感じで、「昆虫研究室」(どう捕獲し、どう標本するか)にも結構なスペースを割いていました。ノムラホイホイというわなが、中に入れるものを変える(だけでなく設置場所も変える)といろいろと捕まえられてよいそうです。検索してみたら、科博のサイトに作り方と使い方がありました。
そして、科学博物館が所蔵する、または著名な研究者が所蔵する標本が、たくさんありました。標本を作製し、保存する手間を考えると、在野の研究者の存在はとても大きいなあ、と思います。最先端の保存技術やデータ取得で得られた3D昆虫も見られます。
この展示のために発見したセイボウの一種に名前をつけよう、という企画もあり、ものすごーく、昆虫好きな子たちに「きみも今日から研究者!」というメッセージを送っているなあ、と感じられる展示でした。つまりは「昆虫好きの昆虫好きによる昆虫好きのための展示」ですね。何回見ても新たな発見があって、恐らくリピーター状態だったお子さんもいることでしょう。
こういう展示を見てますます昆活にいそしんだ子のなかから、未来の研究者が生まれるんだろうなあ、と思いました。
January 25, 2018
気になる展覧会情報(20180125)
久々の展覧会チェックです。気になるポイントは簡潔に書くことにしました
- Bunkamura ザ・ミュージアム
- 神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展(2018年1月6日〜3月11日)
ここでもアルチンボルドの絵が紹介されていますねー(去年のアルチンボルド展は行けませんでしたが)。皇帝が自らの好奇心と財力にモノを言わせて収集した品々を見るのが楽しみです。- 国立科学博物館
- 特別展「古代アンデス文明展」(2017年10月21日〜2018年2月18日)
こういう中南米の文明の展覧会には何度も行っているはずなのに、いまだにマヤ・アステカ・インカの区別がつかないわたくし。この展示は、後のインカ文明につながるのですね。懲りずに勉強しなければ、です。 - 南方熊楠生誕150周年記念企画展 南方熊楠−100年早かった智の人−(2017年12月19日〜2018年3月4日)
10年くらい前にも、熊楠の展示があった記憶があります。これは常設展の料金だけで見られる展示ですが、春に南紀白浜に行く予定なので、ぜひ見てみたいと思います。 - 地衣類―藻類と共生した菌類たち―(2017年12月19日〜2018年3月4日)
テーマからして、熊楠の特別展と関連した展示ですね。恐らく小規模なものだと思いますが、これも見逃せません。 - 特別展「人体 神秘への挑戦」(2018年3月13日〜2018年6月17日)
NHKの「人体」で取り上げられるような最先端の話だけでなく、医学や解剖学の歴史的な面も取り上げられるようなので、そういう点でも楽しみですね。
- 東京国立博物館
- 特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」(2018年1月16日〜3月11日)
告知やイベントの様子を見ていると、仁和寺がまるごとやって来る! という感じですね。「仁和寺の観音堂を展示室に再現」とのことなので、見に行くのが楽しみです。 - アラビアの道−サウジアラビア王国の至宝(2018年1月23日〜3月18日)
サウジアラビアの歴史を知る機会はあまりないので、気になりますね。仁和寺と御室派のみほとけ展で入場した場合は、別途鑑賞券が必要とのことです。入口で買うと混むんだよな〜、と思ったら、なんと一般のチケットならローソンの端末で購入できるようです。
June 19, 2017
気になる展覧会情報(20170619)
展覧会チェック、まだ終わりません。だいたい、会期の終わりが近い順に並べています。
- 国立西洋美術館
- アルチンボルト展 (2017年6月4日〜9月24日)
アルチンボルトの絵は、ワイン(たしかボジョレー・ヌーボー)のラベルに使われていたのが印象に残っています。しかも結構あちこちの美術館に、作品が収蔵されているのですね(今回は来ていないですが、ルーヴルにもあるそうです)。絵は知っているものの、画家その人や時代背景についての知識はさっぱりないので、ぜひ見に行きたいと思います。- Bunkamura ザ・ミュージアム
- ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで(2017年7月15日〜9月24日)
以前も書いたのですが、もう一度(自分のために)書きます。なんだか最近、ヒエロニムス・ボスやブリューゲルが(日本国内で)注目されているなあ、と思っています。この展覧会では15〜17世紀のフランドル絵画にはじまり、ベルギー象徴派、表現主義、シュルレアリスム、現代芸術を紹介するそうです。確かに、何もないところから不思議な作品は生まれないので、つながりが見えるのか、楽しみです。- 国立科学博物館
- 特別展「深海2017〜最深研究でせまる”生命”と”地球”〜」(2017年7月11日〜10月1日)
前回の「深海」展以降、単に私に知識がなかっただけですが、日本は実は深海がすぐ近くにある環境、ということが分かりました。そうなると、ますます興味がわいてきますね。当然ながら前回の展覧会とは違う視点から深海を見るということで、楽しみです。夏休み中は混雑しそうですね。- 東京都美術館
- ボストン美術館の至宝展−東西の名品、珠玉のコレクション(2017年7月20日〜10月19日)
確かに開催概要にもあるとおり、特定の時代や人物に焦点を当てるのではなく、「ボストン美術館の所蔵品」をまんべんなく紹介する、という感じの展示内容です。ゴッホによるルーラン夫妻を描いた肖像画がそろって来日する、というのが目玉みたいですね。- 東京国立博物館
- フランス人間国宝展(2017年9月12日〜11月26日)
日本の人間国宝を参考にした制度がフランスにあるそうです。で、そういう人たちの作品を紹介する(日本の工芸作家とのコラボ作品もあり)、という展示会だとか。開催期間的に、「運慶」展と同じタイミングで見るかな〜、と思っています。 - 興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」(2017年9月26日〜11月26日)
日本の各地にある運慶の作品が一同に会する! という感じですね。作られた作品を見るだけでなく、作品の調査や研究の成果も紹介されるとのことなので、そういうところも楽しみにしています。
June 16, 2017
気になる展覧会情報(20170616)
前回は「書ききれない」と数を絞ったのか情報が少なかったのか、ここにきて調べたら、興味深い展覧会がたくさんあることが分かりました。だいたい、会期の終わりが近い順に並べています。
- 江戸東京博物館
- 発掘された日本列島2017(2017年6月3日〜7月23日)
おそらく最近の発掘調査の成果が淡々と展示されている、という感じだろうと思いますが、こういう展示もまた面白いです。奈良の平城京跡に行ったときに、こういう感じの展示があったのを思い出しました。そのときもありましたが、「東日本大震災からの復興と埋蔵文化財の保護」というテーマの展示もあるそうです。 - 2017年NHK大河ドラマ 「おんな城主 直虎」特別展 戦国!井伊直虎から 直政へ(2017年7月4日〜8月6日)
会期が短いのですよね。名前の通り、大河ドラマに関連しての展覧会です。ドラマを見ている身としては、青葉の笛を見てみたいなあ、などと思っています。昨年の真田丸とも多少重なるところもある時代ですし。
- 東京国立博物館
- 日タイ修好130周年記念特別展「タイ 〜仏の国の輝き〜」 (2017年7月4日〜8月27日)
これは、前にあったインドの仏像展のタイバージョンかな〜、という感じです。主催が日本経済新聞だし、みうらじゅんさんといとうせいこうさんがグッズの監修をしているし。会期が近づいたら、BSジャパンで2人が出演する特集番組が放送されるかなー。というのはともかく、東南アジアの仏像を日本で見る機会はあまりないので、見に行きたいなあと思っています。- 国立科学博物館
- 企画展「まだまだ奥が深いぞ!『相模の海』−最新の生物相調査の成果−」(2017年6月13日〜9月3日)
特別展ではなく企画展なので、パンフレットのPDFにリンクしています。DASH海岸を見ていると、東京湾や相模湾は、世界でも貴重な深海生物が見つかる場所、というのが分かります。恐らくそれ以外でも多彩な生態系なのでしょうけれど……。そんなわけで、特別展に比べると小さい展示だろうと思いますが、楽しめるだろうと思っています。- 国立新美術館
- 国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展(2017年6月14日〜9月4日)
ジャコメッティは、作品は見たことがありますがそんなに詳しくは知らない人物なので、これを機に知ることができたらいいなあ、と思っています。10周年記念として開催するわけですから、「これぞ」という充実した内容でしょうし。- 三菱一号館美術館
- レオナルド×ミケランジェロ展(2017年6月17日〜9月24日)
実はこの美術館、気になる展覧会が多いものの、まだ行ったことがないという状態で……。今回は、概要を見ると、ダ・ヴィンチとミケランジェロの素描をメインに紹介するのかな? という感じですね。有名なあの絵が来る、という展覧会ではありませんが、楽しめると思います。
February 17, 2017
特別展「世界遺産 ラスコー展 〜クロマニョン人が残した洞窟壁画〜」
四谷大塚のテストで使われていて、そのとき初めて存在を知ったラスコー洞窟の壁画! なんだか妙に気になるので、行ってきました。
思ったほど人出はなく、じっくり展示を見られました。洞窟を再現した1/10ミニチュアでは、「こんな場所に描いていたのか〜」というのが分かります。結構高い場所にもあって、足場を作って描いていたようです。
洞窟を実物大のスケールで再現している展示では(もちろん足場は悪くないです)、実際の着色された絵だけでなく、暗い中に線画が浮き上がる演出もあって、ものすごくわくわくしました。
展示物の一部や体験型の展示にはフランスで作成されたものがあり、「こういう展示が世界で行われているんだなあ」というのも実感できます。内部には入れないラスコー洞窟で、「こういうところにあったのか」や「これくらいの高さにあったのか」というのが分かって面白かったです。
こういうラスコー洞窟の壁画そのものの紹介も面白かったのですが、もっと面白く感じられたのは、彼らが使った道具についての展示です。投槍器やランプなどの装飾に施された装飾も面白かったのですが、彼らがどのように縫い針などの道具を作ったか、という展示がとても興味深かったです。
私たちは、今は機械などで固いものも簡単に加工できますが、当時の人たちは石器だけで必要な長さの骨を切り出し、石にこすり付けて滑らかに加工し、穴を開けていたのです。昔の人々の作業を復元した映像を見て、「人間って、確かに昔から大きくは変わらないんだなあ」と思いました。
それと、クロマニョン人が作った女性像というか地母神(豊穣の象徴)もありました。それこそ、「これがこの先にヴィーナスになるんだよなあ。ヨーロッパだけでなく、地母神は世界各地にあるし」と、タテ(時間)とヨコ(地域)の広がりも感じられました。
最後には、「その頃の日本は……」という展示もありました。日本の土は酸性で、当時作られたものは残りにくいそうですが、それでも「日本にもこういう活動をする人たちがいたんだろうな」というのが感じられて面白かったです。
その時代の日本の研究に関連する3万年前の航海を再現するプロジェクトも紹介されていました。クラウドファンディングを行いましたが、今後も支援を募っていくそうです。
今回のラスコー展は、ぶらぶら美術・博物館でも取り上げていました。詳細はこちら。
January 27, 2017
気になる展覧会情報(20170127)
今年も興味をひかれる展覧会がたくさん、という結論です。
- 国立新美術館
- ミュシャ展 (2017年3月8日〜6月5日)
ミュシャの《スラヴ叙事詩》が見られるというだけで、「行くべし」と思います。国外に出るのは初めてのことだそうです。まあ、大きくて移動させるのが大変だし、そこまでやって採算が合うと判断できると思える場所は少ないのかもしれません。なんだかんだ言われていますが、日本(東京)はこういうアートのイベントが頻繁にあって、恵まれているなあと思います。本当はこういう大物にだけ反応するのではなく、身近なアートも大切にしなければいけないのでしょうけれど……。- 国立科学博物館
- 大英自然史博物館展(2017年3月18日〜6月11日)
呪われたアメジストが広告に使われていて、Twitterで話題になっていました。もちろんそれだけではなく、世界中で活躍した英国が(というポジティブな表現だけではおさまりませんが)、世界中で集めた貴重な標本なども展示されるようです。- 東京都美術館
- ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 BABEL 16世紀ネーデルラントの至宝 ―ボスを超えて―(2017年4月18日〜7月2日)
ブリューゲルの「バベルの塔」がメインですが、ヒエロニムス・ボスの2作品も目玉だそうです。ボスの作品が16世紀にリバイバルした、というのも扱うみたいですね。以前にも書いたことがありますが、ボスの絵は本当に面白いです。おそらく、実在しない悪魔や魔物の造形というのは画家の想像力をかきたてるもので、画家はそれを駆使して描いているのでしょう。バベルの塔だけでは弱いのかな〜?- Bunkamuraザ・ミュージアム
- ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで(2017年7月15日〜9月24日)
これは、先ほどの東京都美術館でのブリューゲル展とつながるというか、まったく関連がない、ということはないと思います(企画するほうにそういう意図があるかは別として)。こちらでは、ボスの作品とベルギーの19世紀〜現代のアートに共通するものが見られるようです。
January 26, 2017
気になる展覧会情報(20170126)
こういう内容を書くのも久しぶりです。会期の終わりが近い順に並んでいます。
- 国立科学博物館
- 特別展「世界遺産 ラスコー展 ―クロマニョン人が残した洞窟壁画―」(2016年11月11日〜2017年2月19日)
これまたぶらぶら美術・博物館で見て、気になっています。ラスコーを発見した少年の話は、中学受験の勉強で初めて読みました。まあそれはいいとして(?)、ラスコーを復元した空間がある、というのが興味深いです。ネアンデルタール人と違って、クロマニョン人は芸術活動をするというのが特徴的だそうで、人々の衣服や道具は驚くほど装飾的でした。そして、そういう芸術活動をする遺伝子を持ったホモ・サピエンスが、世界中に広まったのだそうです。- 森アーツセンターギャラリー
- ヴェルサイユ宮殿《監修》 マリー・アントワネット展 (2016年10月25日〜2017年2月26日)
フランス革命の原因になったということで、後世の人から悪くしか見られなかったマリー・アントワネットを、新たな視点から見る展覧会です。ぶらぶら美術・博物館で見て、気になっています。パリ市内観光で、彼女が最後の日々を過ごした場所(コンシェルジェリーにあります)を訪れたことがあるのですが、建物の重厚な壁もありますが、涙の模様が施された壁紙といい、暗い気分になる場所でした。- 東京国立博物館
- 特別展「春日大社 千年の至宝」(2017年1月17日〜3月12日)
昨年式年造営が行われた春日大社の貴重な名品が展示される、とのことです。神様にささげるために、国宝の金地螺鈿毛抜形太刀と同じ刀を新たに作るドキュメンタリーを見ましたが、素晴らしい技術や材料を惜しみなく投じて作られたものなのだ、というのが伝わりました。- 東京都美術館
- 日伊国交樹立150周年記念「ティツィアーノとヴェネツィア派展」(2017年1月21日〜4月2日)
美術の本で必ずと言っていいほど掲載されている《フローラ》や《ダナエ》が見られます。去年もこんな感じの展覧会があったなあ、と思ったので調べたところ、去年の展覧会はアカデミア美術館の所蔵品でした。こういうときに、去年ブログをきちんと書いていなかったことが悔やまれますが、書かなかったものはしょうがないので今年頑張ります。
June 21, 2015
気になる展覧会情報(20150621)
あちこちの美術館に行き、チケットホルダーに入っているチケットも残り少なくなりました。そんなわけで新しい情報を仕入れました。
久しぶりにあれこれ調べました。前回、「気になる展覧会」を書いたときに、Evernoteにメモ(会場、会期、特設サイトのURL)をまとめたノートを作ったので、「あれ、これは書いたっけ?」というのの確認に便利でした。
会期が終わったものや見に行ったものは情報自体を消して、ブログには書いたけれどまだ行っていない(会期前)というものは展覧会の名称に抹消線を入れ、チェックしたけれどブログに書いていないものはそのまま、というふうにしてみたら、そのときは作業に手間に感じますが、後が楽だと分かりました。
- 国立科学博物館
- 生命大躍進−脊椎動物のたどった道− (2015年7月7日〜10月4日)
最近NHKを見ているとよく見かける「生命大躍進」が、特別展になるのですね〜。カンブリア紀の「バージェス頁岩動物群」の実物化石などが展示されるそうです。あの、「古代生物ぬいぐるみ」がショップで販売されるのかが気になります(笑) カンブリア紀の大爆発だけでなく、生命が大きく変化(進化)するきっかけとなったできごとが紹介されるそうです。監修は国立科学博物館の動物・地学・人類各研究部の研究者が担当するほか、国内外の研究者も参加する、これまでにないスケールの生命進化の歴史に関する展覧会となっています。
とのことなので、楽しみですね。- 東京国立博物館
- 「アート オブ ブルガリ 130年にわたるイタリアの美の至宝」(2015年9月8日〜11月29日)
昨年、西洋美術館で開催された「橋本コレクション」でも、ブルガリの宝飾品があったように思います。創業から今までのさまざまな作品が紹介されるとのことなので、美しい宝石やデザインが楽しめればいいなあ、と思います。どういうものが展示されるかよりも、私がどのように受け取れるかのほうが問題であります(笑)- 三菱一号館美術館
- プラド美術館展 ―スペイン宮廷 美への情熱(2015年10月10日〜2016年1月31日)
いつも、三菱一号館美術館の展覧会は、チェックだけはしたものの行かずに終わる、ばかりです(汗)本展では、その偉大なコレクションの中から、スペイン3大画家ともいわれるエル・グレコ、ベラスケス、ゴヤを始め、フランドルの巨匠ボスやルーベンス、「スペインのラファエロ」とも称されるムリーリョなど、ヨーロッパ史を彩った名だたる巨匠たちの作品群が一堂に会します。板絵など極めて貴重な作品の繊細で緻密な表現を当館で存分にお楽しみください。
ということで、ヒエロニムス・ボスの絵が来るのです(ハプスブルク家の版図を考えると、スペインにあってもおかしくないわけで)。私が好きな時代・好きな画家の作品が来るのですから、今度こそ行かねば! と思います。- 国立西洋美術館
- 黄金伝説展(2015年10月16日〜2016年1月11日)
「えっ、『黄金伝説』ってあの『黄金伝説』?」と思ったのですが、それではありませんでした(笑) ちなみにリンク先は第1巻で、全4巻となっております(私は持ってません)。本題に戻ると、「古代地中海世界の秘宝」とあるので、エトルリアとか、そういうところのものかな? と思っています。特設サイトはありますが、まだ概要しか出ていない状態です(チラシなどはあるのかもしれませんが……)。詳しい情報を楽しみにしています。
久しぶりにあれこれ調べました。前回、「気になる展覧会」を書いたときに、Evernoteにメモ(会場、会期、特設サイトのURL)をまとめたノートを作ったので、「あれ、これは書いたっけ?」というのの確認に便利でした。
会期が終わったものや見に行ったものは情報自体を消して、ブログには書いたけれどまだ行っていない(会期前)というものは展覧会の名称に抹消線を入れ、チェックしたけれどブログに書いていないものはそのまま、というふうにしてみたら、そのときは作業に手間に感じますが、後が楽だと分かりました。
August 16, 2014
「ぶらぶら美術・博物館」を見て上野に行きたくなる
上野は美術館や博物館がいっぱいあって、その気になれば1日過ごせる場所だと思うのです。あ、動物園もありますね。この番組は、なるべくチェックするようにしています。うんちくキューピー氏の解説は、彼の知識ではなく台本に書かれている内容かもしれませんが、やはり説得力があります。
一時期、「空から日本を見てみよう」と放送時間が重なっていたことがあり、このときは大変でした。家族が「くもじいが見たい!」というので、録画したものを後で見なければならなかったのです。
今回のテーマは、《国立科学博物館「太古の哺乳類展」・国立西洋美術館「橋本コレクション 指輪」展〜上野で夏休みを楽しむ 大人気の2本立て!〜》です。どちらも「どの展示会に行こうかな〜」と調べたときに見つけていたものなので、気になっていました。
まずは、国立科学博物館の「太古の哺乳類展」から。番組では、恐竜の絶滅後に様々な姿に進化する哺乳類が、現代の日本にあたる場所に到達してからを集中して取り上げています。
日本で数多く見つかっているのは、デスモスチルス類だそうで、その化石を大公開! というコーナーもあります。なかでも有名なのはパレオパラドキシアというもので、現代の海獣(ジュゴンやマナティ)やゾウの仲間だそうです。骨格の見た目の感じから、ジュゴンやマナティに近いというのは納得です。そして、どこかで見た覚えはありますが、海獣がゾウに近いというのは、分かるような意外なような、という感じですね。
さまざまな種類のゾウの化石も展示され、ナウマンゾウの親子の化石もあります。これは、別々のところから発見されたオス・メス・子供の化石を「親子」として展示しています。これも、例えばオスは全身骨格が揃わないので、複数の場所で見つかった似たような大きさの化石を組み合わせて、1頭のゾウとして復元していました。メスもそういう方法だったかな、と思います。子ゾウは全身骨格だったかな?
――確か放送ではこのくらいで、ここで今回のメインである、国立西洋美術館の「橋本コレクション 指輪」に移ります。
4000年前の古代エジプトのスカラベの指輪から、現代の精巧なカットが施されたダイヤモンドの指輪まで、いろいろな指環が見られるようです。スカラベの指輪は、今で言うところのラベンダーアメシストで作られています。透明でとてもきれいな石でした。現代の私たちから見れば、宝飾品というよりお守りと呼べるものです。
ヨーロッパで流行したギメルリングなど、実際に「欲しい」と思うかどうかはともかく、装飾品の歴史が見られるというのも興味深いと思いました。また、儀式で使われた指環もあり、参考となる絵画(の写真、かな?)が一緒に紹介されているものもあります。
そして、ダイヤモンドはかつてのヨーロッパではあまりメジャーな存在ではなく、その硬さがまずは重宝されたもの、というのも、現代の私たちには意外でした。ダイヤモンドの魅力が発揮できるようになるのは、カットの技法が進歩してからなのだそうです。
きらびやかな宝石に「素敵〜」となったり、歴史に思いをはせたりと、いろいろと楽しめそうな展覧会でした。
番組の概要はこちらで見られます。
他の美術館や博物館は、何を展示しているのかな? ということで、調べてみました。
一時期、「空から日本を見てみよう」と放送時間が重なっていたことがあり、このときは大変でした。家族が「くもじいが見たい!」というので、録画したものを後で見なければならなかったのです。
今回のテーマは、《国立科学博物館「太古の哺乳類展」・国立西洋美術館「橋本コレクション 指輪」展〜上野で夏休みを楽しむ 大人気の2本立て!〜》です。どちらも「どの展示会に行こうかな〜」と調べたときに見つけていたものなので、気になっていました。
まずは、国立科学博物館の「太古の哺乳類展」から。番組では、恐竜の絶滅後に様々な姿に進化する哺乳類が、現代の日本にあたる場所に到達してからを集中して取り上げています。
日本で数多く見つかっているのは、デスモスチルス類だそうで、その化石を大公開! というコーナーもあります。なかでも有名なのはパレオパラドキシアというもので、現代の海獣(ジュゴンやマナティ)やゾウの仲間だそうです。骨格の見た目の感じから、ジュゴンやマナティに近いというのは納得です。そして、どこかで見た覚えはありますが、海獣がゾウに近いというのは、分かるような意外なような、という感じですね。
さまざまな種類のゾウの化石も展示され、ナウマンゾウの親子の化石もあります。これは、別々のところから発見されたオス・メス・子供の化石を「親子」として展示しています。これも、例えばオスは全身骨格が揃わないので、複数の場所で見つかった似たような大きさの化石を組み合わせて、1頭のゾウとして復元していました。メスもそういう方法だったかな、と思います。子ゾウは全身骨格だったかな?
――確か放送ではこのくらいで、ここで今回のメインである、国立西洋美術館の「橋本コレクション 指輪」に移ります。
本展は、指輪を中心とする宝飾品約870点からなる「橋本コレクション」が国立西洋美術館に寄贈されたことを記念する企画で、2012年に本コレクションを収蔵して以来、初のお披露目の場となります。橋本貫志氏(1924-)が収集した760点あまりの指輪は、年代や素材に偏りがなく、極めて広範な内容を持っています。本展では約300点の指輪を一挙に公開し、橋本コレクションの個性豊かな顔ぶれをお楽しみいただきます。とのことで、4000年前から現代にいたる、さまざまな指輪が紹介されています。
4000年前の古代エジプトのスカラベの指輪から、現代の精巧なカットが施されたダイヤモンドの指輪まで、いろいろな指環が見られるようです。スカラベの指輪は、今で言うところのラベンダーアメシストで作られています。透明でとてもきれいな石でした。現代の私たちから見れば、宝飾品というよりお守りと呼べるものです。
ヨーロッパで流行したギメルリングなど、実際に「欲しい」と思うかどうかはともかく、装飾品の歴史が見られるというのも興味深いと思いました。また、儀式で使われた指環もあり、参考となる絵画(の写真、かな?)が一緒に紹介されているものもあります。
そして、ダイヤモンドはかつてのヨーロッパではあまりメジャーな存在ではなく、その硬さがまずは重宝されたもの、というのも、現代の私たちには意外でした。ダイヤモンドの魅力が発揮できるようになるのは、カットの技法が進歩してからなのだそうです。
きらびやかな宝石に「素敵〜」となったり、歴史に思いをはせたりと、いろいろと楽しめそうな展覧会でした。
番組の概要はこちらで見られます。
他の美術館や博物館は、何を展示しているのかな? ということで、調べてみました。
- 東京都美術館では、9月23日まで「メトロポリタン美術館古代エジプト展 - 女王と女神」が開催されています。
- 東京国立博物館では、8月31日まで「親と子のギャラリー 仏像のみかた 鎌倉時代編」、9月15日まで特別展「台北 國立故宮博物院−神品至宝−」が開催されています。