東京都美術館
December 13, 2019
コートールド美術館展 魅惑の印象派
先週のことになりますが、仕事の合間を縫って行きました。この時点では、「日本で人気の印象派なのに、来場者が少ないな〜。もったいないな〜」という感じの人出だったのですが、さすがに今は会期末なので、混雑しているようです。そういうこともあって、好きな場所で好きなだけ、作品を鑑賞することができました。
イギリスの実業家コートールドが、イギリスでは印象派やポスト印象派が評価されておらず、作品が収集されていないということで始めたコレクションが、そもそもの始まりだそうです。しかも、美術館だけでなく、世界有数の美術研究所も彼の寄付で作られたそうです。
そんなわけで、充実したコレクションを鑑賞できました。ドガなどの彫刻作品もあり、新たな技法や画家にクローズアップした章もあり、印象派をさまざまな角度から見ることができます。絵画のバックグラウンドの紹介や詳細部分の解説などのパネルもあり、ただ作品を眺めるだけでなく、きちんと鑑賞することができます。
マネの《フォリー=ベルジェールのバー》は、とても印象的でした。若く美しいけれど生き生きとした輝きを放ってはいないバーメイドから、彼女の置かれた状況が想像できます。一方で、ロートレックが描く疲れた女性の姿は、おそらく彼女が他の人には見られたくない姿なのではないかなあ、と思います。
単眼鏡も持って行ったので、細かい部分もよく理解できました。自分の目がどれだけ近くでものを見ることに対して調節して対応できるかを考えると、少し離れた場所から単眼鏡を使ったほうが、きちんと見えるのですよね(老化ですね〜)。混雑していなかったこともあって、じっくりと時間をかけて楽しめた展覧会でした。
イギリスの実業家コートールドが、イギリスでは印象派やポスト印象派が評価されておらず、作品が収集されていないということで始めたコレクションが、そもそもの始まりだそうです。しかも、美術館だけでなく、世界有数の美術研究所も彼の寄付で作られたそうです。
そんなわけで、充実したコレクションを鑑賞できました。ドガなどの彫刻作品もあり、新たな技法や画家にクローズアップした章もあり、印象派をさまざまな角度から見ることができます。絵画のバックグラウンドの紹介や詳細部分の解説などのパネルもあり、ただ作品を眺めるだけでなく、きちんと鑑賞することができます。
マネの《フォリー=ベルジェールのバー》は、とても印象的でした。若く美しいけれど生き生きとした輝きを放ってはいないバーメイドから、彼女の置かれた状況が想像できます。一方で、ロートレックが描く疲れた女性の姿は、おそらく彼女が他の人には見られたくない姿なのではないかなあ、と思います。
単眼鏡も持って行ったので、細かい部分もよく理解できました。自分の目がどれだけ近くでものを見ることに対して調節して対応できるかを考えると、少し離れた場所から単眼鏡を使ったほうが、きちんと見えるのですよね(老化ですね〜)。混雑していなかったこともあって、じっくりと時間をかけて楽しめた展覧会でした。
January 15, 2019
ムンク展―共鳴する魂の叫び
会期が終わってしまう! ということで、連休最終日に慌てて行きました。
――これまで、東京都美術館で経験したことのないくらいの行列でした。9時半くらいに現地に着いたのですが、動物園にも負けないほどの、いやそれ以上の行列ができていました。アナウンスはなかったのですが、前日のTwitterでの公式のツイートを見て、入場まで60分待ちだな、と思いました。結果、まさにその通りでした。
久しぶりに、人を見に行ったような展覧会でした。「叫び」は有名な作品なので、小さい子と一緒の家族づれも多く、長く並んで待たねばならないので、親も子も大変そうだな、と思いました。
だいたい作成年代順に展示されていると、実は「叫び」は結構早い段階で来るのです。前で立ち止まらずに見る列はとても長かったので、立ち止まらずに見る人たちの列の後ろから、時間制限なしで見るほうを選びました。とは言っても、全体が見られるなかなかいい位置に行けたので、結果としては良かったです。スタッフが声をかけていたので、前の列で立ち止まる人はいませんでした。こういうときに、背が低くないのは有利です。
「叫び」だけでなく、「マドンナ」などの有名な作品が見られたのも良かったです。今回の展覧会の副題に"A Retrospective"とあります。「回顧展」という意味のとおり、「叫び」だけではなくムンクの生涯をたどる展覧会となっていました。
ショップの行列もなかなかでした。ポケモンとのコラボグッズもあり、やはり有名な作品が来ているだけに、こうなるのですね。実は体調が絶好調というわけでもなかったので並ぶ気力もなく、ショップでは何も購入しませんでした。
もっと会期の早いうちに、平日に行っておけばよかったなあ、と思いました。
――これまで、東京都美術館で経験したことのないくらいの行列でした。9時半くらいに現地に着いたのですが、動物園にも負けないほどの、いやそれ以上の行列ができていました。アナウンスはなかったのですが、前日のTwitterでの公式のツイートを見て、入場まで60分待ちだな、と思いました。結果、まさにその通りでした。
久しぶりに、人を見に行ったような展覧会でした。「叫び」は有名な作品なので、小さい子と一緒の家族づれも多く、長く並んで待たねばならないので、親も子も大変そうだな、と思いました。
だいたい作成年代順に展示されていると、実は「叫び」は結構早い段階で来るのです。前で立ち止まらずに見る列はとても長かったので、立ち止まらずに見る人たちの列の後ろから、時間制限なしで見るほうを選びました。とは言っても、全体が見られるなかなかいい位置に行けたので、結果としては良かったです。スタッフが声をかけていたので、前の列で立ち止まる人はいませんでした。こういうときに、背が低くないのは有利です。
「叫び」だけでなく、「マドンナ」などの有名な作品が見られたのも良かったです。今回の展覧会の副題に"A Retrospective"とあります。「回顧展」という意味のとおり、「叫び」だけではなくムンクの生涯をたどる展覧会となっていました。
ショップの行列もなかなかでした。ポケモンとのコラボグッズもあり、やはり有名な作品が来ているだけに、こうなるのですね。実は体調が絶好調というわけでもなかったので並ぶ気力もなく、ショップでは何も購入しませんでした。
もっと会期の早いうちに、平日に行っておけばよかったなあ、と思いました。
March 14, 2018
ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜
ほぼ1か月ぶりの展覧会、そしてやはり1か月ぶりのブログ更新となりました。最初に言いたいのは、「この展覧会を見に来ないなんて、もったいない!」です。思ったより人が少なかったのです……。
確かに、「これぞブリューゲル」というような大作や有名な作品が来ているわけではありません。でもこの展覧会を見れば、ブリューゲル一族の作品の特徴や当時流行した作風が分かります。他の展覧会とも関連した「ああ、これはあのときに見た絵と同じだ」というのもあり、点と点でしかなかった知識がつながるのは、とても面白いものです。
たとえば、ノアの箱舟を描いた作品では、さまざまな種類の動物や鳥が描かれています。これは、先月見に行った「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」で見た、ルドルフ2世が収集した珍しい動物を、画家が観察して描いたと思われる絵(オルフェウスの絵だったと思います)を思い出します。
当時の貴族(領主?)階級の人々の間で、「驚異の部屋」が流行したというのは、今回の展覧会での音声ガイドでも言っていました。「種を蒔く人のたとえのある風景」も、やはりルドルフ2世の展覧会で見たような?
今回の展覧会でも、単眼鏡が活躍しました。小さな作品、しかも細かく書き込まれた作品が多いので、できる限り近づいて見ても、自分の目だけだと「分かるような分からないような……」になってしまうのです。単眼鏡があれば、顔を近づけて気合を入れなくても、細かい部分がはっきり見えます。単眼鏡のおかげで、花の静物画には、たいてい虫が一緒に描かれている、ということも分かりました。花の中に隠れるようにいるものは、普通に見ていたら見落としているところでした。
一族の中には主にイタリアで活動した人物もいるのですが、やはりイタリアらしく、静物画も大きくつややかな果物が描かれていて、やはりこういう特徴が出るのだなあ、と思いました。
共作もいくつか紹介されていたのですが、フランドルの画家だけでなく、イタリアの画家とも共作をしていたとかで、作品の移動距離にもびっくりです。よく無事に現代まで残ったなあ、などと思ってしまいます。長距離の移動に耐えられるということで、銅版に描かれた作品もありました。大理石を使った作品は、だまし絵というか、さぞかし見る人は驚いただろうなあ、と思いました。
ピーテル・ブリューゲル2世については、父親の作品を模写したものが多かったからか、作品が市民向けてあまり残っていないからか、詳しい情報がありませんでした。薄利多売でやっていて苦労も多かったようで、それが報われるような情報ってないのかな、という気分になります。
こうやって、いろいろと見て「ふーん」「なるほどなるほど」とは思いましたが、ブリューゲルを扱った書籍は多いから、図録は……いいかな……ということで、そんな感じです。絵葉書も、版画から花の絵からいろいろあって、絞りきれませんでした。
――が、結局、花のブリューゲルの絵が気になったので、マグネットを買いました。あと、これです↓
フェイラーのハンカチです。使いやすくて好きなのですよねー。デザインも合っていると思います。ショップで実物を見て、赤い縁取りのものを選びました。
確かに、「これぞブリューゲル」というような大作や有名な作品が来ているわけではありません。でもこの展覧会を見れば、ブリューゲル一族の作品の特徴や当時流行した作風が分かります。他の展覧会とも関連した「ああ、これはあのときに見た絵と同じだ」というのもあり、点と点でしかなかった知識がつながるのは、とても面白いものです。
たとえば、ノアの箱舟を描いた作品では、さまざまな種類の動物や鳥が描かれています。これは、先月見に行った「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」で見た、ルドルフ2世が収集した珍しい動物を、画家が観察して描いたと思われる絵(オルフェウスの絵だったと思います)を思い出します。
当時の貴族(領主?)階級の人々の間で、「驚異の部屋」が流行したというのは、今回の展覧会での音声ガイドでも言っていました。「種を蒔く人のたとえのある風景」も、やはりルドルフ2世の展覧会で見たような?
今回の展覧会でも、単眼鏡が活躍しました。小さな作品、しかも細かく書き込まれた作品が多いので、できる限り近づいて見ても、自分の目だけだと「分かるような分からないような……」になってしまうのです。単眼鏡があれば、顔を近づけて気合を入れなくても、細かい部分がはっきり見えます。単眼鏡のおかげで、花の静物画には、たいてい虫が一緒に描かれている、ということも分かりました。花の中に隠れるようにいるものは、普通に見ていたら見落としているところでした。
一族の中には主にイタリアで活動した人物もいるのですが、やはりイタリアらしく、静物画も大きくつややかな果物が描かれていて、やはりこういう特徴が出るのだなあ、と思いました。
共作もいくつか紹介されていたのですが、フランドルの画家だけでなく、イタリアの画家とも共作をしていたとかで、作品の移動距離にもびっくりです。よく無事に現代まで残ったなあ、などと思ってしまいます。長距離の移動に耐えられるということで、銅版に描かれた作品もありました。大理石を使った作品は、だまし絵というか、さぞかし見る人は驚いただろうなあ、と思いました。
ピーテル・ブリューゲル2世については、父親の作品を模写したものが多かったからか、作品が市民向けてあまり残っていないからか、詳しい情報がありませんでした。薄利多売でやっていて苦労も多かったようで、それが報われるような情報ってないのかな、という気分になります。
こうやって、いろいろと見て「ふーん」「なるほどなるほど」とは思いましたが、ブリューゲルを扱った書籍は多いから、図録は……いいかな……ということで、そんな感じです。絵葉書も、版画から花の絵からいろいろあって、絞りきれませんでした。
――が、結局、花のブリューゲルの絵が気になったので、マグネットを買いました。あと、これです↓
フェイラーのハンカチです。使いやすくて好きなのですよねー。デザインも合っていると思います。ショップで実物を見て、赤い縁取りのものを選びました。
January 26, 2018
気になる展覧会情報(20180126)
展覧会チェック、後半戦です。
- 東京都美術館
- ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜(2018年1月23日〜4月1日)
ブリューゲル一族の絵画が見られる展覧会です。プライベート・コレクション所蔵の、日本初公開の作品が多いということで、図録も買わずにはいられない感じですね。B5サイズと小さめなのがありがたいです。買わせる気まんまん、とも言えますが。フランドル絵画らしい細密画や風俗画が見られるかな〜、と期待しています。 - プーシキン美術館展──旅するフランス風景画(2018年4月14日〜7月8日)
フランスの風景画を多く所蔵するロシアのプーシキン美術館から、17〜20世紀の風景画がやって来るそうです。近代フランス絵画の変遷がじっくり見られそうですね。
- 国立新美術館
- 至上の印象派展 ビュールレ・コレクション(2018年2月14日〜5月7日)
これもプライベート・コレクションですね。日本初公開の作品が半分を占めるということで、楽しみです。印象派の作品は、これまでいろいろなものを見た蓄積ができているので、若いときに比べて、見る楽しみが増えたように思います。 - ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか(2018年5月30日〜9月3日)
まだ詳しい情報は出ていないのですが、「肖像」という切り口から、ルーヴル美術館が所蔵するさまざまな時代の作品が展示されるそうです。こういう展覧会も興味深いですね。
- 三菱一号館美術館
- ルドンー秘密の花園 (2018年2月8日〜5月20日)
北斎とジャポニスム展でも、彼の幻想的な作品が見られました。そのときに「北斎に影響を受けたのかー」と思ったこともあって、この展覧会が気になっています。- 国立西洋美術館
- プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光(2018年2月24日〜5月27日)
プラド美術館展も、やはり定期的に開催されますねー。ベラスケスだけでなく、ムリーリョなどのスペイン黄金時代の絵画が見られるのが楽しみです。あ、当時スペイン領だったフランドルの絵画も見られます。これは、前売り券を買いましたよ! - ミケランジェロと理想の身体(2018年6月19日〜9月24日)
これもまだ、詳しい情報が出ていません。「ミケランジェロや当時の彫刻家たちが創りあげた、理想の身体美の表現に迫ります。」とのことなので、どのような展示になるか楽しみですね。
June 26, 2017
気になる展覧会情報(20170626)
展覧会チェック、もうちょっと続くのです。
- 東京都美術館
- ゴッホ展 巡りゆく日本の夢(2017年10月24日〜2018年1月8日)
ゴッホの絵だけでなく、日本の美術に影響を受けたゴッホの作品に影響を受けた日本人の作品(長いですね……)も展示するそうです。クラーナハ展もそうでしたが、作品の紹介だけにとどまらない趣向の展示が増えているのでしょうね。(展覧会のサイトを見ていて、インディペンデント・キュレーターという職業が成立するとは知りませんでした) - ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜(2018年1月23日〜4月1日)
まだ特設サイトはなく、チラシにも詳しい内容がないため、ここに書いていること(タイトルと開催日程)くらいしか分からない、という状態です。このところ、ブリューゲルやボスなどのフランドル絵画が紹介されることが多く、とても嬉しいです。ブリューゲルの一族はいろいろなタイプの絵を描いていたようなので、さまざまな切り口からフランドル絵画が楽しめるかな? と思っています。
- 三菱一号館美術館
- パリ♥グラフィック ― ロートレックとアートになった版画・ポスター展 (2017年10月18日〜2018年1月8日)
19世紀末パリのリトグラフやポスターが中心の展示だそうです。印刷は、それ以前も情報の拡散に大いに貢献していましたが、この時代に技術が進歩して、カラフルで大きな作品の制作が可能になったのでしょう。- 国立西洋美術館
- 北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃(2017年10月26日〜2018年1月28日)
こういう、浮世絵が西洋絵画に与えた影響が見られる展示って珍しくない? と思ったのですが、世田谷美術館で以前開催されていましたね(こういう記事を書いてました)。「みどころ」であれやこれやの絵を見ていて、「そういえばこんな感じの展示を見たなあ」と思い出しました。日本人だと表現技法になじみがありすぎてあまり気にならない部分を、きちんと体系だてて説明してもらえるのが楽しみです。 - プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光(2018年2月24日〜5月27日)
特設サイトはありますが、今見られるのはトップページだけですね。プラド美術館は、定期的に展覧会があるような気がします……。もうちょっと詳しい情報が出るようになったら、あれこれ勝手に語ろうかな。
- Bunkamura ザ・ミュージアム
- 神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展(2018年1月6日〜3月11日)
まだ特設サイトはありません。こちらでもアルチンボルドの絵が紹介されますね。美術品だけでなく、さまざまなものが紹介される展覧会になりそうです。
June 19, 2017
気になる展覧会情報(20170619)
展覧会チェック、まだ終わりません。だいたい、会期の終わりが近い順に並べています。
- 国立西洋美術館
- アルチンボルト展 (2017年6月4日〜9月24日)
アルチンボルトの絵は、ワイン(たしかボジョレー・ヌーボー)のラベルに使われていたのが印象に残っています。しかも結構あちこちの美術館に、作品が収蔵されているのですね(今回は来ていないですが、ルーヴルにもあるそうです)。絵は知っているものの、画家その人や時代背景についての知識はさっぱりないので、ぜひ見に行きたいと思います。- Bunkamura ザ・ミュージアム
- ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで(2017年7月15日〜9月24日)
以前も書いたのですが、もう一度(自分のために)書きます。なんだか最近、ヒエロニムス・ボスやブリューゲルが(日本国内で)注目されているなあ、と思っています。この展覧会では15〜17世紀のフランドル絵画にはじまり、ベルギー象徴派、表現主義、シュルレアリスム、現代芸術を紹介するそうです。確かに、何もないところから不思議な作品は生まれないので、つながりが見えるのか、楽しみです。- 国立科学博物館
- 特別展「深海2017〜最深研究でせまる”生命”と”地球”〜」(2017年7月11日〜10月1日)
前回の「深海」展以降、単に私に知識がなかっただけですが、日本は実は深海がすぐ近くにある環境、ということが分かりました。そうなると、ますます興味がわいてきますね。当然ながら前回の展覧会とは違う視点から深海を見るということで、楽しみです。夏休み中は混雑しそうですね。- 東京都美術館
- ボストン美術館の至宝展−東西の名品、珠玉のコレクション(2017年7月20日〜10月19日)
確かに開催概要にもあるとおり、特定の時代や人物に焦点を当てるのではなく、「ボストン美術館の所蔵品」をまんべんなく紹介する、という感じの展示内容です。ゴッホによるルーラン夫妻を描いた肖像画がそろって来日する、というのが目玉みたいですね。- 東京国立博物館
- フランス人間国宝展(2017年9月12日〜11月26日)
日本の人間国宝を参考にした制度がフランスにあるそうです。で、そういう人たちの作品を紹介する(日本の工芸作家とのコラボ作品もあり)、という展示会だとか。開催期間的に、「運慶」展と同じタイミングで見るかな〜、と思っています。 - 興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」(2017年9月26日〜11月26日)
日本の各地にある運慶の作品が一同に会する! という感じですね。作られた作品を見るだけでなく、作品の調査や研究の成果も紹介されるとのことなので、そういうところも楽しみにしています。
June 13, 2017
ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 BABEL 16世紀ネーデルラントの至宝 ―ボスを超えて―
ようやく行けました。朝イチで行ったので、そんなに並ばずに入場できました。……と言っても、私の基準は「鳥獣戯画」展なのですけれど。
今回の展示は、ブリューゲルだけでなく、影響の大きかったヒエロニムス・ボスの作品やその模写(木版画など)、当時のネーデルラントの彫刻、絵画なども紹介しています。こうやって振り返ってみると、目玉はブリューゲルの『バベルの塔』でしたが、ボイマンス美術館所蔵の作品をじっくり鑑賞するよい機会になったと思います。
「北方の絵画は油彩で、サイズも大きくないし描写も細かいから、単眼鏡を持っていこう〜」ということで、先日購入した単眼鏡を持っていったのですが、思った以上に活躍してくれました。それほど小さな作品ではなくても、人が多くて近寄って見られないときは、少し離れた場所(人垣の後ろ、というくらいの場所です)から細かい部分を単眼鏡で鑑賞できました。
あと、単眼鏡は視野が限られるので、その場所を集中してみる、という効果があるなあと思いました。ヒエロニムス・ボスの《放浪者》の絵で、解説になかったのでおそらく意識していなかった、建物の陰で用を足している人物がいることに、単眼鏡で細部を見ていて気づきました。
ボスの《聖クリストフォロス》は、宗教画の周囲に彼の得意とする不思議なモチーフがちりばめられていて、興味深かったです。以前にも書いた覚えがありますが、ボスやブリューゲル(そのほかボスに影響を受けた作品)で描かれる実在しない生き物には、画家の想像力が存分に発揮されていて、とても楽しめるのです。
実は、マスコットキャラの「タラ夫」がいる《大きな魚は小さな魚を食う》を見るのも楽しみにしていました。むかーしむかし、ドイツ語学校に行ったときに、ブレヒトの『三文オペラ』のメッキーメッサーの歌(Haifischの歌)やそれに関する文章が教材に使われたのですが、そのときにこの絵も授業で見たのです。
そして最後に、《バベルの塔》です。20年以上前に、ウィーンの美術史美術館で、これとは違う《バベルの塔》を見たことがあります。今回来日している作品以前に描かれ、サイズは大きいですが、ボイマンス美術館の《バベルの塔》は、それを踏まえてさらに構想をふくらませたもの、という感じがしました。
前の列は、立ち止まらずに歩きながら鑑賞するので、改めて少しはなれた場所からじっくりと見ました。このときも、単眼鏡を使って、巨大な塔のあちこちで作業する人の細かい様子を見ることができました。どんな展示会でも持っていくと使える場面がありそうです。ミュシャの《スラヴ叙事詩》も、これがあれば細かい部分が見られたかなあ、と思います(持っていかなかったのです……)。
図録も魅力的でしたが、絵葉書だけ購入しました。
最後に、美術館から足をのばして、も見学しました。私はしなかったのですが、タブレットで顔を撮影して登録すると、塔の中で働く人が自分の顔になるそうです。プロジェクションマッピングも、とても興味深いものでした。
今回の展示は、ブリューゲルだけでなく、影響の大きかったヒエロニムス・ボスの作品やその模写(木版画など)、当時のネーデルラントの彫刻、絵画なども紹介しています。こうやって振り返ってみると、目玉はブリューゲルの『バベルの塔』でしたが、ボイマンス美術館所蔵の作品をじっくり鑑賞するよい機会になったと思います。
「北方の絵画は油彩で、サイズも大きくないし描写も細かいから、単眼鏡を持っていこう〜」ということで、先日購入した単眼鏡を持っていったのですが、思った以上に活躍してくれました。それほど小さな作品ではなくても、人が多くて近寄って見られないときは、少し離れた場所(人垣の後ろ、というくらいの場所です)から細かい部分を単眼鏡で鑑賞できました。
あと、単眼鏡は視野が限られるので、その場所を集中してみる、という効果があるなあと思いました。ヒエロニムス・ボスの《放浪者》の絵で、解説になかったのでおそらく意識していなかった、建物の陰で用を足している人物がいることに、単眼鏡で細部を見ていて気づきました。
ボスの《聖クリストフォロス》は、宗教画の周囲に彼の得意とする不思議なモチーフがちりばめられていて、興味深かったです。以前にも書いた覚えがありますが、ボスやブリューゲル(そのほかボスに影響を受けた作品)で描かれる実在しない生き物には、画家の想像力が存分に発揮されていて、とても楽しめるのです。
実は、マスコットキャラの「タラ夫」がいる《大きな魚は小さな魚を食う》を見るのも楽しみにしていました。むかーしむかし、ドイツ語学校に行ったときに、ブレヒトの『三文オペラ』のメッキーメッサーの歌(Haifischの歌)やそれに関する文章が教材に使われたのですが、そのときにこの絵も授業で見たのです。
そして最後に、《バベルの塔》です。20年以上前に、ウィーンの美術史美術館で、これとは違う《バベルの塔》を見たことがあります。今回来日している作品以前に描かれ、サイズは大きいですが、ボイマンス美術館の《バベルの塔》は、それを踏まえてさらに構想をふくらませたもの、という感じがしました。
前の列は、立ち止まらずに歩きながら鑑賞するので、改めて少しはなれた場所からじっくりと見ました。このときも、単眼鏡を使って、巨大な塔のあちこちで作業する人の細かい様子を見ることができました。どんな展示会でも持っていくと使える場面がありそうです。ミュシャの《スラヴ叙事詩》も、これがあれば細かい部分が見られたかなあ、と思います(持っていかなかったのです……)。
図録も魅力的でしたが、絵葉書だけ購入しました。
最後に、美術館から足をのばして、も見学しました。私はしなかったのですが、タブレットで顔を撮影して登録すると、塔の中で働く人が自分の顔になるそうです。プロジェクションマッピングも、とても興味深いものでした。
January 27, 2017
気になる展覧会情報(20170127)
今年も興味をひかれる展覧会がたくさん、という結論です。
- 国立新美術館
- ミュシャ展 (2017年3月8日〜6月5日)
ミュシャの《スラヴ叙事詩》が見られるというだけで、「行くべし」と思います。国外に出るのは初めてのことだそうです。まあ、大きくて移動させるのが大変だし、そこまでやって採算が合うと判断できると思える場所は少ないのかもしれません。なんだかんだ言われていますが、日本(東京)はこういうアートのイベントが頻繁にあって、恵まれているなあと思います。本当はこういう大物にだけ反応するのではなく、身近なアートも大切にしなければいけないのでしょうけれど……。- 国立科学博物館
- 大英自然史博物館展(2017年3月18日〜6月11日)
呪われたアメジストが広告に使われていて、Twitterで話題になっていました。もちろんそれだけではなく、世界中で活躍した英国が(というポジティブな表現だけではおさまりませんが)、世界中で集めた貴重な標本なども展示されるようです。- 東京都美術館
- ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 BABEL 16世紀ネーデルラントの至宝 ―ボスを超えて―(2017年4月18日〜7月2日)
ブリューゲルの「バベルの塔」がメインですが、ヒエロニムス・ボスの2作品も目玉だそうです。ボスの作品が16世紀にリバイバルした、というのも扱うみたいですね。以前にも書いたことがありますが、ボスの絵は本当に面白いです。おそらく、実在しない悪魔や魔物の造形というのは画家の想像力をかきたてるもので、画家はそれを駆使して描いているのでしょう。バベルの塔だけでは弱いのかな〜?- Bunkamuraザ・ミュージアム
- ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで(2017年7月15日〜9月24日)
これは、先ほどの東京都美術館でのブリューゲル展とつながるというか、まったく関連がない、ということはないと思います(企画するほうにそういう意図があるかは別として)。こちらでは、ボスの作品とベルギーの19世紀〜現代のアートに共通するものが見られるようです。
January 26, 2017
気になる展覧会情報(20170126)
こういう内容を書くのも久しぶりです。会期の終わりが近い順に並んでいます。
- 国立科学博物館
- 特別展「世界遺産 ラスコー展 ―クロマニョン人が残した洞窟壁画―」(2016年11月11日〜2017年2月19日)
これまたぶらぶら美術・博物館で見て、気になっています。ラスコーを発見した少年の話は、中学受験の勉強で初めて読みました。まあそれはいいとして(?)、ラスコーを復元した空間がある、というのが興味深いです。ネアンデルタール人と違って、クロマニョン人は芸術活動をするというのが特徴的だそうで、人々の衣服や道具は驚くほど装飾的でした。そして、そういう芸術活動をする遺伝子を持ったホモ・サピエンスが、世界中に広まったのだそうです。- 森アーツセンターギャラリー
- ヴェルサイユ宮殿《監修》 マリー・アントワネット展 (2016年10月25日〜2017年2月26日)
フランス革命の原因になったということで、後世の人から悪くしか見られなかったマリー・アントワネットを、新たな視点から見る展覧会です。ぶらぶら美術・博物館で見て、気になっています。パリ市内観光で、彼女が最後の日々を過ごした場所(コンシェルジェリーにあります)を訪れたことがあるのですが、建物の重厚な壁もありますが、涙の模様が施された壁紙といい、暗い気分になる場所でした。- 東京国立博物館
- 特別展「春日大社 千年の至宝」(2017年1月17日〜3月12日)
昨年式年造営が行われた春日大社の貴重な名品が展示される、とのことです。神様にささげるために、国宝の金地螺鈿毛抜形太刀と同じ刀を新たに作るドキュメンタリーを見ましたが、素晴らしい技術や材料を惜しみなく投じて作られたものなのだ、というのが伝わりました。- 東京都美術館
- 日伊国交樹立150周年記念「ティツィアーノとヴェネツィア派展」(2017年1月21日〜4月2日)
美術の本で必ずと言っていいほど掲載されている《フローラ》や《ダナエ》が見られます。去年もこんな感じの展覧会があったなあ、と思ったので調べたところ、去年の展覧会はアカデミア美術館の所蔵品でした。こういうときに、去年ブログをきちんと書いていなかったことが悔やまれますが、書かなかったものはしょうがないので今年頑張ります。
December 16, 2016
ゴッホとゴーギャン展
会期終了間際になって、ようやく行ける余裕ができました。平日だからそんなに混雑していないだろうとたかをくくっていたのですが、ゴッホの人気ってすごいですね……。
展示はその名のとおり、ゴッホとゴーギャンの関係に焦点を当てたものです。それぞれの画風に影響を与えた画家や交流のあった画家の作品もありましたが、濃厚にゴッホとゴーギャンの作品が紹介されている、という感じです。
そして、そうやって紹介されるとなおさら2人の違いが明らかになるという感じで、「これは、共同生活は成立しないんじゃないかな〜」という雰囲気が漂います。ゴッホは彼なりにゴーギャンを迎えようとしていたし、ゴーギャンもゴッホのことを理解していたようですが、それでもダメだったのです。
それにしても、こうやってゴッホの人生について知れば知るほど、「テオがすごいよなあ」と思います。お兄さんを献身的に支えて、生前はほとんど売れなかったという彼の絵を、画商として購入していたわけですから。
ゴッホの共同生活の夢はかないませんでしたが、ゴーギャンは彼なりにゴッホを気遣ってはいたようです。ゴーギャンがタヒチで描いたひまわりの絵が、ゴッホを思った作品と考えると、わずか2か月ではありますが、共同生活は大きく影響していたんだなあ、と思います。
ゴッホは共同生活後の絵で、彼独特のうねった感じや色彩、輪郭に濃い色を使う手法が出てきます。やっぱり病気の影響なのかなあ。
ゴッホが共同生活を始める前に描いた花咲くアーモンドの枝の絵が気に入ったので、これが使われたマルチケースを購入しました。彼は他にもアーモンドの花を描いているので、恐らく浮世絵の梅や桜に近かったのかな〜、と思います。ゴーギャンの描いたひまわりの絵も気に入ったので、これはマグネットを購入しました。
絵葉書を買ってもしまいこむだけなので、こういうときは、役に立つものや目に付くところに置けるものを選ぶことにしました。
展示はその名のとおり、ゴッホとゴーギャンの関係に焦点を当てたものです。それぞれの画風に影響を与えた画家や交流のあった画家の作品もありましたが、濃厚にゴッホとゴーギャンの作品が紹介されている、という感じです。
そして、そうやって紹介されるとなおさら2人の違いが明らかになるという感じで、「これは、共同生活は成立しないんじゃないかな〜」という雰囲気が漂います。ゴッホは彼なりにゴーギャンを迎えようとしていたし、ゴーギャンもゴッホのことを理解していたようですが、それでもダメだったのです。
それにしても、こうやってゴッホの人生について知れば知るほど、「テオがすごいよなあ」と思います。お兄さんを献身的に支えて、生前はほとんど売れなかったという彼の絵を、画商として購入していたわけですから。
ゴッホの共同生活の夢はかないませんでしたが、ゴーギャンは彼なりにゴッホを気遣ってはいたようです。ゴーギャンがタヒチで描いたひまわりの絵が、ゴッホを思った作品と考えると、わずか2か月ではありますが、共同生活は大きく影響していたんだなあ、と思います。
ゴッホは共同生活後の絵で、彼独特のうねった感じや色彩、輪郭に濃い色を使う手法が出てきます。やっぱり病気の影響なのかなあ。
ゴッホが共同生活を始める前に描いた花咲くアーモンドの枝の絵が気に入ったので、これが使われたマルチケースを購入しました。彼は他にもアーモンドの花を描いているので、恐らく浮世絵の梅や桜に近かったのかな〜、と思います。ゴーギャンの描いたひまわりの絵も気に入ったので、これはマグネットを購入しました。
絵葉書を買ってもしまいこむだけなので、こういうときは、役に立つものや目に付くところに置けるものを選ぶことにしました。