絵画

April 20, 2017

* 鏡リュウジ『占星術の文化誌』原書房、2017年 と関連イベントに参加して

このようなイベントの存在を知り、「ぜひともお話を聞きたい」と、先週行ってきました。実は最近めっきり夜に弱いもので、お話を聞いているのはともかく、その後帰宅するのがなかなか辛かったです。下北沢駅は、ホームから出口が遠いので、到着もぎりぎりになりました。ともあれ、会場となった書店で書籍も購入しました。

占星術の文化誌
鏡リュウジ
原書房
2017-03-22


このエントリーは、イベントでうかがった話と書籍に書いてあること、自分が他の本で読んでいた知識が入り乱れた内容になります。

占星術というと、現在のような「○○座(□月□日〜△月△日生まれ)の人は……」というものを想像しますが、これは比較的新しいものだそうです。

何が重視されるかというと、ホロスコープ、惑星の配置です。これは複雑な計算などが必要なので、誰にでも分かるものではありません。現代ではコンピュータが気軽に利用でき、私のような一般人でも無料で見ることができます(素人に解読はできませんが)。私が子供のころは、500円分くらいの切手を「マイバースデイ」編集部に送って、作ってもらった記憶があります(経験者は語る/笑)。

そういう、惑星の動きが人間に影響を与えるという考え方は、当時の文学作品や絵画にも描かれています。そういう作品ではありませんが、「惑星の子供たち」という絵もさかんに描かれたそうです。

――というところで、これまでに読んだ本を思い出しました。



この本の、まさにタイトルとなった「中世の星の下で」という文章で、「惑星の子供たち」を説明しているのです。ここでも、
中世の人びとの日常生活は今日よりもはるかに密接に星辰の世界とかかわっていた。(中略)地上の出来事や人間の運命は天体の運行によって規定されるものと考えられとりわけ獣帯、十二宮と遊星の動きが注目されていた。しかし遊星の動きのほうが獣帯よりも強力であり、人びとは常に七つの遊星の動きに注目を払っていた。当時の医学はまさに遊星の動きと密接な関連をもっていたからである。
とあります。占星術と聞いたときに、なんでこの文章を思い出さないんだ、私、と、勝手に落ち込みました。

ちょっと話が脱線しますが、「中世の星の下で」で紹介されている絵は、ヴォルフェッグ家に伝わるハウスブーフという書物のものです。ドイツ語版のWikipediaにHausbuch (Schloss Wolfegg)という項目があり、惑星の子供たちの絵も紹介されているので、ドイツ語が理解できなくても、どのような感じの絵か分かるかと思います。

中世ヨーロッパでは、人々は小宇宙(ミクロコスモス)であり、人々を取り巻く大宇宙(マクロコスモス)の影響を避けられない、という考えでもありました。これは、



に書かれていました。だとしたら、惑星がどこにあるかが人々に影響を与えると考えるのも道理です(こちらは現在、どこにしまいこんだか分からない状態になっているため、文章の引用ができません……)。こうして見てみると、近代化というのは、周囲を取り巻く大宇宙から、物理的にも心理的にも人間を切り離すことだなあ、と思います。

また、鏡リュウジさんの本では、ホルストの『組曲 惑星』から、占星術と音楽のかかわりについて説明しています。ピュタゴラスからケプラーが紹介されていますが、ここでルネサンス・バロック音楽が好きな私は、アタナシウス・キルヒャーも思い出しました。彼らの時代は、宇宙の秩序を音楽で表現しようとしていたのですね。

あれこれ書いていることが本を読んだ感想ではなくなっていますが、こういうふうにこれまでに得たいろいろな知識が結びつく、とても興味深い本でした。ヨーロッパの文学や芸術の鑑賞に占星術の知識があると余計楽しめるというのは当然ですが(古代ギリシャ・ローマ神話、聖書と同じです)、歴史の理解も深まるなあ、と思いました。

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September 08, 2014

* 『芸術新潮』2014年9月号はヒエロニムス・ボス特集

昨日書いた京都特集の雑誌と一緒に購入したのですが、実はこの『芸術新潮』がメインでした。



ヒエロニムス・ボスの真作と断定できるものは世界に20点ほどしかないそうで、それらを網羅して紹介しています。

私はボスと聞くと、あの幻想的で不思議な生き物たちの姿を思い浮かべるのですが、当然ながらフツーの絵というか、写実的に聖人を描いた祭壇画もあります。私が行ったことのある美術館で所蔵しているので、見たことがあるはずなのですが、「ふーん」程度で流したのか、すっかり忘れていました……。

あれだけ生き生きと悪魔や怪物を描いていたので、異端だったのではないか、という説もあったそうですが、今は敬虔なキリスト教徒だったと分かっているそうです。ブリューゲルもそうですが、ボスも、想像力を駆使して描いたのでしょうね。こういう細かい描写を見るのが楽しいのです。

大きな紙面でカラーでたくさんの作品や解説が見られて、非常に読みごたえがありました。さらに、ネーデルラント(オランダ、ベルギー)美術紀行という小特集もあり、フランドル絵画好きとしては満足できる内容です。

10月号はウフィツィ美術館特集とのことなので、こちらも見逃せませんね。

uriel_archangel at 12:25 | 日々の記録 
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August 07, 2014

* ゴッホの《花咲くアーモンドの枝》 Vincent van Gogh "Almond Blossom"

1139px-Vincent_van_Gogh_-_Almond_blossom_-_Google_Art_Project

ゴッホ美術館で所蔵している作品です。ゴッホ美術館のサイトでの解説はこちら(英語です)。Wikipediaの英語版でもこのページに解説があります。

2005年なので、もう10年近く前のことになりますが、一人でドイツからベルギー・オランダと3週間ほどかけて旅をしました。ベルギーにたっぷり滞在したため、オランダはハーグとアムステルダムだけになり、かなり駆け足の観光になりました。

アムステルダムでは、ゴッホ美術館も見学しました。古い話ですが、オランダで入った美術館では一番行列がすごかったので、あらかじめチケットを入手しておくといいです。確か観光案内所で購入できました。私は事前に購入していたので、ひどく待たずに入れました。

ともあれ、美術館ではゴッホの作品をいろいろと見たのですが、一番印象に残っているのが、この作品です。しまいこんだままにしているのですが、気に入ったのでこの作品の栞を購入したほどでした。

もっと青がきれいな色だったような気もするのですが、記憶違いかな? というくらい、ネットで検索して見られる画像は、くすんだ青に見えます。

あちこちのサイトで書かれていますが、アーモンドの枝ぶりや花の雰囲気といい、背景が青一色で陰影をつけていないところといい、ゴッホは浮世絵からインスピレーションを得て描いたのだろうなあ、と思います。アーモンドの花は、彼にとってあこがれの国日本で咲く、梅や桜の花を思わせるものなのでしょう。

彼と同じVincentという名が付けられた甥(テオの息子)の誕生を祝うにふさわしい、明るい雰囲気の絵です。死の半年前の作品ということで、かなり精神的に厳しい状態にあったのではないかと思うのですが、それを感じさせません。

以来、ゴッホと聞くと、このアーモンドの絵を思い浮かべるようになりました。

何年か前に、国立新美術館に展覧会を見に行ったとき、美術館に、この絵と非常に似た絵(青い背景に白い梅か桜の花が咲いている)を使ったポスターがありました。「あれ?」と思って近づいてみると、ゴッホの絵ではなく、日本画の展覧会のポスターでした。

日本で伝統的な色の組み合わせなのか、私が見たポスターに使われた絵の作者がゴッホの絵を知っていてこの組み合わせにしたのか、興味深いなあ、と思いました。

こうして書いていると、「またアムステルダムに行って、あの作品が見たいなあ」と思います。

最後になりましたが、パブリックドメインの画像を使用したのでattributeを記載します。
"Vincent van Gogh - Almond blossom - Google Art Project" by Vincent van Gogh - dAFXSL9sZ1ulDw at Google Cultural Institute, zoom level maximum. Licensed under Public domain via Wikimedia Commons.

uriel_archangel at 21:53 | 日々の記録 
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May 28, 2011

* レンブラント 光の探求/闇の誘惑 —版画と絵画 天才が極めた明暗表現—

息子の学校が休みだったので、親子で行きました。

平日だから空いているだろうと思ったのですが、そうは問屋がおろしません。

行くたびに「そういえば……」と思うのですが、動物園や博物館・美術館・コンサートホールがそろっている上野は、いつ行っても人がいっぱいです。動物園に向かうらしき幼稚園児や、科学博物館を見学する生徒たち、そして、国立博物館(亡くなった祖母は『帝室博物館』と言っていましたっけ)を見学するおばさまがた。

西洋美術館も、生徒さんがいっぱいでした。真面目に見学していて、話が盛り上がると、動かないのですよ……。というわけで、館内のスタッフに教育的指導を受けていました。ちらっと見た感じだと、しおりがとてもしっかりできていたようで、みんな真面目に作業していました。それに、生徒さんの名誉にかけて、騒がしくしていたわけではなかった、と書いておきます。

いつか書こうと思いつつ書いていないのですが、2005年にアムステルダムに行ったときに、レンブラントハイス美術館に行きました。ちょうどレンブラントの版画をテーマにした企画展があり、たくさんの作品を見ました。もともとここは、版画の所蔵作品数が多いわけですが。

ともかく、自分が中学の美術の授業でエッチングに四苦八苦した記憶があるので(解説などでは、ドライポイントに比べると扱いやすいとありましたが、私には常にニードルが予想外の場所に走ってしまうものでした……)、レンブラントのエッチングの素晴らしさに圧倒されました。

せっかくなので、息子にもそれを見てもらいたい、と思ったわけです。ありがたいことに、特別展でも中学生以下は入場無料です。美術館にあったパンフレットを見たところ、少なくとも国立博物館と国立西洋美術館は、「中学生以下は特別展も入場無料」のようです。素晴らしい芸術に触れる絶好の機会なので、どの展覧会でも、興味と時間があったら、ぜひお子さんと行ってみてください!

――と、話が脱線してしまいましたが、いざ展覧会へ! 今回も、音声ガイドと一緒です。前回のフェルメール《地理学者》とオランダフランドル絵画展と同じところが手がけているからか、BGMはナクソスのものでした。スウェーリンクの《涙のパヴァーヌ》だけが聴けるトラックがあり、息子に「お母さん、この曲好きなんだ〜」と話したところ、熱心に聴いていたようです。

どういう曲かというと、こういう曲です。



私はこういうハープシコード曲ではなく、Dowlandのリュート曲で聴いていましたが。これ以上語ると別のカテゴリーの話になってしまうので、音楽についてはこのへんで。

今回はやはり、「光と闇」ということで、版画をメインに扱っています。技法はエングレーヴィング・ドライポイント・エッチングとさまざまですが、彫り込むことでこの黒を表現するというのは、本当にすばらしい! と感心しきりです。出展作品には、レンブラントハイス美術館所蔵のものもあれば、大英博物館所蔵のもの・どこかの財団所有のものといろいろあり、いろいろなところから借り出した作品の数々が鑑賞できました。もちろん、西洋美術館所蔵のものもあります。

アムステルダムで見たときは「技術がすごい〜」どまりでしたが、今回は、版画についてのいろいろな情報を知ることができました。和紙は、色が陰影の表現に合うことやインクののり具合の良さから、原版を傷めにくいということで、最初の版に使われていたそうです。裕福な人向けの限定版、という位置付けだったとか。

そこで、同じ原版から和紙に印刷したものと洋紙に印刷したものの比較があったり、それだけでなく原版にどんどんと修正が加えられていく経過が分かったりと、非常に興味深い展示でした。

ぶらぶら美術・博物館で言われていたとおり、確かにレンブラントの作品は、晩年のものに深い精神性というか、「本質を描こう」という気持ちが強くなっているのを感じます。そういう部分も楽しめる展示でした。

そして、常設展の奇想の自然−レンブラント以前の北方版画も見ました。レンブラントの版画を見た後だと、ここで取り上げられている作品は、時代や技法の違い(木版画もあります)もありますが、やはり表現力が違うなあ、と思います。そういう面での進歩も見られて、とても興味深いものでした。

こちらは、昨年ブリューゲル展を見たこともあり、そちらのほうがやはり充実していたなあ、と思います。私は画家が想像力を駆使してグリロスをどう描いているかを見るのが好きなので、《聖アントニウスの誘惑》のような作品が好きです。

それから、最後のショップで気に入った(または気になる)作品の絵葉書を購入しました。

息子も楽しんでいたようです。どの作品がよかったと思うかを尋ねたところ、
「面白い顔をしていたやつ!」
とのことでした……

レンブラントのエッチング

これは、会場を出るあたりにレンブラントハイス美術館の日本語パンフレットがあり、その中で紹介されているものです。
展示されていた作品ではなかったところに、息子の感性を見ました(苦笑)

でも、私自身、この版画をアムステルダムで見てとても気に入りました。絵葉書を買った覚えがあります。この旅行で手に入れたパンフレットや絵葉書は、まとめてボックスファイルにしまっているので、すぐには出せないのですが……。

ちなみにこの作品は、Googleで"Rembrandt etching"で検索すると、たくさん出てきます。やっぱり特徴的なので、人気なのでしょうか。ちなみに検索結果へのリンクはこちらです。

あっちこっちに脱線してしまいましたが、とても内容の充実した展示でした。

日本はあれやこれや言われていますが、こういう一見地味な展示内容でも、こうやって見に来る人が多いということは、それなりに人々の文化や芸術への関心が高いということだな、と思います。こう書くと傲慢と感じられる人もいるかもしれませんが、アジア圏ではまだそういう国は少ないのではないでしょうか。日本は文化的にそれなりに成熟しているのだと感じました。

uriel_archangel at 09:30 | 講演会・展覧会 
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May 19, 2011

* フェルメール《地理学者》とオランダフランドル絵画展


会期最終週になって、ようやくBunkamura ザ・ミュージアムに行きました。平日の午前中ではありましたが、結構な人出です。展示されている作品を見たい角度から自由に見る、ということはできません。

最近は、こういう展示会で音声ガイドがあるのが一般的になりました。ベルギーやオランダの美術館では、音声ガイドのおかげで作品鑑賞の理解が深まりました。さすがにオランダ語やフランス語だけの展示では、何が何やら、ですから。ともあれ、それ以来、積極的に音声ガイドを使うようにしています。今回も音声ガイドのお世話になりました。

すべての作品に解説があるわけではありませんが、とても参考になりました。

確かにメインはフェルメールの《地理学者》です。ではそのほかの作品はおまけかというと、そんなことはありません。肖像画・風景画・静物画・風俗画など、当時のオランダやフランドルでよく描かれたジャンルの絵が、解説とともにまんべんなく見られます。

確かに大作ではないのですが、有名な画家の作品も見られます。
ルーベンス、レンブラント、フランス・ハルス、ヤン・ブリューゲル、ロイスダール……
17世紀オランダ・フランドルの絵画がこれだけまとまって見られるというのは、日本ではなかなかチャンスがあることではありません。

逆を言うと、フェルメールだけを目当てに行って後は適当に見る、というのでは、とてももったいない内容です。ぜひ、(できれば音声ガイドも使って)展示されている全作品をじっくり味わってください。東京はもう終わってしまいますが、この後豊田市美術館で開催されます。

肖像画では、フランス・ハルスの筆づかいと、生き生きとした表情が好きです。今回展示されている作品は、有名なものではありません。でも、彼の作品の特徴がよく表れていると思いました。ルーベンスもレンブラントも、「さすが」な作品です。

静物画では、実は果物の透明感にうっとり……。いくら写真が実物を忠実にうつしても、被写体が常に理想的な美しさやあり方を示しているわけではないでしょう。なので、絵画には絵画にしかできない表現や、価値があると思います。実は、描かれた果物が気に入りすぎて、最後のショップで、静物画の絵葉書をあれこれを購入してしまいました(笑)

現代の(専門知識のない)私たちには、静物画や寓意図の意味するところが、すぐにはピンときません。専門書を読んでもすぐには分からないかもしれませんが、もうちょっと踏み込んで理解できるようになりたいなあ、と思いました。

風俗画というか、当時の人々を描いた作品も興味深いです。絵を発注するのはお金持ちの市民なので、農民は嘲笑の対象になっています。ブリューゲルのように個性のある存在としては描いておらず、ステレオタイプ的でした。でも、(無教養な)市民自身も嘲笑の対象になっているのは、オランダ的なユーモアかなあ、と思います。

今回は、図録は大きい&重たいので、購入はやめました。「この時代のものなら、この展覧会の図録でなくても、解説する本はたくさんあるかな」と考えたのが理由です。気に入った絵の絵葉書を購入しました。あと、カプセルトイでマグネットにチャレンジしたら、『手紙を読む女』でした。

会場を出たときはもうお昼でした。ドゥ・マゴ・パリのテラスは明るくて雰囲気がよく、ランチをいただいたらとても気分がよさそうでした。が、予算と時間の関係で断念しました(汗) ナディッフ モダンも、眺めているだけで楽しめました。

実は視聴しそびれてしまったのですが、BS日テレの『ぶらぶら美術・博物館』で、この展覧会が紹介されていました。番組の内容紹介はこちらです。それなりに知識はあるので楽しめますが、山田五郎さんの解説を見てから行きたかったです……。

実は、静物画にオウム貝などの南洋の貝らしきものが描かれていて、「ああ、これは『ぶらぶら美術・博物館』で、レンブラントのときに山田五郎さんが言っていた貝(大航海時代に東南アジアからもたらされたもの)だなあ」と思いながら眺めていました(笑)

こうやって、点でしかなかった知識がつながって線を作るのが、あちこちから知識を仕入れたときに面白いところです。

uriel_archangel at 16:27 | 講演会・展覧会 
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August 23, 2010

* ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル 版画の世界

http://bruegel.jp/

10日以上前の話になりますが、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムに、この展覧会を見に行きました。

平日ではありましたが、午後〜夕方にかけて行ったこともあり、なかなかの人出でした。作品が全然見えない、ということはないのですが、落ち着いて見るには、ちょっと周囲に人が多いかな、という感じです。じっくり展示を見てまわると、出口に到着するまでに、2時間くらいかかります。

さまざまなテーマで、ブリューゲルや同時代の版画が展示されています。農民の女性の頭巾(というのかな?)の描写に見られる豊かなバリエーションからも、彼が農民の姿を類型的に描くのではなく、十分に観察をして、個性を持たせていたことが分かります。

そして、とてもうれしい偶然がありました。私はその日、ちょうど目の前にあったからと言う理由で阿部謹也先生の『ハーメルンの笛吹き男』をカバンに入れ、家を出ました。美術館に入る前に昼食を食べたのですが、そこで待ち時間にこの本を読んでいました。

そうしたら、今回出展されている作品に、この本に出ていた版画があったのです! 『学校でのロバ』という作品です。ネットで見られる画像で比較的大きいものは、こちらです。これは、展覧会で見たものと左右反転しているので、原版が違うのでしょう。

先ほどの頭巾の例のとおり、ブリューゲルのさまざまな作品で、彼の観察力が存分に発揮されていました。中世好きとしては、(厳密に言うと中世ではありませんが)彼の暮らした時代の風俗が丹念に描かれた版画を見ているのは、とても面白いものでした。

あと、悪魔やグリロス(怪物)の描写も、とても面白いです。ブリューゲルが想像力を駆使して、これらに畏怖の念を抱くというより、思い入れをもって、楽しんで書いていたのではないかと思えるくらいの、ユーモラスな姿です。こういうものは、子供が見ると、楽しめるかもしれません。人出が多いので、子供の忍耐が続くかどうかは分からないのですが……。

そういう細かいところがじっくり見たいと思い、図版を購入したのですが、こういうものこそ、DVDや電子書籍という形式での販売が普及するといいなあ、と思いました。興味のある展示会は、図版が欲しいと思うことが多いのですが、かさばって保管する場所がないので、購入をあきらめることも、また多いのです。保管にコストがかからないとなると、購入する頻度も増えると思います。ぜひ、展示会を企画する方には、検討していただきたいです。

こういう展示会では、メインテーマとは離れたところを考えるのも、また面白いところです。今回は何を考えていたかというと、当時の出版業者です。今のように分業が確立していたわけではないので、出版業者は編集者的な役割も担っていたそうです。出版業者は、どのようなテーマが、どの画家が人気があるかを調べ、発注していました。印刷では、文化や技術を扱うこともあったからか、流行だけでなく最先端のものも把握していました。ブリューゲルの時代からは少々下りますが、江戸時代の日本でも、出版業者の役割は、同じようなものだったのかもしれません。

最後にちょっとケチをつけてしまうと、音声ガイドで微妙に表現が間違っていたところがありました。『バベルの塔』の説明だったかで、「神々」と言っていたのです。でも、ユダヤ教でもキリスト教でも神は1人なので、複数形になることはないですよね。詰めが甘いぞ、頑張れ〜、と思ってしまいました(笑)

でも、そんなのはとても些細なことなので、ぜひ会場に足を運んで、ブリューゲルのリアルで不思議な世界を楽しんでください。

uriel_archangel at 01:59 | 講演会・展覧会 
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November 19, 2008

* フェルメール展 〜光の天才画家とデルフトの巨匠たち〜

秋深し
TBSの公式サイトはこちら。そして、東京都美術館のサイトはこちらです。

『牛乳を注ぐ女』はきっちり見逃した私。でも、今回は会場が家から近いこともあり、思い切って行ってきました。

――が、今日は行くべき日ではなかったようです。毎月第三水曜日は「シルバーデー」で、65歳以上は入場無料だったのです……。当然、かなりの混雑でした。でも、行ける日が限られていて、今日を逃すと次は会期終了直前になってしまうのです。

そんなわけで、開館15分前から並んで待っていました。列はどんどんと長くなります。でも、そうやって並んでいた甲斐あって、当日券は購入しましたが、混雑がひどくなる前に入ることができました。入場制限、というと大げさな表現ですが、数十人ずつ入場していきました。

詳しい解説が好きなので、音声ガイドを手に会場を回ります。内容は詳しくてよかったのですが、芸大の学生(かな?)の音楽は別に要らなかったかも。――と書くと誤解されそうなので補足すると、私は古楽が好きなので、古楽で十分じゃない、と思うのです。

フェルメール以外の絵も、見ていて興味深かったです。やはり私は、この時代が好きなんだなあ……と思いました。一番注目したのは、カレル・ファブリティウスです(Wikipediaの解説はこちら)。

彼の若くしての不慮の死を残念に思いつつこの文章を書いているのですが、Wikipediaのページを見て驚きました。2005年にデン・ハーグに行ったとき、マウリッツハイス美術館で見て印象に残っていた『ゴシキヒワ』の作者だと分かったからです(上記のWikipediaへのリンクで、絵が見られます)。

私自身も、マウリッツハイスで『ゴシキヒワ』の絵葉書を買った覚えがあるのですが、どこにしまいこんだやら……。
普段からこういう状況なので、絵葉書などは一切買わずに出ました。

「華やか」「派手」というものはないのですが、現実に根ざしつつ画家の表現への様々な技法が見られて、興味深い内容でした。

ただ、解説の日本語が気になりました。オリジナルが英語で、それを訳したもののようなのですが、「私に訳させろ!」と言いたくなるようなものが……。

日本語が引っかからないものと引っかかるものがあったので、最低でも2人が手がけたようです。引っかかるものは、実に「直訳」で、表現にセンスがなかったです。オリジナルが英語であることに途中まで気づかなかった私も私ですが、後半は英語の解説も読むことにしました。

それはともかく、私が会場を出るころには、入口付近で入場者を整理する人が、「走らないでお進みください」と声をかけていました……。当然、入場者は長蛇の列になっていました。

帰りがけに、上野公園で「雲ひとつない、きれいな空だなあ」と見上げたところ、下弦の月(かな?)が見えました。携帯のカメラで写るかな? と思いつつ、撮影しました。

uriel_archangel at 22:44 | 講演会・展覧会 
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