BS日テレ
June 01, 2011
芸術作品の理解に宗教の知識は不可欠
――ということを実感する番組でした。
特に興味があったわけではなく、「ほかに見る番組がない」という消極的な理由でしたが、今週も見ていたわけです。
今回は、江戸東京博物館で開催されている、法然上人八百年御忌奉賛 特別展「五百羅漢―増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信」が取り上げられていました。
今回は、じっくりとみていたわけではなく、「ながら」なので、理解が不十分なところがあるかもしれませんが、ご了承ください……。そして、今回タイトルにしたとおり、私には仏教の知識があまりありません。なので、今回の絵を見ていても、よく分からないところのほうが多かったです。
ヨーロッパで美術館や博物館・教会に行って作品を鑑賞していると(音楽鑑賞でもそうですね)、聖書(旧約・新約とも)やギリシャ・ローマ神話の知識がなくては十分な理解ができない、と実感します。これは日本の美術作品でも同じことなのだなあ、と思いました。日本の場合は、仏教と日本神話の理解ですね。
そういう状態でも、楽しんで見ることができました。この展覧会を監修された山下裕二先生の解説が、とても分かりやすいだけでなく、ウィットに富んでいたからです。本当に、展覧会でもこういうサブタイトルがついているのかしら? と思ってしまうくらいでした(公式サイトによると、さすがにそうではありませんでした……)。
番組では、羅漢の手から発せられる光を「ビーム」「光線」と呼んでいました。確かにこういう表現って、日本独特のものかもしれない、と思いました。西洋の絵画で、ああいうふうに光を発するものとして見覚えがあるのは、アッシジの聖フランチェスコに聖痕があらわれた状態を描いた絵画くらいです。悪を罰するとか、人を助けるとか、そういう場面で光線が出ているのは、確かに見た記憶がありません。
こういうことも、もっと仏教に関する知識があったら楽しめるのだろうなあ、と思いました。
この展覧会のパンフレットを見たことはありますが、見に行こうとは思っていませんでした。でもこの番組を見て、「面白そうだなあ」と感じました。ただひやかすだけでなく、きちんと鑑賞しているのが、この番組のよいところです。
あと、各回のページにあるイラストが、番組の内容をとてもうまくまとめていると思います。見たことのある回は、こうして眺めていると、まるで映像を見ているかのように内容が思い出されます。今回のページはこちらです。
次回は私の大好きな奈良ということで、見逃せません。しっかり録画予約しています。
【6/2追記】
結構大事なことを書き忘れていました……。
番組のサイトでも書かれているとおり、何が描かれているかだけでなく、どう描かれているか(絵の変化)も、大変興味深いものでした。勢いのある魅力的な絵を描いていた時代から、体調を崩して弱い絵になり、最後は弟子や奥さんが描いたものになってしまいます。
番組でも言われていましたが、実に「これは大事な場面なんだから、最初のほうに出てきたものを考えたら、もっと迫力のある絵で描かれているはず」という感じです。
山下先生もおっしゃるように、すばらしい「傑作」だけを見るのではなく、こうして画家の生涯を重ねるというのも、鑑賞方法としてあるのだなあ、と思いました。
特に興味があったわけではなく、「ほかに見る番組がない」という消極的な理由でしたが、今週も見ていたわけです。
今回は、江戸東京博物館で開催されている、法然上人八百年御忌奉賛 特別展「五百羅漢―増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信」が取り上げられていました。
今回は、じっくりとみていたわけではなく、「ながら」なので、理解が不十分なところがあるかもしれませんが、ご了承ください……。そして、今回タイトルにしたとおり、私には仏教の知識があまりありません。なので、今回の絵を見ていても、よく分からないところのほうが多かったです。
ヨーロッパで美術館や博物館・教会に行って作品を鑑賞していると(音楽鑑賞でもそうですね)、聖書(旧約・新約とも)やギリシャ・ローマ神話の知識がなくては十分な理解ができない、と実感します。これは日本の美術作品でも同じことなのだなあ、と思いました。日本の場合は、仏教と日本神話の理解ですね。
そういう状態でも、楽しんで見ることができました。この展覧会を監修された山下裕二先生の解説が、とても分かりやすいだけでなく、ウィットに富んでいたからです。本当に、展覧会でもこういうサブタイトルがついているのかしら? と思ってしまうくらいでした(公式サイトによると、さすがにそうではありませんでした……)。
番組では、羅漢の手から発せられる光を「ビーム」「光線」と呼んでいました。確かにこういう表現って、日本独特のものかもしれない、と思いました。西洋の絵画で、ああいうふうに光を発するものとして見覚えがあるのは、アッシジの聖フランチェスコに聖痕があらわれた状態を描いた絵画くらいです。悪を罰するとか、人を助けるとか、そういう場面で光線が出ているのは、確かに見た記憶がありません。
こういうことも、もっと仏教に関する知識があったら楽しめるのだろうなあ、と思いました。
この展覧会のパンフレットを見たことはありますが、見に行こうとは思っていませんでした。でもこの番組を見て、「面白そうだなあ」と感じました。ただひやかすだけでなく、きちんと鑑賞しているのが、この番組のよいところです。
あと、各回のページにあるイラストが、番組の内容をとてもうまくまとめていると思います。見たことのある回は、こうして眺めていると、まるで映像を見ているかのように内容が思い出されます。今回のページはこちらです。
次回は私の大好きな奈良ということで、見逃せません。しっかり録画予約しています。
【6/2追記】
結構大事なことを書き忘れていました……。
番組のサイトでも書かれているとおり、何が描かれているかだけでなく、どう描かれているか(絵の変化)も、大変興味深いものでした。勢いのある魅力的な絵を描いていた時代から、体調を崩して弱い絵になり、最後は弟子や奥さんが描いたものになってしまいます。
番組でも言われていましたが、実に「これは大事な場面なんだから、最初のほうに出てきたものを考えたら、もっと迫力のある絵で描かれているはず」という感じです。
山下先生もおっしゃるように、すばらしい「傑作」だけを見るのではなく、こうして画家の生涯を重ねるというのも、鑑賞方法としてあるのだなあ、と思いました。
May 25, 2011
BS日テレの『ぶらぶら美術・博物館』で西洋美術館の常設展
またまた昨日、見ていました。アンコール放送とのことですが未見だったので。
実は、このブログにたどり着いた方の検索ワードでトップに入るのが、この番組名だったりします。参考になる内容が書けているかしら? と、ちょっと気になるところです(笑)
取り上げるのが特別展ではなく、国立西洋美術館の常設展というところが、渋いです。放送内容ではなく自分の思い出語りがメインになってしまいかもしれませんが、感想を書きます。
やっぱり、テレビによく出ている人で、マニアックな美術話をしても視聴者がついて来られて番組が成立するという人は、非常に数が少ないなあ、と思います。こういう番組は、山田五郎さんでないと成立しないですよね。
余談ですが、マニアックな都市話をして番組が成立するのがタモリさん、ですね。マニアックな鉄話が成立する番組は『タモリ倶楽部』くらいかな、なんて思います(笑)
昔のイメージだと、西洋美術館の常設展って、特別展に比べるとパッとしない印象でした(すみません……)。常設展を見ることはとても少なくて、特別展の後ではどうしても見劣りしてしまうのです。
でも、去年息子と見に行って、「よくよく見たら、中世から近代まで、数は多くないけれどきちんと網羅しているなあ」と感心しました。しかも、番組でも言われていますが、入場料(常設展だけなら、大人でも420円!)を払わなくても、庭にあるロダンの作品は見られるのですよね。
松方コレクションが収集された時代背景もあり、近代(特に印象派)が大きく取り上げられています。特に、モネと直談判して購入したという作品の数々は、モネルームができるほど数が多く、初期から晩年まで網羅しています。
放送された順番と前後しますが、中世〜バロックの作品をきちんと取り上げてもらえたのも、この時代が好きな私としてはうれしいところです。今はだいぶメジャーになりましたが、10年……いや、20年前なら華麗にスルーされていたでしょう。20年前にどの程度の所蔵品があったかは分かりませんが(汗)
そして、この番組を見ていていやな感じがしないのは、出演者全員が、作品に対して茶化すことなくきちんと向き合っているところだなあ、と思いました。もしかしたら、そういうスタンスが好きな人もいるのかもしれませんが、私はこうやって真面目に鑑賞する番組のほうがいいです。
ただ、こうやって見てみると、番組としては真面目ですが「地味」です。これまた、先日のハワイの番組と同様、地上波では視聴率が取れない、と言われてしまうのでしょうか……。でも、こういう番組がもっと増えればいいなあと思っている人は、一定数存在すると思います。
最後になりましたが、番組ホームページでの今回の放送の紹介はこちらです。
今回の放送内容とは関係ないのですが、こういうアンコール放送があるなら、豊田市美術館に会場を移すフェルメール《地理学者》とオランダフランドル絵画展、再放送してくれないかなあ……という、淡い期待があります。甘いかしら。
実は、このブログにたどり着いた方の検索ワードでトップに入るのが、この番組名だったりします。参考になる内容が書けているかしら? と、ちょっと気になるところです(笑)
取り上げるのが特別展ではなく、国立西洋美術館の常設展というところが、渋いです。放送内容ではなく自分の思い出語りがメインになってしまいかもしれませんが、感想を書きます。
やっぱり、テレビによく出ている人で、マニアックな美術話をしても視聴者がついて来られて番組が成立するという人は、非常に数が少ないなあ、と思います。こういう番組は、山田五郎さんでないと成立しないですよね。
余談ですが、マニアックな都市話をして番組が成立するのがタモリさん、ですね。マニアックな鉄話が成立する番組は『タモリ倶楽部』くらいかな、なんて思います(笑)
昔のイメージだと、西洋美術館の常設展って、特別展に比べるとパッとしない印象でした(すみません……)。常設展を見ることはとても少なくて、特別展の後ではどうしても見劣りしてしまうのです。
でも、去年息子と見に行って、「よくよく見たら、中世から近代まで、数は多くないけれどきちんと網羅しているなあ」と感心しました。しかも、番組でも言われていますが、入場料(常設展だけなら、大人でも420円!)を払わなくても、庭にあるロダンの作品は見られるのですよね。
松方コレクションが収集された時代背景もあり、近代(特に印象派)が大きく取り上げられています。特に、モネと直談判して購入したという作品の数々は、モネルームができるほど数が多く、初期から晩年まで網羅しています。
放送された順番と前後しますが、中世〜バロックの作品をきちんと取り上げてもらえたのも、この時代が好きな私としてはうれしいところです。今はだいぶメジャーになりましたが、10年……いや、20年前なら華麗にスルーされていたでしょう。20年前にどの程度の所蔵品があったかは分かりませんが(汗)
そして、この番組を見ていていやな感じがしないのは、出演者全員が、作品に対して茶化すことなくきちんと向き合っているところだなあ、と思いました。もしかしたら、そういうスタンスが好きな人もいるのかもしれませんが、私はこうやって真面目に鑑賞する番組のほうがいいです。
ただ、こうやって見てみると、番組としては真面目ですが「地味」です。これまた、先日のハワイの番組と同様、地上波では視聴率が取れない、と言われてしまうのでしょうか……。でも、こういう番組がもっと増えればいいなあと思っている人は、一定数存在すると思います。
最後になりましたが、番組ホームページでの今回の放送の紹介はこちらです。
今回の放送内容とは関係ないのですが、こういうアンコール放送があるなら、豊田市美術館に会場を移すフェルメール《地理学者》とオランダフランドル絵画展、再放送してくれないかなあ……という、淡い期待があります。甘いかしら。
April 27, 2011
BS日テレの『ぶらぶら美術・博物館』で、レンブラント展が!
昨日(4月26日)の夜、「何か面白い番組はないかなあ」と思いながらチャンネルを動かしていたところ、このような番組を見つけました。というか、見たことはあったのですが、正確な放送時間は把握していませんでした……。
ちょうど先日のブログで書いた、国立西洋美術館で開催中の「レンブラント 光の探求/闇の誘惑 —版画と絵画 天才が極めた明暗表現—」が紹介されていました。
美術に造詣の深い山田五郎さんの解説つきであれこれと作品を見ていると、とても勉強になります。さらに、期待していた以上に様々な作品が展示されていて、レンブラントの生涯と絵画がじっくり鑑賞できる、ということも分かりました。
アムステルダムでレンブラントの家に行き、さまざまな作品を見たからこそ、こういうふうに分かるのだなあ、と自分で感心してしまいました(笑) そういえば、アムステルダムでこのエッチングを見たなあ……という記憶がある作品もありました(本当に同じものかどうかは分かりませんが)。
先日の記事では書かなかったのですが、レンブラントの家でエッチングの作品の数々を鑑賞して、その素晴らしい描写力と技術に圧倒されました。レンブラントは油彩画が有名ですが、エッチングも忘れてはならないと思います。
力説してしまいましたが、レンブラントのエッチングは、本当に見る価値があります。これは絶対見に行かなければ、と思いました。
さらに言うと、この『ぶらぶら美術・博物館』、次回はBunkamura ザ・ミュージアムの「フェルメール《地理学者》とオランダフランドル絵画展」を取り上げます。これまた私が気になる展覧会なので、忘れずにチェックですね。
実は、この展覧会の前に上野動物園の「河馬博覧会──かば祭り in Ueno Zoo」が紹介されていました。こういう視点も、らしくていいなあ、と思います。
番組ホームページでは、過去の放送内容が紹介されています。今回はこんな感じです。
ちょうど先日のブログで書いた、国立西洋美術館で開催中の「レンブラント 光の探求/闇の誘惑 —版画と絵画 天才が極めた明暗表現—」が紹介されていました。
美術に造詣の深い山田五郎さんの解説つきであれこれと作品を見ていると、とても勉強になります。さらに、期待していた以上に様々な作品が展示されていて、レンブラントの生涯と絵画がじっくり鑑賞できる、ということも分かりました。
アムステルダムでレンブラントの家に行き、さまざまな作品を見たからこそ、こういうふうに分かるのだなあ、と自分で感心してしまいました(笑) そういえば、アムステルダムでこのエッチングを見たなあ……という記憶がある作品もありました(本当に同じものかどうかは分かりませんが)。
先日の記事では書かなかったのですが、レンブラントの家でエッチングの作品の数々を鑑賞して、その素晴らしい描写力と技術に圧倒されました。レンブラントは油彩画が有名ですが、エッチングも忘れてはならないと思います。
力説してしまいましたが、レンブラントのエッチングは、本当に見る価値があります。これは絶対見に行かなければ、と思いました。
さらに言うと、この『ぶらぶら美術・博物館』、次回はBunkamura ザ・ミュージアムの「フェルメール《地理学者》とオランダフランドル絵画展」を取り上げます。これまた私が気になる展覧会なので、忘れずにチェックですね。
実は、この展覧会の前に上野動物園の「河馬博覧会──かば祭り in Ueno Zoo」が紹介されていました。こういう視点も、らしくていいなあ、と思います。
番組ホームページでは、過去の放送内容が紹介されています。今回はこんな感じです。